幼いころの記憶の中にある、森としての雑草
小学校低学年のころ、わたしには学校帰りに行きつけの駐車場があった。
駐車場で這いつくばったりして雑草を見て、「あー森だ 渓谷だ」とかやっている変な子どもだったのだ。
雑草はともだち
雨の日なんか、なんでもない土の斜面に本当に小さな川ができていくらでも眺めていられた。
そして余談になるが、「放課後の森鑑賞」に満足すると、自宅と目と鼻の先の距離にもかかわらず同級生の家でトイレを借りてから自宅に帰っていた。その節は本当にすみませんでしたゆうちゃん(仮名)。
雑草は森だと実証したい
「雑草は森なんですうう! あっ雑草という草はなくてすべての草には名前があるんですけど」などとわたしのめんどくさい雑草愛を編集部にぶつけ、わたしは雑草を森にするべく外に出かけた。
前述の「行きつけの駐車場」のある、実家周辺へ。
試し撮りしてみる
うっそうとして好きな実家の庭。蚊が多い
実家には小さな庭があって、雑草がわさわさ生えていてちょっとした森のようになっている。そんな実家の雑草の中に埋め込むようにして写真を撮ってみた。
小さな庭がちょっとした小宇宙
見上げる雑草
おお! 若干の森感がでたのでは。虫たちはこのようにふだん雑草を見上げているのかなあと思うと、少し体験できた気になって嬉しく思う。
いわばこれは「虫の気持ちを体験するワークショップ」かもしれない。講師はわたし、お客さんもわたしだ。
以前、父親の露出した足を覆うスネ毛部分を羽虫が歩いているところを見かけたことがあるが、それも森だった。この世界は森だらけだった。森とはなんだ(自問自答)。
外に出かけてみよう
ジャングルを探しに行こうって言って誘い出した。多分間違ってないはず
もっともっと虫の気持ちになるべく、外へ出ることにする。帰省中の姉と姉の上の子ども(小2)も一緒に。
好奇心の固まり・子どもというものは何か大人がおかしなことをしようとしていても、免罪符になるたいへんありがたい存在である。
小さな町だ、ひとりでやろうとしていたら完全に不審者扱いされていたであろう。ありがたい。
そして写真の場所が例の「行きつけだった駐車場」周辺なのだ。
コケは小さな森である
一見なんのへんてつもないコケです
うおお! 森だ!
個人の感想で恐縮だが、完全に森である。小さなヤシの木のような外観のコケは「ゼニゴケ」。
よく見るとダンゴムシのみなさんがわらわらいるので苦手な方はご注意を……。ダンゴムシの君たち、意識するとどこにでもいるなぁ!
コケの専門書を読むと、コケって虫を寄せ付けないために「まずい」ものが多いそう。コケってまずいんだ……。
でも、このゼニゴケにはわらわらダンゴムシが集まってかじっていた……。
ジブリ映画の「風の谷のナウシカ」で見た世界がそこにはあった。
ダンゴムシに伸びる小さな手
子どものダンゴムシへの執着にもびっくりした。「ダンゴダンゴ~!」っていいながら手に乗っけたりしている。ひええ……。
でも自分も小さいころ丸めまくったなぁ。3DSとかに夢中な現代っ子もダンゴムシに夢中になるらしい。
「雑草っぽさ」が出てしまう場面もある
これは完全に雑草という失敗例
どうしても「雑草っぽさ」が出てしまう場面もあることを発見した。背の高い草があると「雑草っぽさ」が出てしまう。全然森じゃない。
わかったこと
背の高い草が入ると途端に「ただの雑草」になる
日常がダンジョンになる
冒険者を待ち受ける洞窟。ぼやけてるけど実はアリがめっちゃいる
町でよく見かける排水口も、虫目線で見ると冒険感がでておもしろい。「デンジャラスな洞窟」って感じだ。デンジャラスな洞窟は、いつでも君の挑戦を待っている。
雨の日はここから雨水が流れてるんだよなあ、さらに良さそう。
わかったこと
虫の目線で見ると身近な景色が探検になる
小道具を用意してみた
動物フィギュアのみなさん
小道具を用意してみた。大きさ比較には一般的にたばこの箱なんかが使われるが、そういうイメージである。動物のフィギュアやシルバニアファミリー用のドールハウスなどを用意した。
小道具を用意してみた。大きさ比較には一般的にたばこの箱なんかが使われるが、そういうイメージである。動物のフィギュアやシルバニアファミリー用のドールハウスなどを用意した。
小道具を用意してみた。大きさ比較には一般的にたばこの箱なんかが使われるが、そういうイメージである。動物のフィギュアやシルバニアファミリー用のドールハウスなどを用意した。
わかったこと
大きさ比較用の小道具を用意するとなお良い
キングオブ森スポット
そして町中を歩き回り、より雑草が森っぽく見える景色を探し求め、ついに「ここが一番だ」と胸を張って言えるスポットを発見することができた!
町のゴルフ場の植え込みあたりがとても森っぽかった。
植え込みと植込みの間の雑草スポットが……
とても森っぽかった!!!
森スポットを見つけて夢中
わかったこと
ドクダミの葉が何故か森っぽさを出してくれる
我々取材班はこの森の主と思わしきヒョウに接触した!(イメージ)
こちらにも小道具を使ってみた。ふだんは姉の家のトイレにいるという動物さんたちが大活躍。
この写真では完全に森の主でしょうよ……。実はこの白い背景はコンクリート製の壁という、めちゃめちゃ町中な風景なんですけどね。
うつろな目をしてこちらの様子をうかがう猿。隙を見せたら攻撃してきそうである(イメージ)
猿もいる。これあれだ、「人間食ウ 食ッテ力手ニイレル」とかいって木の棒投げてくるやつだ!(もののけ姫)
雑草はやっぱり森だったんだ!(個人の感想です)
雑草楽しいなあ(森スポット探し中)
そんなこんなで丸1日歩き続けたわたしの「雑草の森探検記」は幕を閉じる。足元にこんな小宇宙がひろがっていたなんて……!
これからは足元の雑草をただの「雑草」ではなく、「森として見られる雑草かどうか」という目で見てしまいそう。
雑草森探検、楽しかった
ふだんと目線を変えてみるというだけの雑草探検だったが、結果はとても楽しかった。
今回は割と緑多めの町でやったので、六本木や渋谷といったザ・都会な場所でもやってみたいところ。
この取材を経て虫の目線で見る習慣が身についてしまった結果、道ばたにしゃがみこむ機会が増えた。ついでに足腰が鍛えられてくれたら一石二鳥なんだけどな。