ゴミの中でもダントツ人気は自転車
個人的にも好きな街、吉祥寺。井の頭公園にもよく行く。公園内で蕩々と水をたたえるのが「井の頭池」だ。水面にはスワンボートが浮かび、花見の季節になると酔った学生が飛び込む。
公園入り口。右は焼き鳥店「いせや」に並ぶ行列
「かいぼり」は2017年の開園100周年を前に、東京都、武蔵野市、三鷹市などで作る実行委員会の発案で実施することになったものだ。今回は、その第一回目である。
「かいぼり」効果で朝からこの賑わい
池底を覗きこむと…
粗大ゴミが捨てられていた
最新のニュースによれば、ゴミの中でもダントツ人気は自転車で、その数250台以上。他にも、財布、カメラ、かばん、ショッピングカートなどを回収したそうだ。財布やショッピングカートは事件の臭いがする。
スワンたちのセクシーな下腹部もあらわに
長靴を持参したが入れない
なお、水を抜くのは地図左下の「弁天池」を除く全範囲。この日は右端の「ひょうたん橋」付近を中心に作業が行われていた。
池の面積は約4万2000平方メートル
水量は約7万トン。調べてみると中国の年間ハチミツ生産量とほぼ同じだが、これはややわかりづらい比喩になったかもしれない。
さて、いよいよ「かいぼり」の現場へ。そこでは、子供を含む約50人のボランティアと専門のスタッフが作業をしていた。
翼よ、あれが「かいぼり」だ
自分自身もかいぼる気満々で長靴を持参したのだが、まだそれで対応できる水位ではなかった。
投網も使います
今後の流れとしては、捕った魚を在来種と外来種に分け、池底を約1カ月天日干ししたのちに、再び水を入れて在来種のみを戻すことになるという。
今日は「捕って」「分ける」作業を行う
なお、池の東端には神田川の起点がある。水はポンプでここから排水しているのだ。
いくつかの川と合流して隅田川へ流れ込む
スタッフによる「おさかな解説」も
捕った魚は順次、園内のブースに運ばれる。そこでは、スタッフによる「おさかな解説」が行われていた。
大盛況である
バケツや水槽に入れられた魚には、それぞれ「在来種」「外来種」の区別の他、簡単な特徴も記されていた。
ブルーギルとオオクチバスは外来種
この2種は1970年代以降に釣り人たちが違法に放流したものだという。そして、なんとウナギもいた。
こちらは在来種
スタッフが持つ水槽に入っていたのは「モツゴ」と「ヌマチチブ」。いずれも希少な在来種だが、ブルーギルなどの外来種に食べられて、数が激減しているそうだ。
「何百台の自転車なんかより、1匹の外来種のほうがダメージが大きい。自転車は増えないからね」とスタッフは嘆く。
「ヌマチチブ」(右)は東京都の「保護指定野生生物」
そして、おなじみのカメ。下は「クーター」というアメリカやメキシコ産の要注意外来種だ。
噛み癖もある困った子
最後に、在来種の「ニホンスッポン」。こちらは水質汚染に弱く、数が減少している。
魚、貝、昆虫などを食べる
とくにカメ類はペットとして購入したものの、大きくなるにつれ飼いきれなくなり、池に放つケースが多いという。
ブースの脇には、感想コーナーもあった。そこには、参加者からのコメントがぎっしりと貼られている。
「お客様の声」のごとし
子どもたちのキラキラした感想も多い。池に入って魚を捕まえる。なかなか、できない経験だ。
「すごいたっせい感」を味わった10才男子
元気を出して
古来より水に恵まれた場所
「かいぼり」は満喫した。池の周囲をぶらりと散策することにしよう。
すると、ここが古来より水に恵まれた場所だったことに気づく。たとえば、弁財天の境内には「御神水」がある。
願いがかなった絵馬はここに奉納する
続いて、「お茶の水」という井戸。徳川家康が好んでお茶を点てたことから、この名が付いた。
スタッフによれば「昭和38年に枯れてしまったんですが、その後ポンプで汲み上げて水を湧かせています。今は『かいぼり』でいったん止めていますが、2月下旬に復旧予定」とのこと。
「パワースポット」でもある
そして、これは水とは関係ないが「ちいさい秋みつけた」の歌碑もあった。作曲家の中田喜直が井の頭公園をよく散歩していたそうだ。
ピアノ型の石碑かっこいい
あ、パンツ。キョロキョロ歩いていると、いろんな落とし物を発見する。その奥のドラマを想像するのも風流だ。
ノーパンで帰ったのかしら
さらに歩くと、「かいぼり新聞」的な掲示物が目に入った。そこには、『ぼりさん』という4コマ漫画が。連載第一回を読めてラッキーである。
「かいさん」はどこへ?
漫画は「かいぼり隊」の集合シーンから始まる。胴長に着替える際、「靴も脱いで」と言われたぼりさんは、いろいろ脱ぎ過ぎてしまう。
隊長に怒られるぼりさん
鷹を散歩(?)させていた紳士
2月中旬には「池底を歩く会」も
「水を抜かれた池を見てみたい」という単純な思い付きで出かけたが、いろんな面白い発見があった。完全に干上がる2月15日(土)、22日(土)には「池底を歩きながら、池の地形や生き物を調べる観察会」(申込先着順)も開催されるそうなので、こちらもぜひ行ってみたい。