特集 2012年7月3日

じいさんばあさんを笑わせろ

じいさんばあさんの人口が多いなら、そちら向けに記事を書くべきでは?と思い当たった
じいさんばあさんの人口が多いなら、そちら向けに記事を書くべきでは?と思い当たった
私はこのサイトで20代30代を読者として想定して記事を書いているが、そんなことでいいのだろうかとふと思った。

高齢化社会となった今、おじいさんおばあさんたちを笑わせる記事を書いた方が多くの人に届くのではないか。

だがどうやって?今回はおじいさんおばあさんの笑いのツボを探っていきたい。
1980年生。明日のアーというコントのユニットをはじめました。動画コーナープープーテレビも担当。記事はまじめに書いてます(動画インタビュー)

前の記事:布団でぞうきんを作ったら大きすぎて笑いました

> 個人サイト Twitter(@ohkitashigeto) 明日のアー

漫才協会に学べ!

「おじいさんおばあさんの笑わせ方を知りたいのですが…」と相談したのは、東京で漫才といえばの漫才協会。

名誉会長内海桂子、会長青空球児…浅草東洋館で寄席を開催し、東京のお年寄りたちを日夜笑わせ続けている老舗中の老舗だ。
月一回北千住でやってる「天空寄席」の出番前の芸人さんにインタビュー。無料ということもあって、おじいちゃんおばあちゃんたちがガンガン入ってきてます。
月一回北千住でやってる「天空寄席」の出番前の芸人さんにインタビュー。無料ということもあって、おじいちゃんおばあちゃんたちがガンガン入ってきてます。
今回お話を伺ったのは、世界少年、ニックス、キラーコンテンツの若手コンビ。寄席(お年寄り向け)とライブ(10代~30代向け)の両方をこなしているので世代による笑いのツボの違いには意識的であるはず。

そして実際に色々な笑わせ方のポイントを教わった。箇条書きではあるがこちらがそうである。

・ゆっくり話す、説明を多くする、情報量は減らす
・問いかけるといい
・話をよく聞いてネタとして理解する
・話をよく聞きすぎ、真に受ける場合があるので盛りすぎ注意
・毒舌や暴力は年齢を伴わないと難しい
・ブラックジョークと自虐はウケる
・時事ネタがウケる
・衣装(カッチリした格好)
・清潔感と眉毛を出すこと
・共感できること、語り手に説得力が必要
・じいさんばあさんはほめられたい
・おばあさんはいつまでも女性だ
・ダジャレやうまいことはウケる
・わかりやすさ(動き、化粧、カツラ、親子の大衆演劇、知っている話)


どういうことであるか?は順を追って見ていこう。
話を聞いたのは、左から世界少年、ニックス、キラーコンテンツの漫才コンビ
話を聞いたのは、左から世界少年、ニックス、キラーコンテンツの漫才コンビ

あのナイツもゆっくり喋ってる

――お年寄りのお客さんと若いお客さんは違いますか?

吉田(世界少年)
「僕らはもう完全に分けてやってますね。スピードもものすごく落として。話自体も変えて、オチとかもぜんぜん違いますね。若い子はオチまでに細かいボケを入れないと笑ってくれない」

エミ(ニックス)
「若い人向けだと、三秒に一回笑いをとれ、とか言われてますよね」

――えっ!三秒!?

トモ(ニックス)
「大げさだけど、ナイツとかはほんとにそれくらいでやったりするよね」

鯨井(世界少年)
「そのナイツさんも寄席だとしゃべるスピード変えてますからね。速さが全然違いますから。」

トモ(ニックス)
「若い人は振ってボケて振ってボケてでいけるんですけど、お年寄りは振って説明してボケるみたいな。オチまでに一分くらいかかったりとか」
お年寄りには漫才のネタ自体変えるという世界少年の吉田さん(写真左)、鯨井さん(右)。鯨井さんは元銀行マンで芸歴二年。二年でこんなに喋れるようになるのか!と思うほど。
お年寄りには漫才のネタ自体変えるという世界少年の吉田さん(写真左)、鯨井さん(右)。鯨井さんは元銀行マンで芸歴二年。二年でこんなに喋れるようになるのか!と思うほど。

100歳以上はほんとに聞こえないらしいぞ

――ゆっくりやって、説明を多くする、と

エミ(ニックス)
「それでも聞こえないとかありますね。敬老会で漫才させてもらう時はご老人ばっかりで。一番前の方は高齢の方、ほんとに100歳以上とか」

トモ(ニックス)
「いつもの寄席のネタを1.5倍の長さにゆっくり伸ばしていってやるんですけど、何も伝わらないんですよ。前の高齢のおじいちゃんおばあちゃんはポカーンって。

ただそんな最前列のおじいちゃんおばあちゃんが、ふん、とでも笑うと、よっしゃ!って(ガッツポーズ)」

話しぶりを聞くと、若者向けとお年寄り向けの漫才は相当ちがう。ゆっくり喋って説明を入れて、とにかく分かってもらう必要があるようだ。

point
→ゆっくり話す、説明を多くする、情報量は減らす
出演はほとんどが寄席だというニックスのトモさん(妹・写真左)、エミさん(姉・右)。ケーブルテレビ足立に出演中。アメリカ人の祖父を持つクォーター姉妹だが、喋り方はド直球の浅草スタイル。
出演はほとんどが寄席だというニックスのトモさん(妹・写真左)、エミさん(姉・右)。ケーブルテレビ足立に出演中。アメリカ人の祖父を持つクォーター姉妹だが、喋り方はド直球の浅草スタイル。

三角関係を作れ!

エミ(ニックス)
「師匠たちに教わったのは三角関係を作れって、自分たちだけの自己満足のしゃべりでなく、お客さんにふってしゃべって、みたいなね」

――お客さんにふる?

鯨井(世界少年)
「そうですよね?って客席に向かって聞いたりですよね。高齢者の方ってふるとうんうんってちゃんとうなずいてくれるんですよね」

そういえば漫才ではみんな問いかけている。漫才自体が閉じてない、開かれた世界になるし、問いかけられると理解力も上がる。何より親近感がわく。

point
→問いかけるといい
たしかにみんなガンガン客席にふっていた
たしかにみんなガンガン客席にふっていた

「わかんねーよ、帰れ!!」

トモ(ニックス)
「今のお笑いはしゃべくりっていうよりはキャラクター重視になってますが、お年寄りだとネタをしっかり聞いて、笑ってくれますね」

和出(キラーコンテンツ)
「寄席で一回ガンダムのネタをやったんですよ」

長谷川(キラーコンテンツ)
「客席から『わかんねーよ、帰れ!!』って言われて…聞いていただいてるなって思いました(笑)」

なぜお年寄り漫才は理解させる必要があるのか?と思っていたがこのためか。ネタをしっかり聞きたいから、分かりやすい方がいいのかも。

そしてゆっくりやって説明聞いてやっと分かった漫才がガンダムだとは。

point
→話をよく聞いてネタとして理解する
寄席でガンダムのネタをやって「わかんねーよ、帰れ!!」と怒鳴られたキラーコンテンツ。今では振り込め詐欺ネタなど大人の漫才を。
寄席でガンダムのネタをやって「わかんねーよ、帰れ!!」と怒鳴られたキラーコンテンツ。今では振り込め詐欺ネタなど大人の漫才を。

すごく素直

――話をよく聞く、と

鯨井(世界少年)
「一度ボケで、栃木のかんぴょうは一年間で地球四周作るんだ、ってちょっと盛って笑わせようと思ったんですけど、すごく素直だからそれを真剣にメモってたんですよ。難しいなって思いましたね」

長谷川(キラーコンテンツ)
「笑ってほしいところで声援がきたことがあります。たとえばですけど、バイトしてるんですよって言ったら『がんばって!!』 って声が返ってくる」

point
→話をよく聞きすぎ、真に受ける場合があるので盛りすぎ注意
漫才中に差し入れがあるのも孫感覚だからか
漫才中に差し入れがあるのも孫感覚だからか
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