すごーくサワーがいっぱいあるお店のようです
わー、情報量の多い看板! しかも手書きだよ!
「いちげんさん、外人さん、お断りしませんよー。みんな友達に」とのこと。フレンドリーさを押し出しているのが逆にアヤシイ……
さて、こちらがお店なんですが
もう面白い店なことは間違いないでしょう
「140のサワー」ということで、色んなサワーの名前がギューギューに書き込まれているんですが、「上戸彩サワー」「カズサワー」「榮倉奈々サワー」などなど、そのどれもが聞き覚えのないものばかり。。
ああー、コッチ系のお店ね。オッケーオッケー! むしろ嬉しいですよ!
入口にはベタベタと貼り紙が……
やはり情報量多めです
おそらく「入りづらい店だ」という自覚はあって、一生懸命に「このお店は怖くないですよ! 気軽に入ってってくださいね!」とアピールしてるんでしょうけど、必死にアピールすればするほどアヤシサが漂ってしまい、入りづらくなってしまうというパターン。
意を決して「入ろう」と思ったら……開かない!? まさかのお休みなんてことは……(看板があんなに煌々と輝いていたのに!?)
……と思いきや、なんと自動ドア!
こんなDIY感あふれる扉、自動ドアだなんて思わないよ、フツー!
まあ、とにかくウィーンと扉を開けて店内へ。
はじめての飲み屋(特にアヤシゲな)の扉を開ける瞬間はいつも緊張してしまいます。
ヤバイ! Uターンしたい!
店内は客ゼロ。
店長さんらしきおっちゃんは、やさぐれた雰囲気でテレビ見てるし……。これはいきなりハードモード!
ボクの中で「面白そう!」という気持ちと「めんどくさそう!」という気持ちがせめぎ合っています。
壁にはミッシリとメニューが書かれた短冊が……うおおおっ!
「何か飲む? ビール?」
いやいやいや、これだけ気になるサワー名が並んでいるっていうのに、ビール飲まないでしょ。
――いやー、せっかくなんで何かサワーを飲みたいですねぇ。オススメとかないんですか?
「まあ、あるけど……いいの?」
――へ、いいのって? いいですけど……?
「ちゃんと飲んでよね」
……と、こんな不穏なやり取りを経て出てきたサワーがこちら。
茶色というか、黄土色というか……妙に濁った感じのするサワー
――コレ……何ですか?
「秘密! 飲んだら分かるよ(ニヤニヤ)」
――(それも教えてくれないんだ!)
恐る恐る飲んでみると……
結構、衝撃の味覚!
甘からず、辛からず、美味からず……というか、出汁のきいたコクのあるしょっぱさ……味噌汁でしょ、コレ!?
「正解!(ニヤニヤ)」
よく見ると底にワカメが沈んでるし……
不思議なことに、焼酎の味はまったく感じられず、ただただ「冷たい味噌汁」といった感じの飲み物になっています。それだけ味噌味のインパクトが強いってことなんでしょうか?
でもまあ、世の中には「冷や汁」なんて料理もあるくらいだから、冷たい味噌汁ってのも意外とイケる……なんてことはなく、フツーにマズイ!
サワー1杯目にして、いきなりクラッときてしまいましたよ!
なぜ料理は普通なのか!?
空きっ腹に、いきなり激マズな「味噌汁サワー」を流し込んでしまったため、はやくも少々気持ち悪くなってしまいました。
気を取り直すためにも、何かごはん類を食べたいところですが……ここで変な珍奇アイデア料理なんかを食べさせられたら嘔吐必至!
……なーんて思っていたのですが、あれだけ変なサワーがビッシリ並んでいるのに、フードの方はザ・普通なんですよね。
なんとマトモなラインナップでしょう
この中から「激辛カレーライス」を注文。
普通の名前だけど、コレが常識を突き抜けるほど激辛だったらどうしよう……なんてちょっと心配だったんですが。
ああ、普通
味の方も、まあ普通に美味しいです
……というか、妙に小さく、なおかつ均一サイズに切り揃えられた具のフォルムから察するに、コレ「ボンカレー」か「ククレカレー」でしょ!?
いや、やる気を出して変な工夫をされるよりはいいんですけどね。美味しいし。
さて……それでは心機一転、変サワーへの挑戦を続けていきましょう。
うーん、どれも気になるけど……「飲む前にこれ1本サワー」って何だろう?
もう1杯飲んじゃったけど(味噌汁サワーを)「飲む前にこれ1本サワー」を頼んでみましょうか。
で、出てきたのがコレ
焼酎+「ホッピー」というセットのごとく、焼酎+「リバキープ」(いわゆる肝臓いたわり系ドリンク)が出てきました。
だから「飲む前にこれ1本」ってことなのね
自分でジョボジョボーッと
肝臓エキスにウコンエキス、オルニチンといった、肝臓いたわり系の成分がふんだんに入った「リバキープ」を焼酎と混ぜて飲むという、やせ薬を飲みながらラーメン二郎をかっ喰らう的な背徳感を感じないこともないですが、まあ酒を飲む前に飲んでも、酒と同時に飲んでも効果は同じようなモンでしょう!?
そして、味の方は……チェーンの居酒屋にも「ウコンハイ」なんてメニューがあるくらいだし、普通に飲めますね(最初に「味噌汁サワー」を飲んじゃったら、もう怖い物ない!)。
味見はしてください
……とここで、店長とボクのマンツー状態だったお店にお客さんが。
が……外国の方ですかッ!
店の常連だというスコットランド人の2人組!
やっとお客さんが来たと思ったらスコットランド人って! どういう客層に支持されているお店なんでしょう……!?
「コノオ店ハ、トテモビューティホーダカラ好キデス」
みたいなことをいっていたんけど……。
「ビューティホー」か……?
うーん、スコットランドの方には感じ取れる美しさがあるんですかねぇ……?
しかし、スコットランドといえば、朝ドラ『マッサン』でもお馴染み、スコッチ・ウィスキーの国。お酒にはこだわりがありそうなのに、こんな変な飲み屋に来ちゃって大丈夫なんでしょうかねぇ?
えっ、サワーじゃないの!?
「スコットランド人も味噌汁サワーとか飲むのかな?」……と思いきや、普通にウーロン割りかよ!
大量に変なサワーのメニューが貼り出されてはいるものの、よく来る人たちはそんなのは飲まず、ノーマルなドリンクを注文しているというパターンなんでしょうね……。
目立たない位置に、普通ドリンクメニューもありました……明らかにこっちがメインでしょ!?
しかし!
ボクはまだまだ変サワーを探求していきますよ。
この辺は有名人サワーのコーナーでしょうか?
「カズサワー」「綾瀬はるかサワー」「榮倉奈々サワー」「堂本サワー」「テツコサワー」(おそらくマツコサワー)「イチローサワー」「AKB48サワー」……。
名前からはビタイチ中身が想像出来ないネーミングばかりなんですが、店長さんに「これはどんなサワーなんですか?」と聞いても「いちいち説明はしないことになってるの。今、150以上も種類があるからキリないでしょ」とのこと。
うーん、とりあえず頼んでみないと何だか分からないのか。
ということで「AKB48サワー」を注文してみたんですが……
「ワンダ・モーニングショット」……
ああー、AKB48がこの缶コーヒーのCMやってるからか。
どうもパターンが読めてきましたが、変な名前がついてはいても、内容的にはそんなにひねったサワーが出てくるわけではなく、焼酎にそのまんま直球なドリンクを混ぜるだけなんじゃないかと……。
だからおそらく「イチローサワー」は「ユンケル」、「カズサワー」は「デカビタC」とかなんだろうなぁー……(教えてくれなかったけど)。
ちなみに「AKB48サワー」ですが、まずくはないものの、牛乳入りのコーヒーと焼酎の相性はイマイチ……という感じでした。
よく見ると、店内の色んな所にサワーの材料と思われるドリンクたちが大量に置かれているんですよね
ちょっとしたコンビニよりもラインナップは豊富です!
――いやー、これだけの種類のサワーがあったら考えるだけでも大変でしょうねぇ。
「大変じゃないよ。コンビニに行って、新しいドリンクが出てたら買って来てテキトーに名前つけてるだけだから」
――(やっぱり!)焼酎との相性とかを考えて味見とかはしてるんですか?
「してるわけないでしょ、こんなもん!」
――(やっぱり!)……。
「別に変な物を入れてるわけじゃなくて、普通に売られているドリンクを混ぜてるだけだから。これでお腹が痛くなったとしても、そのメーカーの責任でしょ!」
――(そうか!?)あはは……あはは……。
ちなみに、わざわざ材料を入手するのも面倒なので、近所のコンビニやスーパーからなくなった商品を使ったサワーはメニューから外しちゃうそうです。
ウーロン割りに飽きたスコットランド人は「ドレデ割ロウカナー?」と、サワーの材料棚を直接あさってました。そういうのもアリなの!?
「ダッテ、メニューヲ見テモ意味ワカラナイデスヨ」
ごもっとも!
日本で最も饒舌なトイレ
さてさて、スコットランド人とちょこちょこ話をしていたところ、しきりに。
「トイレニ行ッタホウガイイデスヨ、キタムラサン」
と、トイレを勧められたんですよね。
まあ、変なお店に行ったらトイレの中までちゃんとチェックするのはマストなんで、当然トイレには行くつもりだったんですけど……。
こちらがトイレ
ギャーッ! ココにも貼り紙がギッシリと!
パッと見、「呪いの部屋!?」と思うくらいの貼り紙&文字量! ここで用を足しても落ち着かないだろうなぁ……。
「店がラジオで紹介されたよ」というインフォーメーションから
お客さんにまつわる面白エピソード
謎の格言(?)
そして、何だかよく分からないメッセージ
おそらく店長さんが紙に書いた物を貼り出しているんだと思われますが、ちょいちょい紙の余白にお客さんからのレス(落書き)がついているのも興味深いところ。
原始のブログですよ、こりゃ!
うーん、やっぱり意味は分からないけど
よく見ると、トイレ以外にも色んなところにメッセージ貼り紙が……。
まあ、この辺はお店からのお知らせですね
「カラオケで100点満点出したお客さんに1000円プレゼント」だなんて、なんと太っ腹
かと思えば「アメの持ち帰りは禁止」という貼り紙も
――なんでこんなにベタベタ貼り紙してるんですか?
「だって、お客さんとコミュニケーション取れるでしょ」
いやー、会話でコミュニケーションすればいいんじゃないですかねぇ!? 貼り紙で常連さんとコミュニケーションを取ったせいで、かなりの量の一見さんを逃していると思いますッ!
スコットランド人も、
「サイショハクレイジート思イマシタヨ! 今ハクレイジート思ワナイケド」
っていってましたからね……。あのヤバさは万国共通で伝わるんですね。
コレはアリです!
さすがにサワー3杯&カレーを食って、お腹もふくれてきたので、締めの1杯を選びたいところです。
やはり……ちょっとチャレンジして「おしるこサワー」あたりですかねぇ……
はい、予想通り!
ドボドボドボーッ
おしるこ缶をグラスに入れて飲んだことはなかったんですが、こう見るとかなりドロリとした液体です……。うーん危険なニオイが……。
いうなれば「ドブ色」という感じのサワーが完成してしまいましたが……
あっ、意外とイケる!?
サワーって、甘いジュースなどで割るケースが多いので、おしることはいえ、甘味+焼酎の組み合わせは以外とイケます!
今日飲んだ、味噌汁、リバキープ、ワンダ・モーニングショットの中では一番焼酎に合うかも……。
コレは発見かも……!
(比較的)美味しい変サワーを発見して嬉しくなり、グイグイおしるこサワーを飲んでいたボクに店長さんからひとこと。
「いやー、よくそんなに変なのばっかり飲むねぇ!」
自分でもそう思うけど、店長さんがいっちゃダメでしょ!
他の店には負けない!
そもそも、何でこんなに大量の変サワーを作ろうと思ったのか聞いたところ、10年くらい前にとある常連さんから「普通のことばっかりやってても店は繁盛しないよ、何か他の店に負けない売りを作らなきゃ」といわれたから……だそうです。
しかし「他の店に負けない売り」として、どうして「変なサワー」を選んじゃったのか……。まあ間違いなく、その分野では他の店に負けてはいないと思いますが!
ところでこのお店の名前、おそらく高倉健主演『居酒屋兆治』から取ってるんだと思いますが……健さんがこの店に来たらどう思うんでしょうか!?
●居酒屋兆治
東京都文京区千駄木3-31-15
【電話番号】03-3823-6962
【営業時間】19:00~翌7:00
【定休日】無休