ウーパールーパー専門店「うぱるぱ屋」
やってきたのは千葉県の新検見川。駅から3分ほど歩いた所にウーパールーパー専門店「うぱるぱ屋」があります。
ウーパールーパーと旗が出ていなければ、普通の熱帯魚屋に見える。
店内に入ると幾つかの水槽が置かれ、パッと見には熱帯魚屋か雑貨屋のように見えます。
手前の水槽の中で何かが時々動いている。
水槽を覗いてみると、中にいました。特徴的なあの形と色。
ウーパールーパー!
ウーパールーパーです。あまり動きませんが、確かに生きたウーパールーパー。
かわいい。
奥のスペースに行くと更に沢山の水槽が置かれていました。中を見ると、すべての水槽内にウーパールーパーがいます。
見慣れない色の物もいるが、全部ウーパールーパー。
のんびり浮かんでいるものや、水の底でじっとしているもの。時々水面に上がっては降りていく。あんなに流行っていたのに、テレビなどでしか見たことがなく、現物を見たのは初めてでした。
かわいい。
改めて見ると、同じウーパールーパーでも大きさや形に微妙に違いがあります。更に、色が見慣れた薄いピンク色以外に黒や灰色。まだら模様など様々。どういうことなのでしょうか?
店主の今井さん。デイリーポータルZはご存じでした。キャッチアンドイートの生き物大好きライター平坂さんの記事はよく読むそうです。
店主の今井さんにお店の事やウーパールーパー事情について色々聞いてみました。
ウーパールーパーだらけの店内
今井さんがこの店を始めたのは3年ほど前。以前は熱帯魚を扱う会社で働き、縁があって今の場所とは違う所で熱帯魚を扱う店を借り受けたそうです。
店では各種ウーパールーパーグッズも取り扱っています。こちらは人気の各種ウーパールーパーはんこ。
しかし、その店の設備は海水の生物を扱う物がメインで、自分の扱いたいものとは違っていました。別の場所に移る事を検討したとき、何を扱うかと考えた結果、ウーパールーパーを専門で扱う店は他にはないと思いつきます。繁殖家の方と仲が良かったこともあり、今の場所に店を開きました。
ウーパールーパートートバックにシャチハタタイプのウーパールーパーはんこも。
開店当初は、旗を見た近隣の人が懐かしがってフラリと入ってくることがよくあったのだとか。今ではネットを見て遠方から来る方もいて、通販も合わせてそれなりに売れるそうです。
ウーパールーパーを飼っている方は今でも健在でした。
ウーパールーパースマホクリーナー。口の所からクリーナー布が出てきます。
実際、ウーパールーパーを飼うのはそれほど難しくなく、金魚を飼う程度の環境で飼うことが出来ます。専用のエサもあります。寿命は長くて10年程度だそうです。詳しくはうぱるぱ屋のホームページに出ているのでそちらで確認してください。
うぱるぱ屋 ウーパールーパーの飼い方
人にもなつくらしく、エサやりで近づいた時や、帰宅して電気をつけた時に浮き上がってこちらを見て寄ってくるなんて事もあるそうです。
それはかわいい。
ウーパールーパーティッシュボックスカバー。
ちなみに、価格は標準的な物だと2000円ぐらいから。希少なものだと数万円するものもいますが、それを除けば手ごろな値段です。
そして、このウーパールーパー。あれだけ流行ったにもかかわらず、意外と知られていない事実が多数ありました。そもそも名前も体の色も本来の物とは全然違うのです。そして、今や絶滅危惧種となっていました。
メキシコサラマンダー、色は黒
ウーパールーパーの正式な名はメキシコサラマンダーまたはメキシコサンショウウオ。その名の通り、両生類のサンショウウオの仲間になります。メキシコのソチミルコ湖とその周辺にのみ生息し、現地ではスペイン語でアホロートルと呼ばれています。
君、そんないかつい名前だったのか!
ウーパールーパーという名前は、日本でブームを狙いキャラクターとして世に出す際、アホロートルでは響きが悪く、何か別の名前ということでつけられたもの。80年代のブーム当時は商標権があったそうです(特許庁のホームページで調べましたが、2017年1月現在商標権は消えている模様)。
そして野生のものはこのような薄いピンク色のものは少なく、主に黒か灰色がかった体をしています。
かわいいというより、かっこいい?
こちらが野生に近い色のウーパールーパー。野生のものは40cmぐらいになることもあるのだとか。飼っているものはそんなに大きくならないそうです。
薄いピンク色のものはアルビノ個体を品種改良したもの。そもそも、ウーパールーパーは幼形成熟(ネオテニー)という非常に珍しい生態をもっています。カエルにならず、オタマジャクシのまま大きくなってしまう感じです。
そのため、再生能力が非常に高く、医療の研究用として世界中で繁殖が行われています。それらのウーパールーパーは、1800年代の中ごろにメキシコからパリに30数匹が運ばれ繁殖させたものなのだとか。そして、最初のものの中に1匹ピンク色の個体がいたとされ、それがよく見るウーパールーパーの元とされています。
30年を経て知る意外な事実。
こんな色のウーパールーパーも。目が金色。
そして、野生のウーパールーパーは乱獲や水質汚染の影響で個体数が激減し、現在絶滅の危機に瀕しています。そのため、ワシントン条約で規制対象となっていて、捕獲などが禁じられています。
日本で今も流通しているウーパールーパーは、全部国内で繁殖させたものなのです。
野生の僕らの仲間を助けてください!
うぱるぱ屋の今井さんは
「NPO法人日本ウパルパ協会」の副代表として野生のウーパールーパーの保護活動なども行っています。医療用やペットとして繁殖がおこなわれているので、種として消えることはないが、野生の物はこのままでは近いうちに絶滅してしまうだろうと今井さんはいいます。
日本ウパルパ協会のウーパールーパー顔ハメ。店でできます。
うぱるぱ屋は、ウーパールーパー専門店とうたってはいますが、トカゲや亀、ハリネズミなどその他の生き物の扱いも幾つかあります。飼いやすく、大きくなりすぎたなどの理由で捨てられるリスクの少ない生き物を選んで置いているそうです。
絶滅の危機に瀕している生き物の中には、捨てられて自然界で繁殖してしまった外来生物の影響によるものも数多くいます。ウーパールーパーに関しても乱獲や水質汚染だけでなく、外来生物の影響が少なからずあるのだとか。
ヒョウモントカゲモドキが入った箱。夜行性なので大体寝ていました。
絶滅危惧種の生き物を守ることは一筋縄ではいかないことですが、地道な活動で野生のウーパールーパーが生き残っていくことを祈ります。
現地では食わないそうです
ウーパールーパーは名前や色、生態に生息状況に至るまで。実はかなり驚きの事実の詰まった生き物でした。そして、改めて見てその姿は実にかわいい。ブーム後も飼っている人がそれなりにいることに納得します。
ちなみに、最近ではウーパールーパーを食べるなんて事も行われているようですが、現地では食べることはまず無いそうです。最初は食用で入ってきたなんて言われたりもしますが、実際は上にも書いた通り医療用で流通したのが初めて。そのあたりの認識も今回の取材で変わりました。
変わらなかったのは、ウーパールーパーはかわいいという事。またブームが来るかもしれない。
ウーパールーパーはあまり動かず、カメラを向けても同じ方向を見続けていて非常に撮影がしやすかった。ウーパールーパーを飼っている人はネットに写真を挙げまくるそうです。だよね。
取材協力
うぱるぱ屋
http://www.uparupaya.com/
〒262-0025
千葉県千葉市花見川区花園2-10-17
JR総武線新検見川駅北口 徒歩3分
Tel 043-305-4424
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