特集 2013年7月18日

地元の人頼りの旅in長野県松本

観光地なのにマイナーな旅
観光地なのにマイナーな旅
ガイドブックは持たず、地元の人に穴場を聞きながら周る旅、第6弾目。

今回は長野県の第二の都市、松本にやってきた。

初めて来たのだけれど、想像以上に観光地化しててキレイな町だ。

観光案内もとても充実している。でもあえて、そこには載っていないような、地元の人ぞ知る場所に行きたい。
東京葛飾生まれ。江戸っ子ぽいとよく言われますが、新潟と茨城のハーフです。
好物は酸っぱいもの全般とイクラ。ペットは犬2匹と睡魔。土日で40時間寝てしまったりするので日々の目標は「あまり寝過ぎない」(動画インタビュー)

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松本駅、大人気!

5月最後の週末のこの日、松本では年に一度の大規模なクラフト展が催されているようだった。

そのため改札を抜けると想像以上に人が多くて驚いた。松本って人気なんだな。
ロッカーが空いてなくてガッカリスタート。
ロッカーが空いてなくてガッカリスタート。

アンジェラアキ(似)に聞く

さっそく、改札を出てすぐの所にいた「まつもとコンシェルジュ」の方に穴場を聞くことにした。

そのざっくばらんな語り口に親しみを感じる。この人ならば面白い所を教えてくれそうな予感だ。そしてそれは的中した。
バリバリの訛りで教えてくれた
バリバリの訛りで教えてくれた

家のすき間からの城覗きスポット

回答はかなり渋かった。

最初は井戸巡りなんてどうですかと薦められたけど(専用マップがあった)、最終的には「家のすき間から見える松本城」という、まさしく地元の人ぞ知るスポットを教えてくれた。
車で運転している時たまたま見つけたそうだ
車で運転している時たまたま見つけたそうだ
凄く楽しみだ。アンジェラの地図を頼りにして進もう。

無料の貸し出し自転車があちこちにある

途中、自転車の無料貸し出しをしている所がたくさんあるという情報を得た。
松本は歩いても充分観光できるそうだけど、荷物もあるしこの日は暑かったので自転車があれば嬉しい。
全て貸し出し中
全て貸し出し中
しかし例の、年に一度のクラフト展があるために全て貸し出し中だった。

どうもこの日松本に訪れた人は、ほとんどがそのクラフト展目当てのようだ。

自転車は諦めて歩いて探した。
真っ直ぐ行けば松本城が全部見えるが、あえて行かない
真っ直ぐ行けば松本城が全部見えるが、あえて行かない
アンジェラが言うには、松本城の近くの駐車場のすき間から城の一部が見えるとの事だった。

城は近いがあえてひと気の無い通りに向かう。

お薦めスポット1:家の隙間から覗く松本城

地図を片手に何度か行き来をした。確信を持つのに時間がかかったが、多分アレの事だ!
ここからの城の眺めがオススメだそうです
ここからの城の眺めがオススメだそうです
木が生い茂っててほとんど見えなかった
木が生い茂っててほとんど見えなかった
きっとアンジェラは、このスポットを冬に見つけたに違いない。

しかし今は緑が生い茂る季節。城は木の葉っぱでほとんど隠れてしまっていた。もともと家で大部分が隠れているのに、残りの部分もほぼ葉っぱが隠していた。自然界のモザイクだ。

ここまで隠されると余計見たくなってくる。教えてもらったもう一つのすき間スポットからはちゃんと見えるだろうか。
撮影をお願いしたお姉様方は何を撮ってるのか謎だっただろう
撮影をお願いしたお姉様方は何を撮ってるのか謎だっただろう
そして2箇所め。今度は見えるぞ!
そして2箇所め。今度は見えるぞ!
家々の間から覗く松本城。渋い
家々の間から覗く松本城。渋い

うちの近所の銭湯みたいだが

今度は見る事ができた。
松本城は平城(平地に築かれた城)のため、こういう風に覗き見れるスポットは少ないのだそう。意外と貴重な光景なのである。
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無事、お城を覗き見る事ができたので次の穴場に向かいたい。

人通りが余り無かったため、近くの家から出てきた男性に声をかける。
「定番だけど中町通りがお薦め」
「定番だけど中町通りがお薦め」
渡してみた地図には既に情報が充実しており、それ以外で思い浮かぶ場所がなかなか無いようだ。中町という通りは観光客が多いけれど、一度見てみると良いと教えてくれた。

「他には…うーん…ウチの井戸の水とか?」
渡してみた地図には既に情報が充実しており、それ以外で思い浮かぶ場所がなかなか無いようだ。中町という通りは観光客が多いけれど、一度見てみると良いと教えてくれた。

「他には…うーん…ウチの井戸の水とか?」

お薦めスポット2:ウチの井戸

ひとんちの裏庭に入らせてもらう
ひとんちの裏庭に入らせてもらう
冷たくて気持ちいい!
冷たくて気持ちいい!
アンジェラも薦めてくれたように、松本には道の至る所に井戸がある。大概はキレイな水で飲めるものが多いけど、中には飲まない様に書かれている所もあるそうだ。

こちらの主人は「うちの井戸水、けっこう美味しくてさ」と得意げだ。いいなあ(一般の家なので公開できないけど)
ちょうど喉が渇いていたのだ
ちょうど喉が渇いていたのだ
その水を使って家庭菜園もしていた。井戸水は無料だし、自分ちに紹介できる場所があるとは素晴らしい。

いやそれにしてもいきなり人の家の裏庭に入るという経験をするとは思わなかった。

その後、教えてくれていた「中町通り」に向かってみる事にした。観光に定番の通りだそうだが、お腹が空いてるのでその辺りで何か食べる所を探そう。
途中のキレイな川の近くでも工芸イベントが催されていた
途中のキレイな川の近くでも工芸イベントが催されていた
食べ物屋さんや工芸品のお店が並ぶ、人気の中町通り
食べ物屋さんや工芸品のお店が並ぶ、人気の中町通り
このようななまこ壁の建物がたくさん並んでいる
このようななまこ壁の建物がたくさん並んでいる
もちろん食べる所も地元の人に尋ねたい。誰に聞こうかと探していると、また無料の貸し出し自転車屋さんを見つけた。

ダメ元で聞いてみたら運よく1台だけ残っていて、自転車を借りることに成功。これで行動範囲がぐっと広がるぞ。
ついでにおばちゃんに聞く
ついでにおばちゃんに聞く
おばちゃんがよく行く食事所を聞いた。

お薦めスポット3:中町通りの手打ち蕎麦屋さん

彩食美酒 ふじ美蔵
彩食美酒 ふじ美蔵
長野と言えばお蕎麦だ。滅多に来れないのだからお蕎麦が食べたい。実はそう願いながらおばちゃんに聞いていた。

その念が伝わったのか、おばちゃんは近くのお蕎麦屋さんを薦めてくれた。そのあともう1つ洋食屋さんも薦められたけど、もう頭の中は蕎麦で、そっちはよく聞いてなかった。
麺が細くて上品!
麺が細くて上品!
そこのお蕎麦は私がしょっちゅう食べているチェーン店とまるで違った。麺が細くてお上品。なんとなく背筋を伸ばしながらいただいた。おばちゃんがお薦めするだけあって美味しく、ほんとにあっという間に無くなってしまった。
次のスポットを聞く。「夜の遊び場なら案内できるんだけどな」と主人
次のスポットを聞く。「夜の遊び場なら案内できるんだけどな」と主人
主人は、車からの夜景スポットや飲み屋など夜には詳しかった。しかし残念ながら私は夜には帰らねばならない。

昼間に行ける所でなんとか、と聞き出してみると、美味しいチーズケーキ屋さんが近くにあるという。

それ凄く行きたい!私はケーキの中で一番チーズケーキが好きなのだ。
借りた自転車で移動。ラクだ。なんて素晴らしい乗り物なんだ
借りた自転車で移動。ラクだ。なんて素晴らしい乗り物なんだ
そういえば主人は、ケーキ屋の店主が「ガンコおやじ」ぽい所があるとも言っていた。話しかけても大丈夫なんだろうか。
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お薦めスポット4:隠れたチーズケーキ屋さん

近くにこういった雰囲気のある小路もあった
近くにこういった雰囲気のある小路もあった
お蕎麦屋の主人は、ボケっとしていると通り過ぎるような場所にあると言っていた。そのため慎重に探したつもりだが、やはり気づかずに通り過ぎてしまった。視界には入っていたのだが…一見ケーキ屋に見えないのだ。

手前のカタツムリのオブジェは目立つけど。
通り過ぎてしまいそうな店構え
通り過ぎてしまいそうな店構え
Ohkuraというお店。早い時間に売り切れる事も多いそうだ
Ohkuraというお店。早い時間に売り切れる事も多いそうだ

ガンコおやじ?

お店に入ると店主が出てきた。お蕎麦屋の主人の口ぶりから、こだわりの強いいわゆる「ガンコおやじ」と察したが実際どうだろうか。買うのは普通に対応してくれたけど、お薦めスポットとか教えてくれるだろうか。

地図を取り出し、東京から来た迷子です、と少し可哀想に見える立場からアプローチした。
だいぶ変わっちゃったから分からないな。クラフト展に行きなよ
だいぶ変わっちゃったから分からないな。クラフト展に行きなよ

よく喋ってくれた

「この辺は観光地化して随分変わった。そのとき地名も変わってしまって、俺もよく分からない。馴染みのある建物なんかは、逆に廃れてってるよ。」

確かに職人気質の語り口だけど、よく話してくれた。天気を心配してくれたりと親切だ。それに私が「山国(やまぐに)」という言葉が聞き取れず「ヤマウニ?」と何度も聞き返した時も怒られなかった。
チーズケーキは濃厚で、大好きな味だった
チーズケーキは濃厚で、大好きな味だった
ここにも湧き水があるので喉を潤す
ここにも湧き水があるので喉を潤す
そしてしばし話した結果、例のクラフト展に行く事を薦められた。この日、日本中から工芸品が集まっているというのだ。その開催場所となっている公園も広くて気持ちがいいとの事。

少し遠いけど、自転車もゲットできた事だしせっかくだから行ってみるか。

お薦めスポット5:クラフトフェア(あがたの森公園)

雲行きがあやしい。雷が鳴り出してる。これが山国か…
雲行きがあやしい。雷が鳴り出してる。これが山国か…
旧松本高等学校の跡地がある公園で開催されている。あと1時間ほどで終了というのに人はまだ多い
旧松本高等学校の跡地がある公園で開催されている。あと1時間ほどで終了というのに人はまだ多い
広大な敷地内にテントがたくさん並ぶ。学園祭の雰囲気で楽しい
広大な敷地内にテントがたくさん並ぶ。学園祭の雰囲気で楽しい
色々見た中でこの猫たちが可愛くて好きだった
色々見た中でこの猫たちが可愛くて好きだった
建物の中に展示されているのを想像していたのだけど、全然違った。

陶芸、ガラス、金属、染織など色々な素材を使った工芸品がテントごとにズラリと並ぶ。時間が無いので全部はとうてい見切れない。ちなみに二日間で5万人もの人が来るそうだ。
校舎の中も見学できた(図書館として使われていた)
校舎の中も見学できた(図書館として使われていた)
公園も広くてノンビリできる
公園も広くてノンビリできる
全体をグルッと周ったあと、裸の像と記念撮影などしてる間に時間がなくなってきた。

帰りの電車の都合もあるのだが、あと一時間で自転車を元の場所に戻さなくてはいけないのだ。

「すごく狭い道」も気になる

元の場所に戻りながら、最初に声をかけたアンジェラから聞いていたもう1つの穴場「凄く狭い道」を思い出しそこに向かうことにした。
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お薦めスポット6:すごく狭い道

これは…どこにたどり着くのか気になる!
これは…どこにたどり着くのか気になる!
狭い道、というのは秘密めいていて気になるものだ。その先に何か危険があるかもしれないけど、いつもとは違う何かが見れそうな、そんな探究心がわいてくる。

とはいえ狭い道は東京にもたくさんあるぞ。何か違いはあるだろうか?
まっすぐ一本道
まっすぐ一本道
突き当たりには湧き水が流れていた
突き当たりには湧き水が流れていた
実際に道に立ってみると、自転車でもギリギリすれ違える程の幅だった。しかし奥には湧き水があり、自転車では通り抜けられず。(徒歩なら写真右を通過できそう)

狭い道のゴールにオアシスがあるとは、さすが水の街である。
迷っていたら、たまたま蕎麦屋さんが言ってた和菓子屋についた
迷っていたら、たまたま蕎麦屋さんが言ってた和菓子屋についた
その後も、狭い道が多いという辺りを目指し自転車を漕いだ。いま、目指してる、と書いたが実際は道に迷ってた。自転車を返す時間が迫ってるし、この辺で旅は終わりか…。

と思った所で、高級感のある建物が目に止まり近づいてみると、お蕎麦やさんがお土産に良いと薦めてくれていた「開運堂」というお店だった。

お薦めスポット7:開運堂のどら焼

どら焼と白鳥の湖(超美味しい)というお菓子を購入
どら焼と白鳥の湖(超美味しい)というお菓子を購入
駅前などに数店舗あるそうだけれど、この松風庵という店舗は閑静な場所にあった。創業100周年記念に、和菓子にあう理想の環境として建てられたそうだ。

お土産を購入し、最後の最後にお薦めスポットを聞いた。
相談してくれてる
相談してくれてる
自転車を返すまでの時間がもう無いので、この辺りがいいですと伝えた。すると、

お薦めスポット8:庭園の眺めと麦茶

お店のお茶席からの眺めを薦めてくれた
お店のお茶席からの眺めを薦めてくれた
冷たい麦茶までいただいてしまった。2ページ目で井戸水をいただいたのも含め、飲み物には事欠かない街である。
落ち着くわあ
落ち着くわあ
静かな空間に、新緑を通した柔らかい日差し。旅の最後にとても癒される事ができた。雪景色もいいんですよ、と店員さんは言っていた。

ぜひ見てみたい。その時は迷わずにたどり着くだろうか。
名前も縁起良くて嬉しい
名前も縁起良くて嬉しい

水と工芸と山と蔵の街

こうして、今回も地元の人たちのお陰でとても楽しむ事ができた。自転車を借りる事もでき、松本の町をより堪能できたなと思う。
あ、でもお城ちゃんと見るの忘れてた。私の記憶の中の松本城は葉っぱのモザイクがかかったままだ。

次はどこの町の人たちに頼ろうか。今からとても楽しみだ。
途中見つけた喫茶店のサンプルが怖かった
途中見つけた喫茶店のサンプルが怖かった
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