そこらじゅうに温泉が湧く別府
大分県の別府にやってきた。いわずとしれた温泉の街である。
別府駅まえの油屋熊八像、油屋熊八は別府温泉の観光開発に尽力した(と、解説に書いてあった)
別府温泉といっても、市内に大小いくつかの温泉地が存在し、それらをひっくるめて別府八湯なんて呼ばれていたりする。
なかでも、鉄輪(かんなわ)温泉とよばれる温泉地は、源泉が集中し、さまざまな温泉を楽しむことができる温泉地だ。
なかでも、鉄輪(かんなわ)温泉とよばれる温泉地は、源泉が集中し、さまざまな温泉を楽しむことができる温泉地だ。
鉄輪は、町の至る所から湯けむりがあがってる
鉄輪温泉にある地名をみていただきたい。
風呂本。地名からして温泉地。1組という丁目(?)も気になるが、大分には「◯組」という地名が多い
風呂に本。風呂本。清々しいほどに風呂だ。
鉄輪はいわゆる「湯治場」と呼ばれる温泉地である。湯治客が長逗留し、毎日温泉に入り、病気の治療や体力の回復を目的に滞在する温泉地だ。
したがって、毎日はいる温泉がそのまま「風呂」であるということを示しているのではないか? そうおもうといかにも湯治場らしい地名といえる。
鉄輪はいわゆる「湯治場」と呼ばれる温泉地である。湯治客が長逗留し、毎日温泉に入り、病気の治療や体力の回復を目的に滞在する温泉地だ。
したがって、毎日はいる温泉がそのまま「風呂」であるということを示しているのではないか? そうおもうといかにも湯治場らしい地名といえる。
湯治客が泊まる宿が立ち並ぶ中、道路の真ん中から湯けむりがみえる(まんなかへん)。真夏の熱いさなかでも見えるということは、かなり温度が高いのだ
湯治客というのは、減っているものの、鉄輪には湯治客が泊まるための宿泊施設が今でもある。
こういった施設では、食事は自炊であることが多いが、湯治客は、温泉の熱い蒸気を利用したかまどで、蒸し料理を作って食べるのだ。
つまり、蒸し料理は、鉄輪名物といっていいかもしれない。ということで、やっと蒸し料理の話につながった。
こういった施設では、食事は自炊であることが多いが、湯治客は、温泉の熱い蒸気を利用したかまどで、蒸し料理を作って食べるのだ。
つまり、蒸し料理は、鉄輪名物といっていいかもしれない。ということで、やっと蒸し料理の話につながった。
食材蒸し放題
「焼く」とか「炒める」とか「茹でる」とか、調理法はさまざまあるけれど「蒸す」という調理法は、少々面倒くさいので家庭ではあまりやることがないかもしれない。
しかし、常に100度ちかい熱湯が大量に噴出している鉄輪。うまいことすれば、いつでも食材が蒸し放題である。
そんな蒸し料理を、湯治客でなくても体験できる場所が「地獄蒸し工房」だ。
しかし、常に100度ちかい熱湯が大量に噴出している鉄輪。うまいことすれば、いつでも食材が蒸し放題である。
そんな蒸し料理を、湯治客でなくても体験できる場所が「地獄蒸し工房」だ。
「鉄輪地獄蒸し工房」市営の観光施設である。
蒸しかまど
98度! ぼんやりするとやけどする温度だ
この「地獄蒸し工房」では、料理ができる蒸しかまどを一釜30分510円で借り、食材を蒸して料理し、店内で食べることができるようになっている。
利用券と食材券は券売機で買う
食材は、エビ、カニ、ホタテなどの海鮮のセットや、とうもろこしやさつまいも、かぼちゃといった野菜のセット、豚肉や手羽先、お強飯など、いろんなメニューがすでに準備されており、それらを買って蒸して食べることも可能だ。
ただ、自分で持ってきた食材を蒸して食べることもできる。
自分で持ち込んだ食材も、地獄蒸しで食べて良いなんて、なんてワクワクするシステムなのか。
せっかくなので、自分が蒸して食べてみたい食材を持ち込んだ。
ただ、自分で持ってきた食材を蒸して食べることもできる。
自分で持ち込んだ食材も、地獄蒸しで食べて良いなんて、なんてワクワクするシステムなのか。
せっかくなので、自分が蒸して食べてみたい食材を持ち込んだ。
そのへんのコンビニで買える食材です
寿司、サラダに関しては、蒸したらだいたいあんな感じになるだろうなー。みたいな予想はつく。
ポイントはペヤングである。まず、蒸す。という調理法で食べられるものができるのかどうか、まったくわからない。
工房で買った食材も、持ち込んだ食材も、いったん厨房に預け、かまど用のザルなどに入れてもらう。
ポイントはペヤングである。まず、蒸す。という調理法で食べられるものができるのかどうか、まったくわからない。
工房で買った食材も、持ち込んだ食材も、いったん厨房に預け、かまど用のザルなどに入れてもらう。
手際よくザルに詰められる食材
重ねて蒸し器の中に入れてもらう
ペヤングは、ふやけ過ぎないように、水を入れず、蓋をあけてそのまま蒸してもらおうとおもったのだが、かまど担当のおばちゃんに、なぜか水を入れたほうがいいと強く勧められ、ここはプロに従ったほうがいいだろうということで、水を入れてから蒸すことにした。
蒸し時間も、かまど担当のおばちゃんが、その食材に見合った蒸し時間を教えてくれるのだが、ペヤングは蒸したことがないという。しかし今までの経験から、たぶん8分ぐらいで充分でしょうということで、8分ほど蒸すことにした。
蒸し時間も、かまど担当のおばちゃんが、その食材に見合った蒸し時間を教えてくれるのだが、ペヤングは蒸したことがないという。しかし今までの経験から、たぶん8分ぐらいで充分でしょうということで、8分ほど蒸すことにした。
色が落ち着いた寿司、萎びたサラダ、歪んだペヤング
待つこと8分
寿司、サラダ、ペヤングの蒸しが完了した。
寿司
見事に蒸しあがった寿司。寿司というよりも、鯛めし的な海鮮ご飯といった雰囲気がただよう。ネギトロの見た目は完全にツナマヨだ。これはこれでうまそうでもある。ちなみに蒸す前はこちら。
色があざやかー
これだけあざやかだったマグロやサーモンの色が、蒸すだけで郷土資料館の土器みたいな色になってしまうのだからふしぎだ。
色は派手だが萎びたサラダ
みための鮮やかさがすっかり落ちてしまった寿司に比べ、サラダは色だけは鮮やかである。ただ萎びれぐあいはすごい。100キロぐらい走った志茂田景樹みたいになった。
で、問題のペヤングである。
で、問題のペヤングである。
大丈夫か?
熱で入れ物が歪んでいるものの、とくに問題はないようだ。
おそるおそる蓋をとると……
え、水無くなってる!
中に入れた水はすっかりなくなっており、麺はしっかりとやわらかくなっていた。
今回いれた食材のなかで、いちばんマジックっぽいけど、いちばんふつうに完成している。
今回いれた食材のなかで、いちばんマジックっぽいけど、いちばんふつうに完成している。
形のまずさ、色のまずさ、ペヤングがいちばんまとも
では、さっそく食べてみたい。
サラダ→漬物だ!
サラダの地獄蒸し。付属のドレッシングをかけてからめて食べてみる。
ドレッシングとあえてみた
これは……漬物だ。食感、味、ひっくるめて、完全に漬物だ。しかも、野菜の甘みがいささか増している。はっきりいって、うまい。
サラダにこんなたべ方あったのかと感心するレベルでうまい。蒸しサラダ、つまりそれは温野菜ということだから、まずいわけないのだ。
見た目はやっちまった感あるけれど、味はうまくなるし、食べやすくなるし、いいことづくめではないか。
サラダにこんなたべ方あったのかと感心するレベルでうまい。蒸しサラダ、つまりそれは温野菜ということだから、まずいわけないのだ。
見た目はやっちまった感あるけれど、味はうまくなるし、食べやすくなるし、いいことづくめではないか。
寿司→コクがましてる?
マグロ
つぎは寿司である。
寿司ネタ自体の味は、蒸しエビになったり、ツナっぽくなっていたりと、想定の範囲内の変化であるのだが、全体的にコクが増して、旨味が強くなっているようなきがするのだ。
この旨味はいったいなんだろう? と、思いながら寿司を何個か食べているうちに「いやまてよ、もしかしてこのコクってシャリ部分? (もぐもぐ)そうだ、このコクはシャリのコクだ」となった。科学的な発見っぽく書いたけど、事実である。
シャリを蒸すことによって、いったいどんな変化がシャリにもたらされたのか知らないけれど、確実にコクは増し、旨味はつよくなっていた。
これは完全に想定外であった。
寿司ネタ自体の味は、蒸しエビになったり、ツナっぽくなっていたりと、想定の範囲内の変化であるのだが、全体的にコクが増して、旨味が強くなっているようなきがするのだ。
この旨味はいったいなんだろう? と、思いながら寿司を何個か食べているうちに「いやまてよ、もしかしてこのコクってシャリ部分? (もぐもぐ)そうだ、このコクはシャリのコクだ」となった。科学的な発見っぽく書いたけど、事実である。
シャリを蒸すことによって、いったいどんな変化がシャリにもたらされたのか知らないけれど、確実にコクは増し、旨味はつよくなっていた。
これは完全に想定外であった。
ペヤング→うまいかもしれない?
さて、問題のペヤングである。
いちばんふつうだった
容器の歪みっぷりにビビるが、麺のみためはふつうである。
食べてみると、やはり麺がやわらかい。ただこれは、許容範囲内のやわらかさだが、水は入れなくてもよかったかもしれない。
味は、これも寿司と同じく、なぜか麺のコクがいつにも増している気がする。麺の旨味がちょっと強いのだ。
今までは、カップ焼きそばのお湯を捨てるとき、麺自体から流れ出た旨味も一緒に捨ててしまっていたのかもしれない。
あと、特筆すべきは、かやくのキャベツ。これの甘みがすごい。え、お前そんなに甘かったっけ? とおもうほど甘い。甘いがしかし、粉っぽさが増した。「粉っぽい」というたとえが通じるかどうかわからないけれど、なんていうか、粉っぽいのだ。でも甘い。なんなんだこれ。
食べてみると、やはり麺がやわらかい。ただこれは、許容範囲内のやわらかさだが、水は入れなくてもよかったかもしれない。
味は、これも寿司と同じく、なぜか麺のコクがいつにも増している気がする。麺の旨味がちょっと強いのだ。
今までは、カップ焼きそばのお湯を捨てるとき、麺自体から流れ出た旨味も一緒に捨ててしまっていたのかもしれない。
あと、特筆すべきは、かやくのキャベツ。これの甘みがすごい。え、お前そんなに甘かったっけ? とおもうほど甘い。甘いがしかし、粉っぽさが増した。「粉っぽい」というたとえが通じるかどうかわからないけれど、なんていうか、粉っぽいのだ。でも甘い。なんなんだこれ。
粉っぽくなったけど甘くなった謎のキャベツ
なぜそうなったのかの機序がまったくわからない。でも、甘くて粉っぽい。どうしたんだペヤングのキャベツ。まずいわけではない。
とにかく、ペヤングは蒸して作るのも意外とありかもしれない。ということはわかった。
とにかく、ペヤングは蒸して作るのも意外とありかもしれない。ということはわかった。
食べ終わったら、各自使ったザルや器を自分で洗わなければいけない決まりになってるところが、市営の施設っぽい無骨さがあっていい
こんかい、ペヤング、寿司、サラダなどを持ち込んで蒸してみたわけだが、どれも旨味が強くなったり、甘みが増したりして、おいしくなってしまった。
もちろん、この地獄蒸し工房の蒸気は温泉の蒸気である。したがって、一般家庭で水道水を沸かした蒸気とは根本的に違う部分があるかもしれない。
それでも、蒸す。という調理法をいささか甘く見ていたかもしれない。
蒸し器が欲しくなってきた。
『地獄蒸し工房 鉄輪』