特集 2015年11月4日

近所のハロウィンイベントに本の仮装で参加する

本でーす
本でーす
息子の太郎が、あした近所で行われるハロウィンイベントに参加したいと急に言い出した。

お前そんなこと言ったって、きのうまで参加したいなんておくびにも出さなかったくせに、いま急にいわれても困る。
鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

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しょうがない、お父さんが作った仮装で行け

イベントは仮装した子供限定で、ビル内の店舗を回ってお菓子を貰う。というものだが、すでに10月30日の夜9時。もう、仮装グッズなんか買いに行く時間などない。

今、お父さんが作ってる仮装でいいなら、あした貸してやるけど、それでもいいかと聞いてみたところ、しぶしぶ「それでもいい」という。

ちょうど、地味な仮装のハロウィンパーティーに参加するための仮装を作っているところだったのだ。
いま作ってるやつで行くなら貸してやるけど
いま作ってるやつで行くなら貸してやるけど
ぼくが作っている仮装は「本」である。特に意味は無くて、たまたま目についたので作った。としか言えない。
しいて言えば、概念の仮装が許されるなら、本でもいいだろうと思ったのだ。
紀伊國屋書店のブックカバー
紀伊國屋書店のブックカバー
本というか、紀伊國屋書店のブックカバーといったほうがいいかもしれない。

紀伊國屋書店は日本各地にあるので、このブックカバーに見覚えのある方は多いと思う。

改めてブックカバーの絵を見てみると、不思議な雰囲気のイラストである。下の「紀伊國屋書店」の明朝体も、なんだか手書きっぽさを感じる。

なんか手書きっぽいな
なんか手書きっぽいな
まんなかの本に書いてある文字も、格言かなにかと思ったら、店名と所在地がローマ字で書いてあるだけで、さらに左のページは改行が変だ。
結局手書きで再現することに
結局手書きで再現することに
この、絵と文字をどうやって描き写すのか。手で描き写すしかない。

かなり面倒くさい作業だったが、やったらやったで没頭してしまう。美術のレタリングの授業が好きだったことを思い出した。
途中、睡眠をはさんで、12時間で完成
途中、睡眠をはさんで、12時間で完成
この違和感すごい
この違和感すごい
うっかりできのいいものが完成してしまった。ただ、できはいいけれど、違和感もすごい。

途中、何度も「これおもしろいのかな?」という冷静さの沼に引きずり込まれそうになった。

工作をやってるとよくあるやつである。しかし、こういう時は何も考えずに作りきったほうがいい。

息子が起きてきて、完成した本をみての第一声が「あーっ、ほんとにできてる!」であった。きのうはあまり乗り気ではなかったものの、現物をみると気が変わったようで、がぜん乗り気になってきてくれた。

友達と一緒に行くことになった

しばらくすると、息子の友人のすばるくんが家に遊びにやってきた。すばるくんも、息子の仮装をみて、じぶんも仮装してハロウィンイベントに参加したいと言い出した。
すばるくん(右)も一緒にハロウィンイベントに行くことに
すばるくん(右)も一緒にハロウィンイベントに行くことに
しかし、彼もまた仮装の準備してないので、仮装グッズを近所の100円ショップまで買いに行くという。

いちおう念のため保護者としてついていくことにした。
違和感
違和感
仮装グッズを買いに行く途中、公園で息子の同級生たちと出会った。
なにこれ! なにこれ!
なにこれ! なにこれ!
子供たちは一様に「本だ!」と、興味は示すものの、紀伊國屋書店のブックカバーというのがよくわからないらしい。たしかに、コロコロコミックにはブックカバーつけてくれないもんな。

ただ、男子の反応は素直だ。「え! これ太郎が作ったの? ちがうの? お父さん? すげー」といいながらまわりをグルグル走りはじめる。非日常性のある異形のオブジェに、興奮していることだけはわかる。

こいつら、そのうちバターになっちゃうんじゃないかと思ってたら、その興奮が息子とすばるくんにも伝わったのか、みんなで公園を走りまわりはじめた。
異形のオブジェ、走る
異形のオブジェ、走る
へんなのー
へんなのー
一方、女子は冷静だ。男子みたいに走り回ったりはしない。「え、これ本じゃん。魔女とかのかっこうするんだよ! 服もそのままじゃん!」と、手厳しい。彼女たちのなかには仮装=服で変装。というレギュレーションがあるらしい。

確かに本のカバーをとれば息子は普段着である。この仮装は、ヤドカリみたいなもので、あくまで本体は質素なのだ。そのへんは勘弁してやってほしい。
信号待ちする本
信号待ちする本
ちょっとまってよー
ちょっとまってよー
遠くからでもハッキリ本とわかるな
遠くからでもハッキリ本とわかるな
すれ違いざまにギョッとなる人が多数いたが「あぁ、本か」って胸をなでおろせるぶん、ゾンビや悪魔の仮装でギョッとさせるよりましだろう。

ハロウィングッズは終了していた

100円ショップに到着すると、さっそくハロウィングッズを物色するすばるくん。
しかし、10月31日の100円ショップでは、すでにハロウィンのグッズはきれいに撤去され、店のよそおいは早くもクリスマス一色であった。
サンタしか選択肢がなくて困るすばるくん
サンタしか選択肢がなくて困るすばるくん
「もう、これは仕方ないよ、サンタの格好で行くしかないんじゃない?」と、すばるくんにアドバイスすると、そうするという。
サンタ帽は別売りであった
サンタ帽は別売りであった
じゃーん、サンタクロースです
じゃーん、サンタクロースです
本とサンタ。もう、わけがわからない。なんなんだこれは。
サンタクロース、おしりが破けて穴が開いたらしい
サンタクロース、おしりが破けて穴が開いたらしい

異形のものを受け入れる土壌があるまち

近所のビルのハロウィンイベントは、スタンプラリー形式でスタンプを集め、1階の受付に持って行くと、お菓子がもらえる。という仕組みになっているらしい。
とりあえず「すごいねー」とは言われる
とりあえず「すごいねー」とは言われる
子供に魔女やお姫様の格好させているママたちからは「え?本? 斬新……」とお褒めの言葉を頂いた。

ゾンビと本
ゾンビと本
ハッピーハロウィン
ハッピーハロウィン
お菓子ももらい終わり、イベントは無事おわった。
戦利品のおかし
戦利品のお菓子
家に帰る途中、ハロウィンの仮装行列をしていたので、しれっと混ざってみた。
違和感ないな、いやあるのか? どっちだ
違和感ないな、いやあるのか? どっちだ
突然まぎれこんだ本に、戸惑いつつも行列にいれてくれた人たち。みんなやさしいなあ。

そう、このあたりは、新参者、異形の者たちにも優しい町なんです。

でも、あんまりウケなかった

息子にやってもらった本の仮装は、近所のハロウィンイベントではウケていたけれど、地味なハロウィンパーティーではあまりウケなかった。

よのなか難しい。

紀伊國屋書店のご担当者さま、もしこのでかいブックカバーが必要でしたらご連絡ください。差しあげます。
紀伊國屋書店のご担当者さま、もしこのでかいブックカバーが必要でしたらご連絡ください。差しあげます。
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