ちょっと聞いてよ 2023年1月23日

HARIOが発売している蒸留器「ハーブウォーターメーカー」を使ってみた

耐熱ガラスメーカーのHARIO(由来が「玻璃王(ガラスの王)」と知っていただろうか?)が製造・販売している蒸留器「ハーブウォーターメーカー」。水蒸気蒸留が手軽にできるとのことで、さっそく試してみた。

日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの花屋。花を売った金で酒を買っている。

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1921年創業の耐熱ガラスメーカー・HARIO。カフェ等の専門器具から、ホームセンター等で買える食器まで幅広く販売しているが、こんなニッチな製品を扱っていることをご存知だろうか。

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ハーブウォーターメーカー。

なんだこれは?と思われるだろうが、水蒸気蒸留用の蒸留器だ。

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中にはガラスの器具一式と、ハーブウォーター(蒸留によって得られた芳香蒸留水)の保存をするためのフラスコ、親切に加熱用キャンドルまで入っている。

筆者は以前、ホームセンターにある器具を使って簡易蒸留器を作ったことがあるが、その本物(本物?)がこれだ。
一般的な水蒸気蒸留の装置は「中型犬くらいあるな」という感じの巨大なステンレス鍋であることが多く、家庭で使うのに難儀するのだが、HARIOのハーブウォーターメーカーは幅15cm、高さ24cmほど。子猫のようなサイズ感である。

(ちなみに筆者はこれを家族からのクリスマスプレゼントとして貰った。いい子はクリスマスにおもちゃを貰えるが、いいwebライターはクリスマスに蒸留器をもらえるのだ。)

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さっそく使ってみよう。付属の説明書に従って、まずはドライハーブ(今回はジュニパーベリー)を5gはかる。そのままだと香りが出づらいため、乳棒で軽く潰しておいた。
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「下ボール」と記載のある部分にジュニパーベリーと熱湯を入れ、キャンドルに火をつける。
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「上ボール」には冷却用の氷を入れておく。下ボールで熱された蒸気が冷やされて水滴となり、上ボールの傾斜に沿って、中のフラスコに流れ落ちるという仕組みだ。

ちなみになぜこんな回りくどいことをするのか、お茶のように煮出すのではダメなのかと思われるだろうが、水蒸気蒸留の利点は「沸点が100度を超える香気成分を採ることができる」ことにある。また、ほぼ無色透明の芳香蒸留水を得ることができる。

つまり、お茶よりも澄んでいるように見えるが、実際ははるかに香り豊かな液体を取り出すための装置なのだ(雰囲気を壊す例えかもしれないが、お味噌汁の鍋の蓋についた水滴を集めるような作業/その場合集まるのは「お味噌汁の芳香蒸留水」だ)。

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1時間ほど経って中を見ると、ジュニパーベリーの芳香蒸留水が溜まり始めていた。牛歩だが、昔の錬金術師になったようで愉快な気分である。
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2時間経過して得られたものがこちら。一見ただの水のように見えるが、鼻を近づけるとジュニパーベリーの華やかな香りが広がる。

ところでこの蒸留器について、説明書には「蒸留水は飲用ではありません」とある。推奨される使い方は化粧水やリネンウォーター、ルームスプレー、そして入浴料。

「お茶として飲めるハーブの、蒸留水が飲めないとはどういうことか」と思ったが、植物の中には食用に適さないものもあるし、農薬を使用しているかの有無なども考慮しなければならないため、飲用できる材料とそうでないものの線引きをするのが困難なのだろうと想像する。
それはそれとして、このような蒸留器で作った芳香蒸留水を、カクテルにして提供するバーもいくつか知っている。

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霧吹きに入れて数プッシュしてみた。センスのいいインテリア店のような、小綺麗な匂いがする。

ローズマリーやラベンダーなど、香りが強いハーブを使えばルームスプレーとして機能しそうだ。アロマオイル代わりに焚くのもいいだろう。

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ということで、なぜかワイングラスに入った芳香蒸留水の写真でお別れです。

筆者宅の冷蔵庫にはトニックウォーターが冷えていますが、もちろんそんなことはこの記事と関係ないのですから。

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