特集 2017年4月11日

名前がわからない指遊びを調べる

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「いっせーの、1」という掛け声とともに親指を出して数を当てる遊びはほとんどの人がやったことがあると思う。この遊びは有名だけれど僕の地元では名前がない遊びだった。

一体この指遊びの正式名称はなんなのだろうか?そもそも正式名称があるのだろうか?

今回はそういった名前がわからない指遊びを3つほど選んで、それぞれアンケートを取ってどのような呼び名があるのか調べてみることにした。
大学中退→ニート→ママチャリ日本一周→webプログラマという経歴で、趣味でブログをやっていたら「おもしろ記事大賞」で賞をいただき、デイリーポータルZで記事を書かせてもらえるようになりました。嫌いな食べ物はプラスチック。(動画インタビュー

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名前がわからない指遊びを調べる

例えばこの遊び、ウィキペディアによるとビームフラッシュという名前になっている。
掛け声は地域差があり、ルールも微妙に異なる。
「じゃーんけーんぽいぽい、どっちだすの♪」
「じゃーんけーんぽいぽい、どっちだすの♪」
「こっちだすの♪」
「こっちだすの♪」
しかし、たいていの指遊びは名前がないものが多い。遊ぶ場合には指をその遊びの形にして「これやろうぜ!これ!」という風にしてやっていた。不思議なのが、同じ地域なのに隣の学校というだけで呼び名や掛け声が異なっている場合もあることだ。

今回アンケートを取ってみたら、3日で800を超える意見が集まった。ご協力いただいた方には本当に感謝しかない。ありがとうございます!
これだけ集まるということは、指遊びの名前にそれだけ関心がある人が多いのかもしれない。

今回はアンケートにて以下の3つの遊びを調べてみた。名前がわからないから画像に説明文をつけて伝えるしかないという歯がゆさ!
指遊び その1。おそらくみんなやったことがあるゲーム。
指遊び その1。おそらくみんなやったことがあるゲーム。
指遊びその2。周りに聞いてみたら知っている人と知らない人が半々くらいだった。
指遊びその2。周りに聞いてみたら知っている人と知らない人が半々くらいだった。
指遊びその3。指と指をぶつけあうガチンコ勝負。今思うとけっこう危険な遊び。
指遊びその3。指と指をぶつけあうガチンコ勝負。今思うとけっこう危険な遊び。
上記の画像を見るだけでも、「あー懐かしい!やったことある!」という遊びも多いと思う。

アンケートの結果を見ると、さらに「え?こんな呼び方あるの?」「こんなルールがあったのか!!」というものまで様々でおもしろかった。ということで、早速それぞれのデータを見ていこうと思う。

【指遊びその1】「いっせーの」「指スマ」などでおなじみの親指をあげる遊び

まずは一番有名な指遊びから。色々な呼び名があっておもしろかった。
まずは一番有名な指遊びから。色々な呼び名があっておもしろかった。
僕の地元では「いっせーの、いち!」という掛け声だったこのゲーム。隣町の学校では「バリチ」と呼んでいて、同じ県なのに呼び方が違うのは不思議だなと思った。また、Twitterでアンケートを取っているときは「指スマ」派の人が多いように思えた。実際はどうなのだろうか。
ほぼ100%の認知度を誇っていた。
ほぼ100%の認知度を誇っていた。
この遊びの呼び方一覧。
この遊びの呼び方一覧。
アンケートの回答から呼び方の一覧を見ると、多かったのは「いっせーの」と「指スマ」だ。しかし、一番票数が多かったのは「名前を知らない」という意見だ。これだけ広まっているゲームなのに、名前を知らない人が多いというのがすごい。

あと「ちっち」や「バリチ」などは聞いたことがあったが、「ちゅんちゅん」や「たこたこ」などは初めて聞くものも多かった。発音の仕方や掛け声をどうやるのかが気になる。

※注
呼び方にブレがあるものの似ているものはひとまとめにしてあります。
例1:「いっせーのせ」「いっせーので」「いっせーの」は同じ
例2:「バリ」がつくものは「バリチッチ」に統一
その他の少数意見の呼び方

【愛知】ビームワン
【新潟】モルケン
【福井】スパレッチ
【茨城】ナゴヤ
【茨城】あおざめ
【青森】ビビビ
【千葉】むんむくむん
【千葉】チムチム
【兵庫】いもいも
【東京】ピッピ
地図のそれぞれのピンの色一覧。
地図のそれぞれのピンの色一覧。
地図にしてみて気づいたのは「いっせーの」や「指スマ」やはり全国的に広がっているということだ。
しかし、地図をよく見ると全国区だと思っていた「指スマ」は、大阪などの関西方面ではあまり使用されていないことがわかる。「指スマ」は98年にSMAP×SMAPという番組で呼ばれ始めた名前なのだが、関西の人はあまり見ていなかったのだろうか?その当たりの経緯も知りたいな。

また「ちょんちょん」と「ちゅんちゅん」という呼び方は千葉周辺にかなり多く見られる呼び方のようだ。
すごいのは山梨県だ。「せっさん」という呼び方が100%を占めている。他の意見が一切ないのだ。ここまで呼び方が統一されているのは山梨だけだった。

色んな呼び方があるが、驚いたのは距離がかなり離れている地域なのに同じ呼び方をしているところが多々あるところだ。
例えば「たこたこ」という呼び方は群馬県でいくつか回答が来ていたが、北海道や秋田でも呼ばれているようだった。また「バリチ」という呼び方も東京周辺だけかと思いきや、九州地方などでも呼ばれている。

地図を見れば呼び方の法則性が少しはわかるかと思ったが、予想外にバラバラであった。インターネットがそんなに普及していない時代からおそらくあったこの遊びが、一体どうやって広まっていったのかが気になる。不思議だ。
「いっせーの」でまとめてあるものをさらに「いっせーので」「いっせーのせ」「いっせーの」「いっせっせ」に分割してみる。
「いっせーの」でまとめてあるものをさらに「いっせーので」「いっせーのせ」「いっせーの」「いっせっせ」に分割してみる。
「いっせーの」をさらに細かく分けて調べてみると地域性がでることがわかった。「いっせーの」は関東、「いっせっせ」は中部地方、そして関西では「いっせーので」で呼ぶみたいだ。キレイに分かれている。語尾の違いがあるので、この呼び方には方言が関係しているのかもしれない。名古屋の方では「せん」を語尾につけるところがあるし、大阪では「やで」とつけることがあるので、そのあたりが関係しているのかもしれない。

次はそれぞれの呼び方の名称を年齢別に見ていく。

※「いっせーのせ」は全国的に多かったので見やすいように上記の地図から消してあります
「いっせーの」はやはりどの年代も共通して呼んでいる。
「いっせーの」はやはりどの年代も共通して呼んでいる。
「指スマ」は圧倒的に若い世代で指示されている呼び方のようだ。「いっせーの」と違って30代, 40代からの意見が一気になくなる。
「指スマ」は圧倒的に若い世代で指示されている呼び方のようだ。「いっせーの」と違って30代, 40代からの意見が一気になくなる。
他にも「うー」は30代が見事に多かった。ちなみに「うー」は神奈川や福岡、新潟など色んな県からの意見があったので地域は特に関係ないようだ。
他にも「うー」は30代が見事に多かった。ちなみに「うー」は神奈川や福岡、新潟など色んな県からの意見があったので地域は特に関係ないようだ。
色々と調べてみると地域や年齢で多少の差はあるみたいだ。しかし、明確な呼び名はやはり見当たらない。本当にどうやってこの遊びが浸透して誰がこのゲームを作ったのが非常に気になる。
遊びの名前でなく、「遊ぶときの掛け声」の方もアンケートを取ったが圧倒的に「いっせーの」が1位だった。
遊びの名前でなく、「遊ぶときの掛け声」の方もアンケートを取ったが圧倒的に「いっせーの」が1位だった。
ゲームの名前は「指スマ」でも掛け声は「いっせーの」と言っている人が多くいた。やはりこのゲームは基本的には「いっせーの」派が多いみたいだ。

その他にも色々と細かいルールがあるなど様々な意見があった。
その他の意見

【千葉】
「チュンチュンチュン」と「チュンチュン0」は同じ意味。

【東京】
セメント(「いっせーのセメント!」とコールされたとき上げていた指が上げたまま固定)、接着剤(同、上げていなかった指が下げたまま固定)、ギロチン(同、上げていた指を握りこんで二度と上げられない)のルールがあった

【埼玉】
派生形として、五十音でやるいっせーのがありました。例えば掛け声が「いっせーの、あ!」で、上げられた親指が三本だった場合、ア行の三つめの「う」から始まる言葉を一番はやく発せられたものが手をひとつ外せる、というものです。多くはお題(動物のなまえ、国の名前、など)とともに実施されました。

【京都】
指が全部上がると予想した時、数字の代わりに『パーフェクト』と宣言し、成功するといかなる局面でも勝利。

【大阪】
うーーー…さん!のように、「うー」は各自が任意の長さ伸ばし、周りのメンバーはそのタイミングに合わせて指を動かします。ぅさん!のようにほとんど伸ばさず数字を言われると慌てて指をあげがちとか、うーーーーーーーー…さん!のように長く伸ばしすぎる場合も慌てて指をあげがちとか、逆にそういう変な間を楽しむゲームのように受け止めていました。

【指遊びその2】ひと差し指で戦う指遊び

次は人差し指を突き出してやる遊び。
次は人差し指を突き出してやる遊び。
さっきの「いっせーの」の遊びと違い、こちらはやったことがない人も多くいた。一度でもやったことがある場合は、両手の人差し指を突き出すだけで何をやるのか理解できる。僕は小学生の頃は狂ったようにこの遊びを休み時間にやっていた思い出がある。
3割の人がやったことがないという結果になった。
3割の人がやったことがないという結果になった。
その中でもなんと8割の人が名前を知らない。
その中でもなんと8割の人が名前を知らない。
ゲームを知っているけど名前を知らない人が大多数だった。ということはほとんどの人がこのゲームをやりたい場合は「これやろうぜ!」と言って動作で遊びに誘っていたことになる。不思議な現象だ。
この遊び知らない人に伝えるのって意外にルールが複雑で大変なんだよな…
年代別で「知っている人」の人数。
年代別で「知っている人」の人数。
年代別で「知らない人」の人数。
年代別で「知らない人」の人数。
ちょうど30代に境目があるようだ。20代はほとんど知っていて、30代は半々くらい、40代以上になると知らない人が多くなる。ということはそこまで歴史が深くないゲームなのかもしれない。
指遊びの多かった名前ランキング。
指遊びの多かった名前ランキング。
多かったのは「戦争」、「割り箸」、「マッチ棒」、「いちいち」、「足し算」という名前だ。僕にはどれも馴染みがない。ただ言われてみればなんとなくゲームが想像できる名前になっている。
その他の少数派の名前

【岐阜】さいのつの
【新潟】ねぎ
【群馬】いかいか
【長野】いんにーほ
【長野】ばくだん
【岡山】指突き
【鹿児島】かたつむり
【茨城】分身
【埼玉】えんぴつ
【北海道】ゆびごろし
地図に起こしてみたが、名前を答えられる人が多くなかったので地域差はあまり見られなかった。

やはりさきほどの「いっせーの」の遊びと一緒でこちらもかなり離れた距離で同じ名前が使用されていた。「マッチ棒」という名前は、北海道や関東、それから四国で使用されているようだ。
「足し算」という名前はなんとなく誰かが思いつきそうだが、「マッチ棒」という名前は自分で適当に考えて、たまたま同じ名前になったというのは考えづらい。本当に誰がこの遊びを教えていっているのか疑問だ。指遊びを全国に普及して旅している人がいるんじゃないだろうか。

またこの遊びはローカルルールがかなり多くあるようだ。ちなみに僕の地元では分身は有りで5以上になると死亡というルールだった。
その他の意見

【東京】
数値を半分にすることで分裂可能(割った際の端数は繰り上げ)。それで順番を終える

【兵庫】
好きな時に両手の数を合算、分けられた。例)右手3、左手1の時、右手2左手2に

【千葉】
超過分も分身もありました。あと自分自身への攻撃(相手へではなく、自分の右手から左手へ攻撃)もありました。

【埼玉】
戦略的合体が可能なルールもありました。例えばこちらが2,1、相手が1のみの場合、こちらの手番で自分の2で1を攻撃することで合体、3ひとつになります。次ターン相手は1で3を攻撃するしかなく、そのまた次の手番、4になった片手で相手の1を攻撃すれば勝利です。
他にもルール以外でおもしろい意見として以下のようなものがあった。
【岩手】
もしかすると発案者かも?1992年、小学2年生の頃、友達相手に初めてやりました

【東京】
名前はなく友達にスッと人差し指2本見せて「コレやろうぜ」って言ってましたね

【北海道】
自分の子供時代にはありませんでしたが、中学生の長女がやっていたので見たことはあります。(30代女性)

【神奈川】
アメリカに行った時、向こうの子供たちがこれやってました。名前は”chopsticks”とか”match"とかだった気がします
中には自分が発案者だという方もいてぜひ話を聞いてみたくなった。アンケートにTwitterのアカウント書いてもらうようにすればよかった。連絡が取れない…

また「アメリカの子どもがやっていた」という情報もあり、このゲームがワールドワイドなものであるということがわかった。まさかの日本製のゲームじゃない可能性もでてきた。

うーん…もっと調べればさらに色々な意見が出てきそうだ。

【指遊びその3】指と指をぶつけあう指遊び

最後は指と指をぶつけあう遊び。
最後は指と指をぶつけあう遊び。
最後は指と指をぶつけあう遊び。こちらはかなりやったことがある人数も減ってくる。僕はこの遊び好きだったのだけど、かなり痛さもともなうので中学生くらいから自然にやらなくなった。
3割の人しか知らないことに驚いた。僕の学校ではみんなやっていたので、当たり前の遊びだと思っていた。
3割の人しか知らないことに驚いた。僕の学校ではみんなやっていたので、当たり前の遊びだと思っていた。
そしてこのゲームはもはやほぼ100%の人が名前を知らない。
そしてこのゲームはもはやほぼ100%の人が名前を知らない。
この遊びを僕はメジャーなものだと思っていたのでかなり驚いた。アンケート結果を見て6割の人しか知らないので、僕の地元である神奈川の方でしか流行っていないのかな?と思った。
ただ地図にしてみると意外にも全国で知られているようである。ということはあまり地域差で知っている知らないには関係がなさそうである。
この遊びを知っている人。
この遊びを知っている人。
この遊びを知らない人。
この遊びを知らない人。
年代別に見ると10代はほとんど知らず20代と30代の一部の人間が知っているようなデータになった。10代が知らないということは、このままいくとこの遊びはいずれ消滅するかもしれない。

またこの遊びの名前は以下のようにほとんど1票になっていて、「指切り」という名前がかろうじて2票を獲得しているだけだった。
名称一覧

バリヤ
指切り
ゆびおり、だったような
縁切り
指ずれ
チョッパー
指チャンバラ(あるいはチャンバラ)
ちなみにこのゲームは指と指をぶつけ合う遊びのため、ケガをする可能性がある危険なゲームなのだ。アンケートの中にもケガにまつわるエピソードもいくつかあった。
ケガにまつわるエピソード

【大阪】
このゲームで骨折した人が居て学校で禁止になった

【山形】
痛いのでやる人が少なかったためか、名称はわかりません…。手の形を作ったら自然と戦闘開始していました。

【山形】
高学年になると指の骨が折れるんじゃないかって強さで戦うのでお互い痛くて次第にやらなくなりました
まさか骨折している人もでるほどだとは…!

また「このゲームだけは知らなかった」という意見もちらほらあった。一応全国に知っている人はいるみたいであるが、一体このゲームはどこでやられていて、なんという名前のゲームなのだろうか?アンケートを取ってみたものの余計に謎が深まってしまった。

アンケートを取ってみると色々な意見があっておもしろかった。ただこれでも正確なデータではないから、調べたらもっときちんとした答えがあるのかもしれない。

今回の調査でスッキリするかと思ったら、逆にわからないことが増えてしまった。これらの遊びがどうやって全国に知れ渡ったのか知りたい。インターネットのない時代に全国に共通認識の遊びが広まるって本当にすごいことだと思う。

ということで、もし上記のような遊びに詳しい方や、研究している方がいたらご連絡ください。ぜひお話聞かせてください!
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