特集 2018年1月22日

クズの根から葛餅を作ったら疲れた

その辺に生えているクズの根から、おいしい葛餅が作れます!すごくがんばれば!
その辺に生えているクズの根から、おいしい葛餅が作れます!すごくがんばれば!
葛餅という和菓子の材料は、その名の通りで葛(クズ)という植物だ。クズの根からとったデンプンで作るから葛餅。

さてクズといえば、その辺の野原や河原にいけばいくらでも生えている雑草である。そこらのクズからでも、葛餅は作れるのだろうかと試してみた。
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。

前の記事:ホウキを手作りして空を飛んだ

> 個人サイト 私的標本 趣味の製麺

葛餅はクズで作られない場合もある

冒頭で葛餅はクズからとれる葛粉で作るから葛餅だと書いたが、実際はそうでもなかったりする。

もはや葛餅は通称、あるいは概念であり、市販品はジャガイモやサツマイモ、あるいはトウモロコシからとれるデンプンなどで作られていることが多いようだ。
左からジャガイモのデンプンである片栗粉、葛粉という名前で売られていたサツマイモのデンプン、そして本葛は本物の葛粉だった。ややこしい。
左からジャガイモのデンプンである片栗粉、葛粉という名前で売られていたサツマイモのデンプン、そして本葛は本物の葛粉だった。ややこしい。
本物の葛粉以外で作られることが多い一番の理由は、やはり値段の問題だろうか。

片栗粉が100グラム50円くらいなのに対し、本葛粉は10倍の500円とかするのである。

ちなみに3種類の粉を使って、それぞれ葛粉を作ってみた実験はこちらに掲載してある。
これが本葛粉。石膏みたいな質感。
これが本葛粉。石膏みたいな質感。
このように高級品である本葛粉を、その辺に生えているクズからどうにかして精製し、本物の葛餅を作ってやろうというのが今回の趣旨である。

クズの集まりへとやってきた

いつの日か、クズの根を掘って、葛餅を作ってやろうと企ててから数年が経過。いざ掘るとなると、やっぱりどう考えても大変そうで重い腰が上がらない。

いつかいつかと先延ばしにしていたところ、野草好きの友人が、ノビルやヨモギなどを摘んで食べる延長線として、11月にクズの根を掘る集まりを企画した。

それだ!ということで即参加の手をあげた。なんでも去年一人で掘ろうとして、すぐに挫折したらしく、今年は募集をかけたのだとか。
飼っているウサギのエサとして野草をとりはじめ、いつの間にか自分も毎日食べるようになった365日野草生活さん。
飼っているウサギのエサとして野草をとりはじめ、いつの間にか自分も毎日食べるようになった365日野草生活さん。
いやでも募集をしたところで、わざわざクズの根を掘ろうという人が私以外に集まるのかと心配だったが、なぜか大人気ですぐに定員いっぱいとなったそうで、本日の参加者は23名。

「本日はクズの集まりへようこそ!」と、別の意味になりそうな挨拶をする友人。そうだそうだ、これはクズの集まりだと答える参加者達。

現代人はクズを掘ること、あるいはクズであることに、心の癒しを求めているのかもしれない。
掘る場所は、日本中の至る所にあるクズだらけの荒れ地。
掘る場所は、日本中の至る所にあるクズだらけの荒れ地。

クズの根が太ってない

クズを掘るためには、まず一面に伸びている蔓から、その大本である部分を探し出さなくてはならない。これがなかなかやっかいで、どこから生えているのかが意外とわからなかった。

新しいゲームだと思って探すものの、複雑に絡み合ったクズの元が自力では全然見つからず、参加者が探し当てたものを教えてもらった。

本当に一人でやろうとしなくてよかったと、この日何度思ったことか。
蔓というか幹。この段階で太ければ太い程、根もしっかりと太っているはず。
蔓というか幹。この段階で太ければ太い程、根もしっかりと太っているはず。
クズは秋から冬にかけてデンプンを溜めこむそうで、そろそろ根っこが肥大しているはず。

さてどんな太り方をしているのだろう、サツマイモ状なのか、ジャガイモ状なのか、あるいは山芋状なのか。
手分けをしてクズの根元を掘っていく。
手分けをしてクズの根元を掘っていく。
クズの根塊がどんな形であれ、掘ってすぐに姿を現してくれるだろうと思っていたのだが、そう甘いものではなかった。

いざ掘ってみると、地下を這わせた光ファイバーケーブルのように、延々と横に伸びているものばかりなのだ。
掘っても掘っても、同じ太さで横に伸びていく罠。
掘っても掘っても、同じ太さで横に伸びていく罠。
こんな頼りない太さでも、中にはデンプンがぎっしり詰まっていたりして。なんて思って切ってみたが、その断面はまるっきり木だった。うっすら年輪すらある。

中央部分がちょっとだけデンプン質っぽいが、にゅうめんくらいの細さだ。どうしろと。
これダメだね。
これダメだね。

ようやくイモっぽい根塊が出てきた

それにしてもクズ掘りは重労働である。しかも成果なき労働であり、栽培されているジャガイモやサツマイモを掘るのとはレベルが違う辛さだ。

掘り始めてから1時間近くが過ぎ、参加者の表情に諦めの色が濃くなってきた頃、ようやく今までとは形状の違うクズの根が発掘された。

掘りはじめるとタコの足のように分岐し、ちょっと細めながらサツマイモのように丸みを帯びているのだ。これぞ冬に備えたデンプンの蓄えであろう。
今までに比べて明らかに違う形状!
今までに比べて明らかに違う形状!
おおお、芋だ!
おおお、芋だ!
これならデンプンが詰まっていそうだ。
これならデンプンが詰まっていそうだ。
なるほど、クズの根塊というのは、こういう形に成長するのか。すぐに諦めなくてよかった。

その断面から匂いを確認すると、なんだか生の焼き芋みたいな甘い香りがする。生の焼き芋ってなんだ。でもそんな匂いなのだ。

端っこをちょっと齧ってみると、ゴボウっぽい苦味と土臭さの中に感じるデンプン質の持つほのかな甘み。見た目もそうだが、味はキクイモとかヤーコンが近いかな。
うっすらと甘いが、生で食べてうまいものではない。
うっすらと甘いが、生で食べてうまいものではない。
クズ掘り作業は2時間弱で参加者の体力が尽きたので終了。もう限界である。

ちゃんと根が太っていたのは結局3本程度で、あとは全部ゴボウのように痩せていた。まだ葉っぱが青々していたので、時期がちょっと早かったかな。
掘った場所は丁寧に埋め直しました。
掘った場所は丁寧に埋め直しました。
これを適当に山分けしたら、ここから先は各自が自宅でデンプンを精製することとなる。

この時点で葛粉は諦めたのか、ただ掘りたかっただけなのか、根を持ち帰らなかった人も数名いたようだ。その気持ち、わからなくもない。
この根からデンプンがとれるのだろうか。ただクズの除草をしただけのような気がしてきた。
この根からデンプンがとれるのだろうか。ただクズの除草をしただけのような気がしてきた。
▽デイリーポータルZトップへ つぎへ>

デイリーポータルZを

 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ

↓↓↓ここからまたトップページです↓↓↓