質問:ガチですか? ネタですか?
今年の4/11に発売以降、期間限定の予定が好評を得て現在も販売継続中だというこの商品だが、ちょっと一度冷静になってみてもらいたいのだ。
黄色い
なんというかこう…。食べ物として迫るものがある。たまご、たまご、たまご、そして、たまご。
「たまご好きの為のたまごサンド」という名前のとおりだといわれればそれまでだ。いちたまごファンとしては素直にありがたい。が、誤解を恐れずにいうと狂気に片足つっこんでいるようにも見えないか。
たまご好きっていったよね? と笑顔で次から次へと繰り出される各種たまごサンド。
笑顔だが、その目は据わってはいないか。
しかもこんなかんじで見た目以上に具がみっちり詰まっていてとにかくたまご感がはんぱない、遊びじゃないのだ
店頭でみかけてハッとしてTwitterでつぶやいたところ、このツイートにあれよあれよと5万RTの7万FAVがついた。
おいしそうなサンドイッチだという以上の「なにか」をみんなが感じたのだ。
だって、いくらなんでもたまごが過ぎるだろうこれは。
答え:あくまで、ガチです…!
これはどういうことなのか、状況として「顔は笑ってるけど目はマジ」(狂気)なのか「顔はマジだけど目は笑ってる」(ネタ)なのか。
大手コンビニチェーンの仕事である。いくらなんでも怖い目にあうということはないだろうと取材をお願いしたところ、開発したご本人にお会いできることになったのだった。うおお。
左からデイリー商品部所属で開発担当の原田さんと広報室の吉村さん
怖いことなど一切ない感じの良い明るいお二人。きさくに対応してくださった。
結論から言うと、ウケ狙いなど考えたこともない、喜ばれる美味しい商品をと平常心で開発した商品だった。
むしろこのところ同様の取材が相次いでおり、なにかやらかしたつもりの一切ない原田さんは「『今度はなんですか…』『なにも話せることないですよ?』とおびえていて(笑)」(吉村さん)という。
「今度はなんですか…」「なにも話せることないですよ?」リアクションとしてはほとんど2時間ドラマの容疑者である。
まさか容疑者の気持ちにさせてしまっていたとは!
ウケ狙いではないだけに「開発秘話みたいなものもほんとなにもないんです」(原田さん)とも。
顔は笑って目はマジのマッドサイエンティスト的なマッド開発担当みたいな人が出てくるかもしれないと、一瞬でも思ったことをおわびしたい。実際は顔も目もマジだったのだ。まじめだったのだ。
ちなみにオフィスでは原田さんの隣の席に袋パンの担当の方が座ってるそうなのだがその方の開発したトンカツ、ハムカツ、チキンカツがはさんである「
3種のカツロール」の方をむしろ「カッとなって作ったんだと思う」と言っていた。そういうタイプの謙遜もある。
みんなそんなたまご食べたいかな…
そんなまじめさは、開発の経緯をうかがうなかでも浮き彫りになった。
・調理パンをこの4月に大幅にリニューアルした
・その中でちょっと凝って開発、発売したのが「たまご好きの為のたまごサンド」と「ハム好きの為のハムサンド」
4月に発売されたときのポップ
ネタというよりも、普通にすてきに売り出そうとしているのが伝わるアー写
・ハムの方は2週間で終売になるもたまごは好評で現在も継続して販売中
・そもそもハムとたまごはサンドイッチの主力であり、たまごを推すことには意外性はないと思った
・なんとなく上司から「たまごだけの商品を作ったら」と提案があったのでいうことを聞いたという部分もある
・正直、みんなそんなたまご食べたいかな…と不安もあった
・当初は「4種のたまごサンド」という商品名の予定だったが、少し工夫していまの名前に
何も話すネタがないからと、社内資料まで出してきてくれた。なんかすみません…
さらに「たまごサラダやゆで玉子は分かるんですが、玉子焼きのサンドイッチってちょっと珍しいですよね?」と聞けば「いえ、関西圏ではよく喫茶店などでも出される一般的なものです」とのお返事(いわれてみれば確かに…)。
「たまごは何個くらい使ってるんでしょう」という質問には「2個弱…くらいで…驚くほど多かったり少なかったりするわけではないです」とも。
奇をてらった意識はどこまでもないのだ。
状況を整理しよう
つまり状況としてはこういうことだろうか。
「たまご好きのみなさんのためのサンドイッチできました!」
「わーい!」
「たまごサラダサンドと」
「イェーイ!」
「ゆで玉子サンドと」
「わ~!?」
「玉子焼きサンドと」
「…んんっ?」
「スクランブルエッグサンドでーす!」
「……えっ?」
(静かにくるってる感じ… Twitterに書こ…)
(やば、5万RT、7万FAVいった…)
「すみません、取材させてください」
「……えっ?」
たまごだらけのサンドイッチに驚かされたと思っていたが、そんなかわったことをしたつもりはなかった! と開発サイドもまた驚いていた。
驚き驚かれるサンドイッチ
巨大チェーンでサンドイッチを開発するということ
と、驚きの部分ばかりを伝えたが確固たる人気を勝ち得た商品でもある。
「たまご好きの為のたまごサンド」は4月の発売から今まで売られ続けている。購買記録から老若男女まんべんない層が買っていることが分かっているんだそうで、本記事公開現在も陳列棚に生き残っている。
毎週火曜日に新商品が投入されるごとに商品ラインナップが見直されるため、ど定番の商品以外で長期にわたって販売される商品はなかなかないらしいが、そんな熾烈な競争のなかにあって定番商品化の話も出始めているというからすごいことだ。
「4月からまだ売っているということは、これまででどれくらい売れてるんですか?」
「そうですね…ざっくりですが累計だと250万食くらいでしょうか?」
……!?
サンドイッチの開発は社内外あわせ10人ほどのチームで行っていると聞いた。うち、本社のスタッフは原田さん1名。で、250万食だ。
コンビニよ…。身近にありすぎて気づかなかったがとんでもないロマンである。5万RTどころの騒ぎじゃなかった。
たまご好きとばれるのが恥ずかしい
商品名について「レジの人にたまご好きだとばれるのがちょっと恥ずかしい」という声があったそうだ。
ばれると恥ずかしいくらいにたまごが好きな人に本気で支持されているのだ。かわった商品だなと思う気持ちはいまだおさまらないが、それでいて大人気であるということも今回の取材でよくわかった。
人気にのって、たまごやハム以外のフィリングのファンに向けてなにか商品が開発できないかとも検討中なのだそうだ。
たまごやハム以外のサンドイッチの具…。チーズ…? まさかツナか…? 原田さんは今日も考えている。また真顔の仕事で私たちをはっとさせてくれないかなー。
おまけに聞いたおはなし
完全に余談になるのだが、この取材のついでに新製品のGODIVAとのコラボ商品をもらったときに伺ったお話がまたおもしろかった
・写真のプリンの前に6月に出したGODIVAコラボの「ショコラロールケーキ」が信じられないくらいはちゃめちゃに売れた
・ローソン店舗へは1日におおむね3便にわけて商品が届く
・デザートはそのうち3便目に乗っかっている
・3便が到着するのはだいたい16時~18時
・なのでこういった売れ筋のコラボ品などで食べたいデザートがある場合はそのくらいの時間に行くと買える(昼ごろに行っても売り切れている場合がある)
もはや何を聞いても有益である。そういえば我々は身近なコンビニについて知らなさすぎるのかもしれない。