特集 2021年3月17日

ストローで正真正銘のストローハットができました

散歩に行くと、日差しが熱いなと感じる季節、春がやってきた。
家を出て2分くらいで「帽子を持ってくれば良かった。」と後悔する。

春も来たことだし、麦わら帽子が欲しい。
自粛で時間はあるので自分で編むのもいいかもしれない。

ところで、麦わら帽子は英語でストローハットという。ミートスパゲッティがミートのスパゲッティであるように、ストローハットもストローのハットでなくては話が違う。

もともと英語でストローは藁という意味だが、今や日本では飲むストローが一般的なのだ。

このままでは藁だと知らない人が、混乱してしまう。大変だ。
飲む方のストローでも帽子を作っておかなければいけない。

1995年、海の近く生まれ。映画と動物とバーベキューが好きです。オレンジジュースを飲んでいたコップに麦茶を注いでもらう時でも「コップこのままでいいよー!」と言えます。

前の記事:パジャマから一瞬で着替えられる服をつくる

> 個人サイト たびっこ動物

ストローは万能だ

早速、200本入りで100円の曲がるストローを買ってきた。コスパがすごい。

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カラフルでかわいい色にした。

私はストローを信頼している。
子供の頃、工作にはよくストローを使っていた。
セロテープがしっかりくっつくし、水に濡れてもしおれない。曲がる部分もあれば曲がらない部分もある。
立体的で見栄えが良いし、潰そうと思えば平くもなる。形が安定していて壊れにくい。

ストローは工作に万能なのだ。
きっと耐水で汚れに強い、形態安定した帽子が作れるだろう。

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さぁ、ストローの力を存分に発揮しておくれ。

ストローには飲む以外の分野でも活躍してほしい。もちろん帽子になることだ。
ストローもそうなることを望んでいると思う。

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「ストローハットなのに僕が使われてないなんておかしいよ!僕にだってできるよ!」と聞こえてくる。

今回はストローの弁護士になったつもりで、この異議申し立てを支えたいたいと思う。

とはいえ、私は帽子を作ったことがない。今のところ使えない弁護士だ。
だが、作ったことがなくてもできると思う。
ストローハットの完成図は見えないが、自信はある。

例えるなら、イタリア料理屋で「サーモンとセルバチコのポモドーロ」というメニューを見て、何がなんだかわからないけどサーモンって書いてあるから美味しいに違いない、という自信、あれと似ている。

ストローは裏切らない

それから1週間後。
ストローはやはり万能だった。私は完璧な、正真正銘のストローハットを作ることができた。

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見違えるような出来栄え。

きっとストローも喜んでいることでしょう。
私も光栄です。

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かぶってみた。

あまりに良くできたので、もっと似合う人にもっと似合う服で着てほしい。
そんなデザイナー心まで生まれた。

ストローハットができるまで

ストローハットは縫ったらできた。
制作の途中までストローは縫えないと思っていたが、やってみたらあっさり縫えた。ストローの対応力がすごい。

まずは頭頂部の丸い円盤を作っていく。

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つむじのあたりからスタート。

ストローに切り込みを入れてカーブを作り、潰しながら縫っていく。カーブはカクカクになるが縫い重ねていき、円に近づける。

本物のストローハットも同じようにつむじから円形に縫っていくので、素材だけストローになったイメージだ。出来上がりに期待が持てる。

ちなみに、透明のミシン糸を使って縫い目は目立たないようにしている。

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透明なので糸処理が甘くてもいい優れもの。

頭の大きさになるまで円を広げていく。

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頭頂部の円が完成!もうストローに見えない。

縫幅は約2ミリ。糸が落ちないように慎重に縫っていく。これが縫えればミシンが上達すると思う。

次は側面部を作っていく。
側面は板状のものを作り、一つにつなげてから筒にする。

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ストロー10本の板を3枚作った。

頭頂部の円と繋げていく。

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針がプスプスと穴を開ける音が気持ちいい。ストローは引っ掛かりがなく針が刺さる、絶妙な柔らかさなのだ。

縫うのがやはり正解だったと思わせるスムーズさ。

できた!

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手術中の帽子が。

蛇腹の曲がる部分は柔軟なのでカーブの手助けをしてくれる。曲がらない部分が直線的で張っているがそのうち慣れるだろう。

今のところ、ちょっとオペ中にしか見えないのだが、私は知っている。
帽子の見た目で大事なのは装飾、つまりロゴだということを。まだ慌てる段階じゃない。

筒のまま、つばのピンクを足していく。

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どことなくマタニティやナースっぽいカラーリングだ。

まち針の刺さっている部分7箇所に切り込みを入れて、つばが広がるようにストローを足していく。

短い板状に縫ったストローを裏に当てて縫い付ける。

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つばが円になるように、余計な部分を切り落とす。

質感と色からプールを連想したので、海のロゴマークをつけた。

できたー!完成!

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ロゴのおかげでイマドキ感がUP。

帽子のつばから伸びているストローは、いざというときに飲むために刺した。いいアクセントになっている。

このストローハットは、だいたい100本くらいで作れた。ということは50円でできてしまったのだ。驚きの安さである。

さて、試着。

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なんかワクワクさんっぽい。

頭のサイズもちょうど良くできた。形も申し分のない、誰がどうみても帽子だ。
見事なまでの勝訴である!

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全然普通にかぶれる

ストローでできたストローハットは、晴れの日はもちろん雨の日もかぶれる。

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日差しを防いでくれています。

突き刺したストローの端は、意外にも視界に入らず気にならないので、安心してください。この帽子に死角はありません。

頭頂部が固いので浮いたように見えるが、帽子を少し後ろめにかぶると自然だ。

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後ろ姿は部族っぽい。ストローがインディアンの羽みたい。

刺してあるストローを取れば、全然普通の帽子である。

ストローがなくても大丈夫

ストローハットをかぶっていれば、ドリンクをテイクアウトした時にストローがなくても大丈夫。

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今回は自信をもって、ストローいりませんと言った。

この刺してあるストローの出番である。

ストローを外して、

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衛生面が気になる人は除菌シートを持っておくと便利です。

刺す。

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ここで、あ!そうだ!私が帽子から取り外したものはストローだったんだ、と思った。

それほどストローではなく、帽子の一部という認識になっているのだ。

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もう飲める。ストロー大活躍。

飲める!
そりゃストローだから飲めるのだが、なぜか感動!

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してやったり。

これが正真正銘のストローハットだ。
ストローでできていて、飲むこともできるストローハット。

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ルネッサーンス!

新しいファッションは楽しい

絶対に適さない素材でファッションを作ると楽しい。思いがけない味が出た。

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映えている。

ポリエチレンでできたこんな質感の帽子は見たことがない。

ロゴマークの、ストローを生かした立体感もおもしろい。曲がる蛇腹の部分を利用したカーブが、この帽子に遊び心をもたらしている。

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物撮りが楽しい!

常識という名のつばに突き刺したストローは、自由に伸び、新しいイメージを湧かせる。
アンテナのようにも、煙突のようにも、スキューバダイビングのゴーグルについている水抜きにも見える。

機会があればプールでかぶってみたい。あと、雨の日にも。

ストローと馬鹿と鋏は使いよう

ストローハットができるまで、実は結構試行錯誤をしていた。
最初はストローを編んでみようと思った。

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ストローを2本繋げて真ん中で束ねる。

これを軸として、長く繋げたストローを巻きつけながら編んでいく。

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ストロー、固っ!

ストローが全然しなやかじゃない。
しなやか度2くらいしかない。ほんの少しならしなるのだが、ある点を超えると拍子抜けたようにぽきっと折れてしまい、綺麗に編めない。
これでは、帽子にあるまじきスキマが開いてしまう。

次に、カーブを作るには、温めて成形したらいいんじゃないの、と思ってコンロにかざしたら一瞬で溶けた。

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瞬きしてたらこうなっていた。わらびか。

コンロは強すぎた。そりゃ、限度はある。ストローもびっくりしたと思う。少し熱めの電球でやってみよう。

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温まったかなと思って触ったら指紋の型がついてしまった。指が熱い。

私の指紋だらけの帽子は、誰もかぶりたくないと思う。私でさえ嫌だ。

さて、どうしようかと悩みながら一旦細かく切り刻んでみた。

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もう枕にしちゃおうかな

そんなこともありながら、私はストローのポテンシャルを信じて、縫うにたどり着いたのであった。


ストローで帽子が作れたのだから、違うアイテムも作れると思う。
サンダルやカバン、マスクもかわいいと思う。

ストローで全身作ってみたい。ストローならできる。
いや、流石に服は難しいかもしれない。直線的なのでガンダムみたいになりそうだ。

でも、いつか作る日が来たら、また見守ってください。

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