特集 2018年9月19日

ハトでボウリングを作った

ハトのパレード。
ハトのパレード。
鳥が好きで、鳥の絵を描いたり鳥の雑貨を考えたりしているうちにふと、「ボウリングのピンって鳥に似てるな」と思った。

早速形にすべく、さて何の鳥にするかと考えたとき、やはり「ハト」がいいのではと思い至ったのだが、それには理由がある。ボウリングの球の存在だ。ボウリングという競技を鳥に仮託するなら、球のこともうまく織込めればいいと思うのだ。

ハトなら、そう、「豆鉄砲」があるじゃないか。豆球を投げてハトにぶちあてるボウリングを作るのだ。
1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。(動画インタビュー)

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どんどん増えるハト

「ハトに豆投げて倒す」ハトボウリングをこうして思いついた私は、あまたあるボウリングおもちゃの中から、なるべくハトに近い形のやつを選んでポチった。妙に寸詰まりだったり頭の形が気に入らなかったり、意外と体型がそれぞれ微妙に違うのである。
陽気なカラーリングのおもちゃが家にやってきた。これからこれらをハト1色に染める。
陽気なカラーリングのおもちゃが家にやってきた。これからこれらをハト1色に染める。
【ここからの「ある種のプラ素材がやっかいな問題」は余談ですので、すっ飛ばしていただいてもかまいません】

ところで、今回は「ピンと球を彩色する」「鼻のところの玉っころとクチバシを立体にする」という改造を施そうと思うのだが…ここで大問題が生じた。色を塗れないのである。

まず、こういうプラスチック物への着色は安定の「染めQ」で対処することが多いのだが、今回も同ブランドで行こうと考えていた。なのでまずは下地となる色をつけてみたのだが…
焦ってもうあらかた取っちゃった後だが、染めQが定着しない!
焦ってもうあらかた取っちゃった後だが、染めQが定着しない!
爪でバンバン剥がれるぞ…。染めQさまを使っててこんなことは初めてだ、とサイトや説明を読んでみたら、Qさまが着色できない素材の一つに「PE素材」という言葉を見つけた。

ん?このボウリング、PE(ポリエチレン)素材なのかしら?これを買ったサイトやパッケージで材料の情報を見ても漠然と「プラスチック」としか書いてない。でも塗料が乗らないってことは、PEで決定だよね…
マッキーも乗りません。剥がれます。あああ。
マッキーも乗りません。剥がれます。あああ。
その後、ネットで調べたりフェイスブックで情報を呼びかけたりしたところ、PEは色がすごく乗りにくいことがわかった。もう、本当に着色が難しいらしい。

間にプライマーというものを塗れば、とも教えてもらったが値段が高く、また表面をバーナーで炙ってなんとか定着させた方の情報も教えてもらって、これは試してみたかったがピンみたいな中空のものをバーナーで炙る自信がない。締め切りは迫っている。ピンを買い直す時間がない。
当然、アクリル絵の具も乗車拒否。おお。
当然、アクリル絵の具も乗車拒否。おお。
というわけで、もう撮影用の1回保てばいいってことで、アクリルで塗ることにしました!イェーイ!

【ここまで読み飛ばした方は、「とにかく塗りにくいピンだった、塗料剥がれまくり」とだけ覚えててください】
下書きももう無視、サクサク塗っていく。塗りやすい!(塗るだけなら)
下書きももう無視、サクサク塗っていく。塗りやすい!(塗るだけなら)
爪などでひかっかないよう注意しながら、色を増やしていく。
爪などでひかっかないよう注意しながら、色を増やしていく。
念のため、アクリル絵の具塗った上から水性ニスを塗ったら、定着こそ相変わらずだが多少剥がれにくくなった。これでなんとか撮影まではできるだろう。

羽根と足は郷土玩具風に、簡素でいいかな…ハトっぽく見える最小の塗りを施したら、目を入れよう。これはもう丸シールでいいな。
丸シールあるとすごく楽だ。
丸シールあるとすごく楽だ。
クチバシは石粉粘土で。
クチバシは石粉粘土で。
マッキーで色塗ったら本物の鳥のクチバシを集めたみたいになって怖かったです。
マッキーで色塗ったら本物の鳥のクチバシを集めたみたいになって怖かったです。
鼻の玉っころも粘土でギュウウと。
鼻の玉っころも粘土でギュウウと。
撮影場所に持ってきたら早速剥がれていた。さすがPE!裏切らない、俺たちのPE!
撮影場所に持ってきたら早速剥がれていた。さすがPE!裏切らない、俺たちのPE!
こうして、なんとか色を乗せることはできた。
これがハトボウリングの全貌である。
なんかの代表チームかっていう誇らしさ。
なんかの代表チームかっていう誇らしさ。
球はちょっと青みがかった大豆をイメージした。指を入れる穴を大豆の黒い部分に見立てたのだが、穴は3つあるので、もののけ姫に出てくる「こだま」みたいになった。
ハトの目が怖い方には申し訳ない。
ハトの目が怖い方には申し訳ない。
まさに、ハトが豆鉄砲くらったような…。
まさに、ハトが豆鉄砲くらったような…。
くらった…。
くらった…。
うあああああ!
うあああああ!
さて、遊ばないと始まらない。早速、ハトに豆鉄砲をお見舞いしてやりましょう。
彼らは今ガクブル状態に違いない。「あれは…聞いたことある」「豆鉄砲ってやつか」「今からあれを俺らに…」「キャー」「ヒィー」
彼らは今ガクブル状態に違いない。「あれは…聞いたことある」「豆鉄砲ってやつか」「今からあれを俺らに…」「キャー」「ヒィー」
ハトに…
ハトに…
くらえ、豆鉄砲ーーー!
くらえ、豆鉄砲ーーー!
豆ごときに倒されるハトがちょっと不憫ではあるが、転がってるときはゴロゴロとなんとなく楽しそうだし良しとしよう。

ボウリングはもちろん成立するが、このピンもじゅうぶん鳥に見えることがわかった。おびただしい数のハトを作って、上野あたりに整然と置いてみたい。

塗る方法で時間を取られてしまったが、本当は倒れると驚きの表情に変わるともっといいかなと考えていた。目が白目むいたり、口がパカッと開いたり。まさに、ハトが豆鉄砲くらったような。

そういうギミック込みで作り直す時が来るかはわからないが、その時はピンから作ることになりそうだ…やれやれ。こっちが豆鉄砲くらったような感じだ。
今回お気に入りの角度。
今回お気に入りの角度。

【個展のお知らせ】

前回に引き続き、個展のお知らせです。港区は白金台のギャラリーで展示をしております。連日シロガネーゼのご来場で大盛況(半分ウソ!)

*9月14日(金)~9月23日(日)11時~19時
乙幡啓子 第1回妄想美術展 妄展

東京妙案ギャラリー
http://www.tokyomyoangallery.com

※乙幡は毎日そこにいるわけではなく、以下日時で在廊予定です(ギャラリー自体は期間中開いてます)。

20日 休み
21日 15時ー19時
22日 13時ー19時
23日 11時ー17時(17時で展示も終了)
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