というわけで、いい大人たちがどうしてもWEB上でじゃんけんがしたくて試行錯誤した結果、現状の正解と思われる「がっちりじゃんけん」が誕生しました。最後にもう一度、パリッコとスズキナオによるがっちりじゃんけんの様子をご覧ください。
こんな簡単なことができないとは!
まずは話が早いと思うので、パリッコとスズキナオがWEB上でじゃんけんをした様子をそれぞれの環境から録画した、この動画を見てみてください。
スズキナオ視点
これだと、割とできているように見える。ところが、パリッコ視点だと……
ナオさんがだいぶ遅れ、ほとんどあとだし状態!
パリ:僕とナオさんでWEB飲みをしている時に、「ちょっとじゃんけんで決めましょう」みたいなことがあったんですよ。それで何気なくやってみたら、全然うまくいかなくて。
ナオ:ずれちゃうんですよね。タイミングが。
パリ:そうそう。たぶん回線速度の違いが原因なんですよね。それで、一度画面の下でグーとかパーを作っておいてサッと出してみる、とか試してみたんだけど。
ナオ:決め手にかけたんですよね。なので今日はWEB飲みでじゃんけんができない問題をどうにかして解決できないかと。
パリ:例えば、スマホやメモ帳に自分の出したい手をあらかじめ書いておいて、ぱっと見せあうとか、やりようはいくらでもあるんですよ。でもやっぱり、道具を使わず身ひとつでなんとかしたい。それを古賀さんに提案したら、「そういえば前にカルカルの横山さんが、WEB飲みだとみんなで同時で手を打つことができないって言ってた」って。
横山:それで今日は俺が登場してるわけね(笑)。
古賀:ちょっと1回やってみます? まずは4人で。
横山:誰か1人が掛け声をやったほうがいいよね。
パリ:じゃあ古賀さん、かけ声をお願いしていいですか?
古賀:えーと「最初はグー」でいい? いきますね。最初はグー! じゃんけんぽん!
パリ:ははは。
古賀:まず、手がちゃんと見えないですよね。
ナオ:枠からはみだす。事前に画面の感じを確かめないといけない。
横山:あのさ、WEBじゃんけんって片手でやるとどうしても判定しづらい問題があるでしょ。でも、両手で出すとすごくわかりやすいんですよ。これ、一度やってみていい?
ナオ:やりましょうやりましょう。
横山:いくよ。はい、じゃんけん、
横山:う~んと……パリッコの勝ち。
パリ:はは。ですね。ただ、根本的な解決にはなってないけど(笑)。
横山:うん。あとさ、実は、画面に向かって手を出すんじゃなくて、顔の横に見えやすく出すだけでじゅうぶん。
パリ:ちょっともう一度、ナオさんと2人でやってみます?
ナオ:はい。最初はグー!じゃんけんぽい……あー! これ僕から見るとかなりずれがありますよ。パリッコさん、あとだしっぽいですよ。
パリ:え! 本当ですか?
横山:そうなるよね。俺と古賀さんにはナオくんとパリッコのじゃんけんは割とちゃんとできてるように見えてるんだよ。でも、たぶんナオくんからすると全然合ってない。要するに、俺が見てる俺と、古賀さんが見てる俺、パリッコが見てる俺、ナオくんが見てる俺が、それぞれ違うんだよ。
ナオ:タイムラグがそれぞれにあるわけですね。
横山:あのさ、俺が「せーの」って言ったらみんなで一緒に手を叩いてもらっていい? はい、せーの!
横山:俺から見ると3人ともすごく遅れてるんだよね。
パリ:主催者から見ると遅れるんだ。
ナオ:じゃあ僕がかけ声やっていいですか? せーの! パン。あ、本当だ、遅れる。
パリ:だから、さっきのじゃんけんではナオさんがホストだったけど、僕がホストになると遅れて見えるのかな。ナオさん、もう1回じゃんけんいいですか? 最初はグー! じゃんけんぽい! ……やっぱりナオさんがあとだしに見える。
ナオ:こっちは普通なんですよ、タイミングが合ってるように見える。自分から見た自分は早いのか。リアルタイムなのかな?
古賀:自分だけが今ですもんね。
パリ:ややこしい! やっぱり簡単ではないな。
横山:すごいシビアなこと言うと、無理なんですよ。奥田民生さんとか斉藤和義さんとかがZOOMで演奏しようとして、結局絶対できないっていう動画があって。あれだけのミュージシャンでも結局できなかったっていうオチなの。だから無理なんだと思う。
パリ:そこをなんとか発想の転換で乗り越えられないかっていうところなんですよ。だって、たかがじゃんけんですよ?
「目隠しじゃんけん」ならどうか?
パリ:例えばさ、こうするでしょ?
パリ:全員こうしてあらかじめ出しておいて、せーのって顔を上げたらダメなのかなとか。
ナオ:うん、要するにズルはできないっていう。
パリ:誰かホストに見てもらええばいいのかな。
古賀:じゃあ、ホストはじゃんけんに参加しないっていうのはどうですか?
パリ:それだったら絶対できると思いますよ! でも欲を言えば、全員参加でできないとなぁ。試しに、僕がホストをやるので、横山さんに見張り役になってもらえます?
ナオ:パリッコさんもじゃんけんを出すのね。試してみましょう。
古賀:じゃあ横山さん以外の3人が伏せてみましょうか。
パリ:横山さん、見えます?
横山:見える。すごいシュールな絵になってるけど(笑)。
パリ:僕が3、2、1って声かけますね。0のタイミングでいっせいに顔を上げましょう。
古賀:そのタイミングで出せばいいんですか?
パリ:いや、もう何を出すかは決めて先に出しておくっていう。
ナオ:あ、もう今出していいんですね。
パリ:あとは顔を上げるだけ、いきますよ。3、2、1、0!
古賀:……あいこだ。
ナオ:はは、あれだけ頑張ったのにあいこか。
横山:いやでも、パリッコ、ある種天才だと思う。これズルできないし、「人狼」に近くなってきてておもしろい。
パリ:はは。顔を伏せながら「いま俺チョキ出してるよ~」とか言えますもんね。
横山:ズルもできないしある程度は解決してるんだけど、シビアに言えば、さっきみたいにあいこが延々続くと、超だるい(笑)。
ナオ:ははは。確かに。
古賀:そもそも監視役が必要っていうのはねー!
横山:3人が伏せた状態でじゃんけんをして、勝負が決まるまで俺が掛け声をかけていくっていうのもありかもね。それで、決着がついたら3人が顔を上げるっていう。やってみましょう。
横山:はい、解決しました。
古賀:顔を上げていいんですか?
横山:はい、上げてみてください。
古賀:いえーい、勝った!
横山:その前が3人ともグーで、その前はグーチョキパーになってたかな。
パリ:でもこれ、じゃんけんの爽快感はまったくないですね(笑)。
ナオ:そして横山さんが本当に真実を語っているかはわからない(笑)。古賀さんを勝たせてあげようとした可能性もある。
古賀:ははは。
パリ:そうだよ。僕らを騙してる可能性がある。
古賀:私が横山さんにワイロを送ってる可能性もあるもんね。
パリ:だけど、そもそも見張り役がいないと、本当に相手が伏せてるかもわかんないんだよな。自分が伏せてる間にナオさんがパッと見てることもありえる。
ナオ:ははは、そうだ。もう相手が疑わしくてしかたないっていう。
パリ:ちょっと2人でやってみましょう! 3、2、1、はい!
古賀:違う違う!
ナオ:あーわかんない!
パリ:でも、これズルはできちゃうな。100%の解決策じゃない。
横山:いいところまでは来てる。あとは爽快感を作れれば。
問題は「レイテンシ」にあった
ナオ:時報とともにやるとかどうなるんだろう。
パリ:今現在の正確な時間がわかるサイトってありますよね。全員がそのページを自分のパソコンで開いておいて、今が9時20分だから、21分ちょうどに出してみましょうか。
パリ:今、いけたんじゃないですか?
古賀:時報に合わせても意味ないかなと思ったけど、やったら意味ありますね。
横山:ただ、回線の混雑具合にもよるから、今はまだ朝だけど、これが昼ぐらいになるともっと遅れてくるかも。だから、本気でじゃんけんしたいなら真夜中かもね(笑)。
古賀:その人の環境にもよるわけですよね。うちは回線状況が悪いからより遅れるとか。
ナオ:僕のじゃんけんなんか大阪から届いてるわけですからね。
古賀:それ関係ないでしょう(笑)。でも、スピードテストすると、いつもうちだめなんですよね。
パリ:でもその状況を揃えるのは無理ですもんね。
「レイテンシ」とはずばりタイムラグ、遅延時間のことで、1ミリ秒とは1/1000秒のことだそう。パリッコ宅が5ミリ秒なのに対し、古賀さん、ナオさんは、それぞれ15ミリ秒、14ミリ秒と若干遅延が長い。ただ、そんな細かい世界が影響してじゃんけんができないというのもおもしろいです。
ちなみに下の動画は、パリッコがホストとなり、レイテンシ数値が近い古賀さんとナオさんにじゃんけんをしてもらったもの。
2人ともちょうど同じくらい遅れてて笑える
スローモーションや高速なら?
ナオ:画面のミュート機能を使うとかはどうですかね?
パリ:いいかも!?
古賀:この、ビデオの停止ってやつですか?
ナオ:はいはい。で、どれかの手を出した状態で現れることはできますか?
古賀:はい。じゃんけんぽい!
パリ:出てきた! あ、でも古賀さんには僕がグーを出してるのは見えてたんですよね?
古賀:見えてました(笑)。
パリ:それを解決しないとな。試しに古賀さんと横山さんで、ミュートじゃんけんをしてみてもらえませんか?
ナオ:今もうおふたりとも手は出してます?
古賀:出してます。
横山:出してる出してる。
古賀&横山:せ~の、じゃんけんぽい!
ナオ:わはははは!
横山:これもだめだよ(笑)。ただ、ぱっと登場するのはちょっと爽快感あるかも。ゲーム感が出てきたというか。
古賀:じゃあ私がホストやりますね。じゃんけんぽい!
パリ:かなりずれるけど、両手を使わなきゃいけないし、ズルをしてる余裕はない感じですね。
ナオ:うん。しかも、ぱっと現れる感じがポップでいい。
横山:あのさ、スローモーションでやるってのはどうかな?
古賀:どういうことですか?
横山:「じゃああーーけーんんぽおおおおーい」って。
ナオ:ははは。そのスローモーション具合は自分の加減でいいんですか?
横山:うん(笑)。
古賀:ははは。なんなんすかこれ。
パリ:余裕であとだしできるよ(笑)。
ナオ:スローだからよりズルできる。これ、のん気なじゃんけんだったらいいですけど、なんかの理事長やらなきゃいけないとか、そういうじゃんけんだったらシビアですよ。スローだとケンカになる。
横山:ただスローモーションやりたいだけだった(笑)。
パリ:逆にじゃあ、こうやって、ものすごいスピードで手を振ってじゃんけんを見えなくして。
ナオ:ははは、これもなんなんですか?
横山:説明して! どういうこと?
パリ:見えないぐらい早く振れないかなと思って。
横山:なんだこれ! でも、「高速じゃんけん」と「スローモーションじゃんけん」をまた発明できたね。
パリ:今までのところだと、時報じゃんけんがいちばん成立してた気がするけど、時間まで待つってのもまだるっこしいんだよな。……あ! こういうのはどうです? もう、グーチョキパーの形を変えちゃう。例えば、これがパーだとするでしょ、これがチョキ、これがグー、で、もう一方の手で覆い隠す。
古賀:グーが、えーと、これでチョキが?こう、で、パーはこう?
ナオ:難しいな!
パリ:で、それをもう片方の手で隠して、3、2、1で外すわけですよ。やってみますよ。はい、3、2、1!
古賀:ははは。
パリ:これ、よくないですか?
ナオ:この覆ってる手の中にあるのが普通のグーやパーではだめなんですか?
パリ:それだとパッと一瞬でかえられちゃうじゃないですか
ナオ:なるほど、瞬時に変えるズルを防いでるんだ。
古賀:それであえて複雑な形にしてあるんですね。ナオさん横山さんともう一回やってみてください。
横山:じゃんけんぽい!
ナオ:……これは、グーだっけ?
パリ:えーと、うん。だから、ナオさんの勝ち。
横山:爽快感はゼロだね(笑)。でもいいとこまでは来てる。
「がっちりじゃんけん」の誕生
パリ:なんとなく正解に近づいてきた気がしますよね。つまり、グーチョキパーをもっと難易度の高い形状にすればいいんじゃないですかね? 例えばこのカエル。
パリ:これをグーだとして、3、2、1で下から出せば、オンラインでのタイムラグの間くらいでは変えようがないじゃないですか?
ナオ:はいはい。ただ、俺はそのカエルができないな。どうやるんすか?
パリ:ええとね、右と左の小指のあたりを合わせて、親指と人差し指をくっつけて……。
ナオ:あ~。え? こう?
パリ:いや、それだと目がない。人差し指と中指の間から薬指を飛び出させて……って、ナオさん子供の頃やらなかったの!? これ。
横山:はは。もうじゃんけん以前の問題になってるじゃん。
パリ:で、カエルは、カタツムリに勝つとか。
パリ:まぁ、カタツムリがグーとチョキでできてる時点でややこしいんですが。
横山:ははは。
パリ:あ! ちょっと待って! もうグーはこれでいいのかもしれない。
古賀:あ~、変えるのを大変にする!
パリ:で、パーはこうは?
パリ:これでグーとパー入れ替えるの大変でしょ?
古賀:うん。変えようとすると肩まで使わないといけない。
パリ:チョキはそうだな……片方の手の2本の指をもう片方の手でグッと掴む。これでちょっとナオさん、やってみません?
ナオ:はいはい。それを下から出すわけですよね?
パリ:そうです。じゃあ、最初はグーだと早すぎるし、3、2、1、いや、爽快感を出すために5、4、3、2、1、でいきましょうか。
ナオ:……えっと、そっち何? 一緒?
古賀:あはは! チョキわかりづらい。
パリ:ただ、こっちから見るとやっぱりだいぶナオさんが遅いんですけど、あとだし感はないんですよね。
ナオ:もう1回おさらいしていいですか?
パリ:うん。だから、左手でチョキを出して右手でつかむ。パーも上からつかむ、グーは両手でがっちり。これなら、そんなに爽快感失われないですよね?
ナオ:はは。そんな時代もあったなぁ。
古賀:これ一度、全員でやってみませんか?
古賀:……あいこだね。
横山:やろうやろう! 決着つくまで。
パリ:……勝った!
ナオ:え?
古賀:私チョキですチョキ!
ナオ:ははは。
パリ:……あ、ナオさんの勝ちだ。
ナオ:やった!
パリ:これ、素直に認められますよ。
古賀:うん。チョキをがっちりとホールドしてますもんね。気持ちの重さが違う。
パリ:パーなんか、ぐいっと引き上げてる感じですもんね。
古賀:はは。海底に沈んだパーをね!
パリ:あ、ちょっと待って! 現状チョキがちょっとわかりづらいじゃないですか? だから、あれだ。チョキも引き上げればいいんだ。
横山:いいかもしれない。やってみよう!
横山:パリッコ、これけっこう発明かもしれない。モヤモヤ感がないもん! 俺、今回の記事の最終的な結論って、けっきょく普通にやるのがいちばんっていうところに落ち着くと思ってたんだけど、こっちのほうが正しい気がしてきた。これ、ゴールにたどりついたんじゃないの?
パリ:うんうん。ただなぁ、5、4、3、2、1、のあとの0!が若干気持ち悪いんだよな。なんかいいかけ声ないっすかね……あれ? もしかしてこれ、じゃん、けん、ぽん! でいいんじゃないですか? シンプルに。
横山&古賀:「じゃん、けん、ぽん!」
横山:これはなんて呼んだらいいんだろうね。隠し両手じゃんけん?
パリ:う~ん、なんだろうな……両手、両手……。がっちり……じゃんけん……あ、「がっちりじゃんけん」?
古賀:がっちりじゃんけんだ!
ナオ:いいんじゃないですか! だからもうかけ声も、「がっちりじゃんけん、じゃんけんぽん!」みたいな。
パリ:ははは! 出しやすい!
ずれてはいるけどズル感はなし!
読者のみなさまも、もしWEB上でじゃんけんをする必要がある際には、ぜひご利用ください。
ちなみに、さらにこのあと、もっと慎重にできないかと、がっちりじゃんけんと目隠しじゃんけんの融合も試してみたところ、これはただグダグダになっただけでした。