1921年創業の耐熱ガラスメーカー・HARIO。カフェ等の専門器具から、ホームセンター等で買える食器まで幅広く販売しているが、こんなニッチな製品を扱っていることをご存知だろうか。
なんだこれは?と思われるだろうが、水蒸気蒸留用の蒸留器だ。
筆者は以前、ホームセンターにある器具を使って簡易蒸留器を作ったことがあるが、その本物(本物?)がこれだ。
一般的な水蒸気蒸留の装置は「中型犬くらいあるな」という感じの巨大なステンレス鍋であることが多く、家庭で使うのに難儀するのだが、HARIOのハーブウォーターメーカーは幅15cm、高さ24cmほど。子猫のようなサイズ感である。
(ちなみに筆者はこれを家族からのクリスマスプレゼントとして貰った。いい子はクリスマスにおもちゃを貰えるが、いいwebライターはクリスマスに蒸留器をもらえるのだ。)
ちなみになぜこんな回りくどいことをするのか、お茶のように煮出すのではダメなのかと思われるだろうが、水蒸気蒸留の利点は「沸点が100度を超える香気成分を採ることができる」ことにある。また、ほぼ無色透明の芳香蒸留水を得ることができる。
つまり、お茶よりも澄んでいるように見えるが、実際ははるかに香り豊かな液体を取り出すための装置なのだ(雰囲気を壊す例えかもしれないが、お味噌汁の鍋の蓋についた水滴を集めるような作業/その場合集まるのは「お味噌汁の芳香蒸留水」だ)。
ところでこの蒸留器について、説明書には「蒸留水は飲用ではありません」とある。推奨される使い方は化粧水やリネンウォーター、ルームスプレー、そして入浴料。
「お茶として飲めるハーブの、蒸留水が飲めないとはどういうことか」と思ったが、植物の中には食用に適さないものもあるし、農薬を使用しているかの有無なども考慮しなければならないため、飲用できる材料とそうでないものの線引きをするのが困難なのだろうと想像する。
それはそれとして、このような蒸留器で作った芳香蒸留水を、カクテルにして提供するバーもいくつか知っている。
ローズマリーやラベンダーなど、香りが強いハーブを使えばルームスプレーとして機能しそうだ。アロマオイル代わりに焚くのもいいだろう。
筆者宅の冷蔵庫にはトニックウォーターが冷えていますが、もちろんそんなことはこの記事と関係ないのですから。