女性を理解したい
「男性なのに女性の気持ちを理解している人」にあこがれる。
たとえば、きゃりーぱみゅぱみゅの「つけまつける」って歌があるでしょう。つけまつげを付ける女心を歌って、女性が共感しているが、作詞しているのはおっさんだ。
男性なのに女性の機微を女性以上に理解しているのって、無敵な感じがしませんか。自分もそうありたい。
ペディキュアでは
女性を理解するべく夜な夜なインターネットで検索をしているとあるキーワードが浮かんできた。「ペディキュア」だ。不覚にもぼくは今まで全く気にしたことがなかった。
しかし、世の中の男性からしたら不可解なほどこだわりもっている女性が大変に多いらしいのですよ……。ここが性差の壁、女性心理の核心なのではないだろうか。
ぼくは爪の色をハトの模様くらいの関心しか持っていなかったが
担当編集者に聞いてみよう
身近なところから聞いてみる。ペディキュアの話を聞かせてほしいんですが……とメッセージ送ってみたところ。
古賀「ネイルをするときは意識が2回転くらいしているんですよね」
続けて「私のネイルに対しての考えは参考になると思えないから、できれば違う人に聞いて欲しい」というような答えが返ってきた。
えっ? 意識が2回転してからネイルをするってどういうこと? しかも断るのも奇妙だ。ネイルって見せるものだろう。でも話をしたくはないのか。
不可解な対応だが逆に確信が湧いてきた。やはりペディキュアなんだ!
20代女性OLに話を聞いてみる
全力でツテをたどり「ペディキュアのこと話をしても良い」という女性を見つけることができた。
20代OLのTさん。今は爪に色は塗っていないそうだが
――Tさんはネイルとか好きですか?
T「好きですよ。ネイルするとルン☆って気分になります」
おお、今語尾に星マークが見えた。ネイルを語るだけで、そんなにテンション上がる物なのだな。
――実はある人(古賀さん)から「ネイルをするときは意識が2回転している」っていわれたんですが、そういう気持ちTさんはわかります?
T「ああー。わかります。ネイルって女の中二病みたいなところがあって……。サブカル入っている若い人だと真っ黒にしちゃたりして。私も十代のころはやっていました。当時はOLがやっているみたいなキラキラのピンクには反発したい気持ちがあって。
でも年を重ねると、逆にキラキラのピンクに憧れが出てくるんです。でもそれも『ふつうのネイルをする女』を演じているみたいでなんか恥ずかしくて。2回転ってそういうことじゃないでしょうか」
――ちょっとまって。今の話、情報が多すぎる! まず「真っ黒」なネイルはふつうはしないんですね? そして「ピンク」はOLがする色?
T「本当に全然興味ないんですね」
――「女の中二病」って、それは一般的に使われている言葉なんですか?
T「いや、私が今作った言葉です」
つまりはTさんの偏見っぽい。でも現状Tさんしか手掛かりがないし……。一応信じてみよう。
▲せっかくなんで「爪撮らせてもらってもいいですか?」と聞いたら「ダメです」といわれてしまった
――ペディキュアって、女性心理の不可解なところがつまってませんか?
T「ペディキュアは女の子に『かわいい』っていわれたいんですよー。男性には褒められたくないですね」
――女性のペディキュアがたまたま目に入って、興味はないんですが、あいさつのつもりでなんとなく褒めたことあります……。
T「彼氏でもない限り、いわないほうがいいと思うなあ。私は男性にはあまり見られたくもないかも」
見ちゃいけないの理不尽すぎる!
あいかわらず不可解だが、闇に包まれていた古賀発言「ネイルをするときは意識が2回転している」の裏がとれたのは一歩前進である。もう一度古賀さんにアタックだ。
好きだけどネイルのことはよくわからない
編集部の古賀さん、もう一度おねがいしたらお話聞かせてくれました。
――(Tさんから聞いた話をして)古賀さんに中二病疑惑があるのですが……
古賀「あー、いっていることわかります。あると思います。たしかに初めてやるときにはピンクにしなかった。黒とかで塗ってましたよ。
そういう子どものころの「業」がある人は一筋縄じゃいかないというか……。ネイルは大好きなんですけれども、なんかよくわからないんですよ。自分でも」
ネイル雑誌(そういうのがある)持っていったらすごい興味しんしん
――やっぱり男の人には褒められたくないってのありますか
古賀「彼氏だったらいいけれども、男性に褒められたくないって気持ちもわかります。本当にわがままな話ですけれども、ありますね。
でも目立つものだし、言及するのはしゃあないっすよ。逆に女性同士だと、言及しないとちょっと失礼な感じもあったりして……めんどくさいっすね」
――どっちにしろ扱いむずかしいですね
古賀「ペディキュアってちょっと下着に通じるものありそうですよね。女性のなかでも興味のない人は一切興味がない。中間に普通にお金をかける層がいて、大好きな人はすごくお金をかける。ペディキュアも下着も普段はあんまり見えるものじゃないというイメージ」
えっ下着? さらにむずかしい領域に踏み込んでしまった。手が付けられん。
――もう全然わからないので、この際自分でやってみようと思います。どこで買えばいいですかね? 薬局?
古賀「私はプラザですね(断言)。ネイルはプラザで選んで買うものというイメージがあります」
「薬指だけ違う色にするとかわいいですよ~」
なんかもう考えるのが大変なので早く実践したい。その足でプラザに向かった。
ネイルの買い方がわからない
「プラザ」と聞いてピンとこない人もこのロゴ見たことあるでしょう
プラザで発見したことがある。ネイルにはいくつかの種類があるようなのだ。「下地」「色を塗る本体部分」「トップコート」である。
いま目の前にたくさんのネイル材がある。でも、どれなのかがよくわからない。間違って「トップコート」を3つも買ってしまったらお笑い草だ。
さらに頭を悩ますことに「下地」と「色を塗る本体」を兼ねているやつがあるっぽい。リンスインシャンプーみたいなことだろう。
さっぱりわからず30分くらいネイルコーナーでウロウロしている。
鏡を見たらなんとも疲れきった顔になっていた
なんとか「本体」と「トップコート」がセットになっている物を選んだ。「下地」はきっとコアなマニアしかやらないんじゃないかな……。セットの中に含まれていないし。
筆も購入した。
「本体とトップコート」のセット。あと塗るための筆
買い物の時点でだいぶ大変だったな……。さて、やってみよう。
自分なりに塗ってみる
キャップを空けて衝撃を受けた。
筆がフタについている!!!
筆あるじゃないか! 別に買ってくる必要なかった。あー、確かに女性がキャップについている筆で塗っているシーン、見たことあるかもしれない。
ネイル初体験
まずは塗りやすい手の指から。塗っていてどうしてもムラになる。これ、なんども重ね塗りしなきゃダメなやつだ。……でも、なんど重ね塗りしてもダメだな。あっ、はみ出た。
ムラがひどい
古賀さんが「薬指だけ違う色にすると『やってる感』が出る」といっていたので、それに従った次第。でも、これヘンだ。すごくダサいですよね。責任とってほしいです。
気晴らしにラーメンを食べないとやっていられないぞ、という気持ちになってきた。ちかくに「生ワカメがとてもおいしいワカメラーメンを出す店」があるという。
ストレスのはけ口にラーメンを
うまいのだが……
食事中も自分のネイルが気になる。あんまり気晴らしにならない。逆にうまくいっていたら食事もルン☆って感じになれるのかな。
乾かす間にたそがれる
足はむずかしい
さて、ここからが本題の「ペディキュア」である。足は近くに寄れないのではみ出しまくる。
乾かしている間の所在のなさがすごい
乾かしている間、ぼんやりと考え事をしてしまう。どうしてこんなことをするんだろう。自分のためなのか、他人のためなのか。爪に塗っている色に世界との接点を集中させようなんて、ミニマムすぎるよ。どういうことだ。
塗れた……?
大変にきたないのはよくわかるのだが、足はこれ以上うまく塗れない。目が遠くて、細かいところがよく見えないからだ。オシャレには度の強いメガネをかけるところから始めなくてはいけなかった。
原宿でクレープを食べる
一通り塗ったけどどうしよう。このまま家にいるのも変だよな。
原宿で
クレープ
原宿にクレープを食べに来た。ルン☆って感じの場所だ。あんまりそんな気分にもなれないんだけれども……。
他人の爪が非常に気になる。クレープの列に並んでいる女性の爪をチラっとみようとしたら手をサッと隠された。気のせいだろうか?
クレープ食べたけどあんまり意味なかった
ちょっと理解した?
今まで気にしたことのなかったペディキュア、実際やってみたらものすごく気になってしまうことがわかった。
「女性心理の核心」みたいに考えていたが、男もやってみたらみんな気にしまくるはずだ。性差というより、たんに経験の差だと思う。
これで女性とペディキュアに関して対等に話ができるだろうか。無理かな。
なぜか爪でマニュキュアをボロボロにはぎ取りながら帰ってしまった
おまけ
最後にインターネットで「ペディキュアのこと教えてください」というアンケートをとってみた。一日で回答数は135件! みんな一言いいたいのかもしれない。好きな人も嫌いな人もいるけれど、みんな思い入れがすごく強い。「セーラームーンが変身時にまず爪に色が付く」とか「男性にとってのガンプラみたいな物 」とかおもしろかったです。
アンケートの結果→
ペディキュアのこと教えてください(回答)