バナナの葉、こんな感じで売ってるのか
たまたまと言うか、大久保あたりでうろうろしていたら、まだ入ったことないアジア食材系のスーパーがあって、そこでやたらと積み上げられていたのだ。バナナの葉が。
冷蔵棚からはみ出すほどの物量。バナナの葉ってこういう売り方でいいのか。
で、以前からなんとなく気になっていたものがこんな量売ってるのを見かけてしまったもんだから、つい買ってしまったのだ。1袋約10枚で1,450円。
あまりに未知の食材過ぎて、これが高いのか安いのかも全く見当が付かない。
買ってはみたけど、この大量の葉っぱをどうするのか。スーパーを出て即、途方に暮れている。
とりあえず買った以上は、使ってみないと話にならないだろう。懸案の南米感あるやつを作ってみようじゃないか。
使う前に炙る、という豆知識
持って帰って改めて広げてみると、バナナの葉ってデカい。売られているものは中心の葉脈からタテに半分に切られているので、面積は単純にこの2倍だ。
これが普通に木に生えてる葉っぱだと思うと、微妙に怖い。
いや、分かる。みんなが「そんなの知ってる」って言うのは分かる。知識として知ってるし、植物園なんかで実物を見たこともある、って言うのは分かる。
でも、実際に手の上に広げてみると、所詮木の葉なんて指でつまめるサイズの物ばかりの日本国内において、このバカみたいなサイズの葉っぱって異物感がすごい。
これぐらいのサイズなら、そりゃ確かに肉でも魚丸ごとでもトウモロコシ粉でもなんでも包むわ、という実感がある。
炙っていると、じわっと水がしみ出してきて柔らかくなる。おお、なるほど!
検索すると、バナナの葉はそのままだと固くて包むときに葉脈から割れたりするので、まず直火で炙ってから使うと良い、という情報が出てきた。
なるほど、まず炙るのか。南国の人たちもいつも炙ってから使っているのだろう。もしかしたらあちらの方では、母親が子供に「ごはんだから、バナナの葉炙っといて」みたいなお手伝いをさせているのかも知れない。
次にいつ使うかは分からないが、知識が一つ増えた。
あの料理の名前はタマル
続いては「トウモロコシの粉を練って作る」という団子だ。
正直なところ、トウモロコシの粉を練って作る、以上の情報を保ってなかったので、「バナナの葉 トウモロコシ粉」という雑な検索をしてみたのだが、意外とちゃんとレシピが見つかるものだ。さらに、料理名もわかった。南米全域で『タマル(タマレス)』と呼ばれているものらしい。
火にかけて練ってるとすぐに固まりだす。でんぷん質あるなー、という感じ。
トウモロコシ粉に米粉をちょっと足して、粉と同量の油と塩ちょっとを混ぜ、さらに粉+油と同量のお湯(つまり粉1:油1:温水2)を加えて加熱しながら練ると、生地のできあがりらしい。
らしい、というのは、あくまでも「だいたいレシピ通りにしたらこんな感じになりましたけど?」という具合だからである。
実物をちゃんと把握してないままの調理なので、間違っていたら申し訳ない。あと、練っている間にやたらと油が染み出してきて、いつの間にか揚げ物っぽい雰囲気にすらなってきた。油の量、本当にこれで合ってたのか不安でたまらない。タマルだけに。
バナナの葉にトウモロコシ団子。そこそこ美味そうなビジュアルになってきた。油だけが不安要素。
トウモロコシ粉がもったりと餅っぽくなってきたら火から下ろして、炙ったバナナの葉に盛って、軽く焼いた豚肉を乗せる。レシピによってはさらにパプリカやオリーブを乗せるというのもあったが、ひとまずシンプルなやつを試してみよう。
さっき染み出した油が、バナナの葉の上にまでじわーっと広がってきて不安でたまらない。もう一度言うけど、タマルだけに。
45分かけて蒸し上がり。蒸し器に放りこむだけなので簡単調理ではある。
本来なら地面に埋めて上からたき火を燃やすとかそういうプリミティブな蒸し方もあるらしいのだが、そこはもう最初からあきらめて蒸し器で。
レシピによると45分蒸す、とのこと。思ったよりも長時間の加熱だが、やり方が分からないんだから先人の遺した方法に従うのが正解だろう。
蒸し上がりにスイートチリソースをかけたやつ。食べる直前だけど、もう美味いと言ってもたぶん問題無い。
蒸し上がったバナナの葉包みを開くと、ほわっと少し甘いような、草っぽいような香りがする。これがバナナの葉の香りなんだろう。
柏餅を食べる時のあの「わー、葉っぱだなー」というあの香りの雰囲気に近いが、あれよりもうちょっと穏やかな感じだ。
こりゃあたまらんなー。タマルだけに(三回目)。あと、ごはんをバナナの葉蒸しにしてカレーかけてみたけど、これもなんか香りが良い。
肝心のトウモロコシ練って蒸したやつことタマル。ビジュアル的にもっともっちりした食感かと思っていたが、意外と口の中でパラパラとほぐれる。超細かい米粒の炒飯をまとめて食べてる感じだ。でもしっとりパラパラなので、パサついて食べにくいということはない。なるほど、油を粉と同量混ぜる意味はこれだったか。
で、口の中でさっきのバナナの葉の香りが、ほわ…ほわ…とする。本当に上品な香りで、これ、もしかしたらおしゃれな食い物なんじゃないか。
あと、バナナの葉は何を載せても南国っぽくなるような気がする。
牛丼とか、ざるそばを盛りつけてもきっと南国風になるはずだ。バナナの葉はまだ大量に余っているので、今後はバナナの南国力を試すテストもしてみたい。