古物、サイコー
楽しい……!
古物のわくわくを服のタグという小さなところに感じられるのが最高だ。今後も古着店やバザーで積極的にウォチする所存であるし、合わせて実家でも目を光らせていきたい。
古着屋やバザーで、古い服に日本語のタグがついていることがある。
「女性自身」や「東京おしゃれ泥棒」なんてのを過去に目撃した。
ほとんど英語表記のことが多いだけに、すごく新鮮なのだ。あらためて古着をあたって探してみた。
※2009年2月に掲載された記事の写真と画像を大きくしつつ、加筆修正して再掲載しました。
たいてい、洋服にはノンブランドでも適当な欧文のタグがついているものだが、いかにも古そうな素材、懐かしい感じのデザインの服のタグに「えっ」と思うような日本語の単語や時に文章が縫い取られていることがある。
例えば、今まで私がバザーなどで見たけたなかで心ゆさぶられた和文タグにはこんなのがあった。
・女性自身(あの雑誌のロゴのまま!)
・ガキ大将が行く
・東京おしゃれ泥棒
ほんとに、こんな文章が服の襟の裏のタグに縫い取られていたのだ。「女性自身」に関しては一体何があったのだろうと思った。「ELLE」みたいなもんか。
しかし残念ながら記事にしようとまでは思い及ばなかったため購入せず。後々悔やんでいた。
そんなおり、地区のリサイクルセンターが年に1度行うガレージセールで「殿」と書いてあるジャケットを見つけた!
かっこよすぎる。厚手の男性もののコートだったため、お願いしてタグの写真だけ撮らせてもらった。
そして、こういうの、ちゃんと集めよう! そう決心したのだった。
古着屋を回る前にまず確かめておきたい。
今回探すのはできれば古い服の日本語タグ! ということだ。実は、新しい服でもタグが日本語のもがある。
高級な国内デザイナーのミセス向けの服にはブランド名が日というパターンがままあって、そんな服は新しくてもタグは日本語だ。
若い人のおしゃれブランドにもわざと日本語というケースがある。そういえば、当サイトでも服がおしゃれなライターの梅田さんが「泥棒日記」というタグのついた服を着ていた。
泥棒日記ってそれはそれですごいが、今回はそういうのではなく、あくまでも古い服の日本語タグを探したい。
「大地」に「音楽海岸」…見つけましたよ……それでは紹介していきましょう、出でよ、和文タグ!
大地。
なんだろう。婦人用コートである。洋服に大地、とは。
よく見ると「中国上海」と書いてあるし、DaDiというのは中国語での「大地」の読みのようで、日本語というより中国語といったほうがいいタグかもしれない。
そういえば前ページの「殿」も中国語らしかった。みどころのあるタグに新たな市場が開拓された形か。
ちなみに今回、見つけた日本語タグの服を着るあてもなく買うのもどうかと思い、お店の方にお願いして写真だけ撮らせてもらった。分かりにくい依頼へのご快諾、ありがとうございます……。
全体的に慌てて撮影したため、よく撮れていないものもあるが、ご了承くださいませよ。
服に関してのインフォメーションが日本語で縫い取られているタイプも今回はじめて発見した(写真はマウスオンで洋服全体が見えるようにしました!)。
古賀の実家から発掘。派手なシャツだが、誰のものかは不明(母?)。ブランド名「Lapica」がカタカナでまた書かれているのもいいが、やはり「ドライクリーニングしてください」たまらない。
こちらもブランド名の読み方表記に続き、地名に会社名を日本語で。こまかい機械刺繍がかっこいい……!
たたみかけるかわいいロゴのブランド名と、綿100%表示!サンフォライズとは天然の繊維に蒸気をあてて最初から縮めてしまう方法のことらしい
やっぱりグッと来るポイントは「日本語がちまちま縫い付けてある」というところに大きいのかもしれない。
小さいフォントでタグに注意書きが縫い取られているのはツボをつかれた。
今回の古着狩りで初めて見つけたのが、ハングルのものだった。ひらがなのように細かく縫い付けられているのがやっぱりかわいい。
(※以下の2枚は洋服そのものの写真の撮影を忘れてしまっていました。なのでマウスオンはありません)
読者の方からメールをいただきました。これ、フランス語の「confiance(信頼・信用)」では、とのこと。ハングルでもコンピアンスと書かれているそうです。情報ありがとうございます!
さて、韓国語からまた日本語へ戻ろう。
撮りためたタグの写真を眺めていてハッと気づいたことがある。日本語のタグは、スナックの名前みたいなのだ。
どこかで見たことがあるようなタイプのロゴだと思ったらスナックだ。服もママが着てそうである(実際、この服は古いというよりも婦人服の現存するブランドかもしれない)
いや、もう、紛れもなくスナック。服はちいママが着てそうな感じか。着こなしが難しそうすぎて私には試着することすらできなかった
このタグは自分のなかでグッとくるようなそうでもないような微妙さだったのだが、スナックの名前だと思えばすべて納得がいく(なんだろう、納得って)
これだってスナックの名前にありそうなんだから、すごいのは日本語タグよりもスナックの名前の方なのではと思えてくる。しかし服全体を見るとこれがまたすごくて、もう何が何やらだ
さて、ここまでのタグはその日本語のインパクトでぐいぐいと押してくる強烈なものがほとんどだったのだが、日本語でありながら押しの弱いタグというのもあった。
単純にフォントの線が細いからだとは思うのだが、そんなジャンルに分けられた2着がどちらもポロシャツだったのが興味深い。
古い服、というよりトートバッグでおなじみの「一澤帆布」的な意味合いでの日本語なのかもしれない。どちらにせよ、かなり頼りなげなイメージ
音楽海岸。なんだろうと思わせつつ、着になるその線の細さ。線が細くても英語で「Music seashore 」って縫い付けておけばそれほど気にならなかっただろうに………
以上が今回見つけた日本語のタグだ。やはりこの量だとまだちょっと満たされない感じはある。
が、最後にそのもどかしさを一気に解消するタグが見つかったのだ。
前ページでご紹介した、今回の企画のきっかけになったタグ、「殿」。なんと今回、偶然にもこのタグへのアンサーともいえるタグが見つかったのだった。
服やフォントに古さを感じないのが残念だけれど、何しろ「王」である。着てみたら王様のような仰々しさはなく普通に着れる服であった。思わずダブルピースだ
楽しい……!
古物のわくわくを服のタグという小さなところに感じられるのが最高だ。今後も古着店やバザーで積極的にウォチする所存であるし、合わせて実家でも目を光らせていきたい。
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