橋のある街
世界には美しかったり、カッコいい景色がある。その一つに橋を中心とした街作りがあるのではないだろうか。本当にカッコいいのだ。ただ暮らし始めるともっと近くに橋を! とかと思うのだろうか。対岸に行く時にめんどいから。ただ観光としては素晴らしかった。
橋というものがある。河川などにかかり、対岸へと渡る大切な手段の一つだ。日本にも多くの橋があり、明石海峡大橋は吊り橋として世界最長であり、蓬莱橋は木の歩道橋として世界最長だ。このような橋もあれば、名もなき橋も数えられないほど存在する。
世界的に有名な橋もあるし、橋だらけの街もある。世界は橋で溢れているのだ。そこでそんな有名な橋と、橋中心の生活の街に行きたいと思う。多摩川沿いに住む私としては、橋を見ておきたいのだ。
「ロンドン橋落ちる 落ちる 落ちる」という童謡がある。ロンドン橋なんて知らない子供時代に歌っていた。知らないので、ロンドン橋は落ちるもんなんだな、と思っていた。だってそう歌われているから。
初めて「ロンドン橋落ちる」と口ずさんでからどのくらいが経っただろうか。平成の最初の頃に口ずさみ、平成の終わりが見えた時にイギリスに行くことになったのだ。となると、行かなくちゃ、ロンドン橋を見に行かなくちゃ。君の街に行かなくちゃ。雨に濡れながら。
ロンドンは雨だった。イギリス人は傘をささないイメージがあったけれど、結構さしていた。逆に私はささない。なぜなら傘がない、から。ロンドン橋はどんな橋だろうと思っていたけれど、割と普通の橋だった。
今のロンドンブリッジは1970年代にできたもの。じゃ、落ちないね。福岡と山口をつなぐ「関門橋」もその頃にできている。じゃ、落ちないわ。しかし感動はあった。子供の頃から口ずさんだ場所を今渡っているのだ。これが歌の力、そうパワーなのだ。
ロンドン橋は「テムズ川」という大きな川にかかっている。一方でオランダのアムステルダムは小さな水路に無数の橋がかかっている。橋の規模が異なる。もう小さな橋だらけ。水路がメインの街だ。
アムステルダム中央駅も、埋め立ててその上にできている。水路の幅は決して広くなく、左側大丈夫、擦ってない? みたいな状態のところを船が進んでいったりする。橋の下を船が通り過ぎて行くこともある。
日本にも水路だらけの街はある。柳川などがそうだ。ただ私は柳川に行ったことがない。聞いた話だけで、柳川とアムステルダムは同じ場所ということになった。そうか、アムステルダムは柳川なんだ。
跳ね橋的なものが普通にある。日本にもあるけれど、観光以外で使われているものは少ない。私の地元の北九州にもあるのだけれど、そこは観光地となり、さらに恋人の聖地になっていた。アムステルダムで跳ね橋を恋人の聖地にしたら、聖地だらけになるだろう。
橋だらけのアムステルダムを歩いていたら、ついに橋を越えたカッコよさに出会ってしまった。橋的にマンションが建っているのだ。地面の上からマンションが始まり、それが川へとつながりまた地面の上となる。住みたいと切に思った。
建物の横を船が通るは日本にもある。しかし、ここでは建物の下を船が通るのだ。サッカーで、相手を抜く時に股下にボールを通すとカッコいい。それだ、今それを見た時みたいな気持ちだ。歓声をあげたい。ブブゼラを高々に鳴らしたい。
こんなんめちゃくちゃカッコいいじゃないですか。ハードボイルドな探偵に憧れる年頃なのだけれど、ここに事務所を開いて、オープンカーの代わりに船で出かけたい。夜には窓から真下を通る船を見ながら、タンカレーを飲むのだ。タンカレーはイギリスのお酒だけど、アムステルダムで飲んじゃう。それがハードボイルドだ。
もしかすると夏場になると蚊が発生しやすいかもしれない。湿気が多いかもしれない。ただそんなことはどうでもいいのだ。なぜならカッコいいから。カッコいいとはそういうことなのだ。カッコいいは全ての問題を解決するのだ。
街歩きをしているだけで楽しかった。橋や橋的な住居に興奮するとも思わなかった。1日中歩き回っていた。もちろん古い橋だけではなく、近代的な橋もある。橋だらけの街。いつも綱渡りな生活なので、いつかはこんな立派な橋を作りたいものだ、人生に。
世界には美しかったり、カッコいい景色がある。その一つに橋を中心とした街作りがあるのではないだろうか。本当にカッコいいのだ。ただ暮らし始めるともっと近くに橋を! とかと思うのだろうか。対岸に行く時にめんどいから。ただ観光としては素晴らしかった。
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