特集 2023年12月29日

「カレーライス」よりも「カレー」と「ライス」のほうが美味しい可能性?

ふだん、当然のようにごはんにかけて食べているカレー。あえて別盛りにして味わってみたら、新しい世界が広がるんじゃないだろうか?

そんな気がした、2023年末。

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

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もしかして……?

近ごろ、娘がハマっていて、デミグラスソース味ベースの「煮込みハンバーグ」をよく作るんです。

で、そういう汁っけのある料理の場合、要するにハヤシライスみたいなもんだろうということで、僕的には、つい白メシにぶっかけて食べてしまいがちなんですよね。

ただ先日、何気なく、煮込みハンバーグとごはんを別々の皿によそって食べてみたら(考えてみればごく当たり前のことですが)、ちょっと衝撃を感じてしまうくらいに美味しかったんですよ!

まずはじっくりとハンバーグを味わう。口のなかにその余韻が残っているところで、炊きたてのごはんを味わう。ぶっかけメシの渾然一体よりも、どちらの良さもぞんぶんに堪能できる食べかただということに気づいたというか。なんとなく脳裏に「老舗の洋食屋さん」という言葉が思い浮かんだというか。

はい。ここで本題。

僕の大好物である「カレーライス」は、ぶっかけメシの王道。ただ、もしかしてこれも、別盛りにしてじっくり味わってみたら、そのほうがより美味しく感じられるんじゃないだろうか? 今回は、そのあたりのところ、検証してみようと思いまして。

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「カレー」と「ライス」

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お気に入りのレトルトカレー

さっそく、最近お気に入りの、S&B「濃厚好きのごちそう 120時間熟成デミグラスの牛ほぐし肉カレー 中辛」を買ってきました。これをですね、本来ならば、

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こう盛るところ

今日は、

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こう

この時点ですでに存在する違和感が、もう楽しいですよね。構成要素は同じなのに、あきらかに「カレーライス」ではない。「とん汁定食」的に「カレー定食」とでも称したい、知らない食べもの感がある。

では、

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まずは「カレー」単体を
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じっくりと味わってみます

おおおお! 大好きで何度も食べたことのあるカレーでありがなら、ものすごく新鮮な体験。味、香り、深み、そして、たっぷりのほぐし肉の食感などが、がさっとごはんと一緒に食べたときよりも圧倒的に強く感じられますよ。そしてなにより、味の濃厚さ。単体だとこんなにも味の濃い食べものだったんだなと。なんだか五感が活性化されてゆくような感じ。

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続いて「ライス」を食べて
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またまたじっくりと味わう

写真が、なにか嫌なことでもあった? っていう表情になってしまってますが、そのくらい真剣に味わっているということです。

さて、実際に「カレー」と「ライス」でで食べてみた感想はどうだったか。

まず、カレーをじっくり味わいつくしてからごはんを食べる。すると、確かにごはんの甘みなどはしっかりと感じられるものの、やっぱりちょっと物足りないんですよね。

それでは、カレーがまだ口のなかに残っている段階でごはんをほおばってみるとどうか。これは、美味しいごはんの味を感じられたあとに、徐々に口のなかでカレーライスになりだし、なかなかいい。ただ、カレーライスの一体感の醍醐味は超えてこないかもしれない。

あと、意外にもこれは生まれて初めて味わったかもしれないんですが、

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福神漬けライス

僕は、昔ながらのカレーライスの横には、真っ赤な福神漬けがあってほしいタイプなんです。大好きなんです。けれども、こう盛ってあるから、試しに福神漬けをおかずにごはんを食べてみたんです。ひと口。そうしたら、福神漬けって、単体で食べるとめっっっちゃ甘い! 「こんな甘い漬物でメシが食えるかっ!」と、星一徹ばりにちゃぶ台をひっくり返してしまいそうになるくらい。

よって、

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カレーライスは普通に食べるべし

という、至極当然の結論に至りました。

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「グリーンカレー」と「ライス」

ただ、それはそれで一件落着なんですけれども、個人的には悔しい。あの日感じた可能性の種は、すべて間違っていたっていうの !? っていう。

そこでここからは、もう少しだけ、ふだんならばごはんにかけて食べるものを、別々によそって味わってみる検証を続けてみたいと思います。

というわけで、

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「グリーンカレー」ならどうか?
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お米もちゃんと「ジャスミンライス」を炊きました
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ではいただきます

へー、なるほど! グリーンカレー、もっと甘い印象があったんですが、ベースは強めの塩気と辛味ですね。そこにココナッツミルク由来の甘みが、特徴を加えている感じ。かなり攻めた味わいであり、かつ、これまた単体だとどこか物足りないような。

で、ごはんの単体を食べる。ジャスミンライスもまた、もっと素っ気ない味わいと勝手に印象づけていたところがあるんですが、すごく甘みがあって、ちゃんと美味しいお米なんですね。そのことに気づかせてもらえただけでも良かった。

ただし、

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一緒に食べると超〜うまい!

なんだろう、おたがいの良さを引き立て合う強力タッグっていうか。あれ? 今回の検証、もしかして前提からして間違ってるのかな……。

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「残り鍋」と「ライス」

気を取り直していきましょう。実は僕、以下のような説を常に提唱している人間なんです。ずばり、「この世でいちばん美味しい食べものはカレーライス。唯一それと並ぶのが、鍋のシメのおじや」。

あくまで、個人的な意見ですので異論は認めまくります。ただ、家でどうてきとうに作った鍋でも、そのシメのおじやって、最高に美味しいじゃないですか。そこで、分離。

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ある日の鍋

冷蔵庫にあった野菜、肉、その他の食材をほうりこみ、我が家の定番「鍋キューブ 濃厚白湯」で味をつけただけの、もはや鍋なのか具沢山スープなのか煮物なのかよくわからない料理。ではありますが、まずいはずもなし。

で、この残りを冷蔵庫に保存し、2日くらい、具材を足したりして楽しみつつ、最終的にたどり着くのが、

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このぐずぐず状態

見た目は悪いですけれども、鍋の美味しいところが飽和したお宝ですよね。

ここにふだんであれば、お米と溶き玉子を投入して雑炊にするのが最後のお楽しみ。どう考えたってうまい。

しかし今日は、こうですよ!

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「残り鍋」と「ライス」
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いただきます

あ? あ! あああああ! これは……すごいかもしれない!

ぐつぐつに濃縮された残り鍋の美味しさが、ものすご〜く高い純度で感じられる。それを追いかける白いごはんが、その美味しさをばーん! と増幅してくれる。確実に、カレー&ライスよりもこっち。いつもよりも味の解像度が高くて、雑炊と甲乙つけがたい。

思わず両手を合わせて、ありがたや……ありがたや……とつぶやいてしまう味わいです。考えてみたら、「すごく手のこんだとん汁定食」的なものと言えなくもないですもんね。まぁ、豚肉は今回入れてないけど。

とにかく最高に美味しい!

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