それがこのナンだ
ぬな?
44cm×20cm。でかいのかな
ふつうなんじゃないかな
大きいかな。食べおわりの満腹感もふつうだし。たのむ前に「大きいナンはこれですか?」と確認したのでまちがいはないと思うのだが。
もしかしたらインドの人はすごく小食で(……インドでこんな大きいナン見たことないよ!)とか思ってるのかな。
念のためきいてみると本国でもこんな感じの大きさだという。だよねえ、おれインド行ったことあるもの!
埼玉県大宮にあるダナパニに。とんこつラーメンみたいな雰囲気だ
日本一大きいナンをもとめて
つづいての店も検索でしらべた。「僕が勝手に日本一大きいと認定させていただきます」と個人の食べログの評価があったダナパニ。その大宮店に。
看板には「焼きたてナン」とある。「(でかいうえに)焼きたてナン」なんだろうけど、謙遜しているのかな。
ダナは食べ物、パニは水の意味らしい。「食べ物と水」って料理店、すごいな。
すでにのこしてる人がいた
他のお客さんが「すいません、これ包んでください」とナンをのこしていた。でかいんだ、やっぱりでかいんだ、と一緒にきた藤原という男と顔をあわせてにんまりした。
ランチは900円前後。「野菜のスープです」というスープがとんこつみたいな味だ。入り口の看板からして、やはりとんこつラーメン屋なのかもしれない。
そしてナンがやっていた。カレーとサラダとスープがついたランチは800~900円
でかい。検索してると、ナンの大きさは携帯でなくて顔とならべるのが多い
たべものというより、寝具に近いかもしれない。
51cm×20cmでかくなった
うま
この店うまいな
さっきのスープもそうだがこの店はうまかった。
ナンはふかふかもありパリパリもあり、甘みとあぶらっこさがちょうどいい。カレーもマイルドな口当たりながらビシビシくる辛味、なによりスパイスの香りが鮮烈だ。
お店の人に、あなたの国ではこんな大きさなんですか?ときいてみると「これより大きいし、これより小さいね」というなぞなぞみたいな回答をもらった。
まあ、色々あるということなのだろう。
さてこうした温かい唐辛子料理をたべるとぼくは顔に汗をかく。6歳下のふじわらが指さして笑うくらい汗をかく。
大人の顔を指さして笑うとは。いやいや、しかたないのだ。そういうファンタスティック・フォーなのだ。
汗をかく。そういうファンタスティック・フォーなのだ。
カレーは飲み物じゃない、お風呂だ
こうしたファンタスティック・フォーたちがカレーをたべるとひとっ風呂あびた感覚になる。カレーは飲み物というものいいがあるが、汗(カン)タスティック・フォーにとってカレーはお風呂である。
たべおわると汗がひえて風邪をひきそうになる。これも湯冷めに近い。カレーに着替えは必要である。
「一期一会だからね。ありがたいね。こうしたカレーと汗との出会いは一期一会だから。出るか出ないかは運命だから」と藤原に説明していたがもちろん100%出る。
駒込にあるシャンティ本店。高校生が「ナンなんかで腹いっぱいになるかよ!王将行こうぜ!」と店頭で。シャンティさんなめんなコラ!
大盛りナン
でかいナンさがしはつづく。つづいては駒込にあるシャンティ。ここではナンの大盛りが頼めて、それがでかいらしい。
ナンも大盛りというのか。それこそごはんみたいな感覚だな。
調べてみるとこの「ナン大盛り」制度はちらほらあるみたいで、いくつかのチェーンで見受けられた。なかでも一番大きそうだったここを選んだ。
店の入り口では高校生グループが「ナンなんかで腹いっぱいになるかよ! 王将にしようぜ!」と息巻いていた。
その後そのままシャンティに入ってきたので、さすがにわけがわからなかった。べつにいいけど、ナンがでかくても泣くなよおまえら!
ほらでかいんやんけ、コラ!
ナンっていう名前やめてデカにしようぜ。デカに。
またまたでかくなった
ちゃんとでかくなってきた
さすが大盛り。でかい。「大北さんちゃんとたべますね、すごい」と一緒にナンをたべてくれた編集者キンさんがおどろいていた。
正月の雑煮でパンパンに胃袋ひろげてきましたからなめんといてくださいよ。
「それにしても汗すごいですね」なんやとコラ!
カレーと汗は一期一会。これも運命ですね
ナンはたべのこしでさえでかい
そして大阪は京橋にあるカトマンドゥに。「フルナンは+30円up」これだ、フルナンか。
なにわサイズのナンへ
そしてでかいナンさがしはつづく。「ナン でかい」で検索すると「ナン でかい 京橋」と候補に出る。しらべてみると、大阪の京橋にあるカトマンドゥというお店のナンが大きいらしい。
帰省の折に近所にすむ先輩一家と来店。でかいナンは「フルナン」というらしい。ハーフナンにたいしてのフルである。なんかものすごいアッパー感があるな、フルナン。
フルナンは30円アップなのだが全部たべると30円かえしてくれる。冷やかしおことわりの保証金なのだろうが30円は安い。
バチッ!バチッ!と音がして、見てみるとナン。もはやナンを作る音量じゃない。内装工事だ。
でかいナンは子供たちの人気者さ
こちらはハーフナン。40cm級でそこそこ大きい。最初のお店のに近い。
そしてきた。皿からはみ出たあっつあつの端っこは手渡し。制度の見直しを!
あわてて取り皿に避難。でか。
まわりのお客さん見たらみんななにかしらの枕をおいていた
ナンはたべものというより馬の頭に近いのではないか
ナンの下にかくされたメニューが出てくる。定食がすっぽりおさまるほどのナン。
お腹いっぱいでございます
それにしてもでかい。馬の頭くらいの大きさがある。3歳の娘に手伝ってもらったものの、なんとか完食。はらが、はちきれんばかりに。
「本場はこんなに大きいんですか!?」と店員さんにきいてみると、あきれたような顔をして首をふる。こんな大きいナンは本国にもないそうだ。
なんでこの大きさになったの? 「この大きさのをたべる人がいるから仕方がない」と。ニッポンジン、タベスギネーだ。
私たちの醜い欲望がほどよいサイズだったナンを巨大化させたのだ。それはビキニ環礁の水爆実験で巨大化したゴジラのように……
「(本国でこの大きさ?)ナイナイ」 私たちの欲望がナンを巨大化させたのだ!(ゴジラ的な)
暫定一位はカトマンドゥのナン
動物園にゾウ見に行く感覚に近い
動物園にゾウを見に行くのもこういう感じではないか。
「でか~!!」と興奮して走りより、かぶりつきで見ていると次第に安らぎをおぼえるだろう。
でかいナンを見て「でっかいな」「うん、でっかいな」とニコニコしているこの感覚はゾウやお相撲さんを目の前にした感覚に近いのだ。
ナンは炭水化物というそもそも平たい存在でもある。飢えや刺激の対極にある存在であり、限りなく平和である。平和の象徴はハトだというが、これからはナンだ。
平和の象徴、ナン。今年のノーベル平和賞はナンに決まりだ。
「大北、汗かきすぎやってそれは」 そういうファンタスティック・フォーやって言うてるでしょ!