まずは新横浜
いかにも新幹線のための駅です、って雰囲気が漂うのは名前に「新」が冠されたものだと思う。新大阪、新神戸、新横浜、新富士など。
今回あえて降りてみるのは東西2大「新」駅、新横浜と新神戸だ。このふたつが「2大」である、とはいまぼくが決めた。異論もあるだろうが、何ごとにも都合がある。まずはこの2つから始めさせていただきたい。
新横浜駅構内、新幹線乗り場。薄いブルーのアクリルにおしゃれに覆われた柱がいかにも新幹線駅っぽい。
で、まずは新横浜だ。
千葉育ちのぼくには、新横浜には新幹線の駅という以外何のイメージもない。おしゃれタウンとしてその名をとどろかせる横浜といえども、新横浜が相手なら千葉でも勝てるんじゃないかという気すらする。
新幹線のためだけに作られた駅で、きっと駅前には荒野が広がっているに違いない。あえて降りてあざ笑ってやろう!
…そう思っていたこともありました。
改札を出ていきなりの駅ビル内店舗ラインナップにはやくも負けた気がする。人も多いし。
確かに新横浜駅は、新幹線だけでなく、横浜線と地下鉄の駅でもあることは知っていた。でも、もっぱらその乗り換えに終始し、人々は駅前から外へは行かないのではないかと思っていた。荒野だし。
ところがどうだ、この人の波は!
なんか普通に大きな街なんですけど!
オフィス、居酒屋、レストラン、コンビニ、スタバまで完備。荒野はどこだ。
きけば開業当時は一面田園だったらしいが、いまや一大都市とのこと。
だいたい、スポーツ界にまったく疎いので気がつかなかったが、スタジアムもあるではないか!
ぼくの人生はいつでも体育会系によって打ち負かされるのだ。
あ、でもそばにあったこの鉄塔はかっこよかった。これは認めてやってもいい。
なんて、憎まれ口をきいたものの、やはり用事もないのにふらりと街を歩いてみるというのは楽しい。
おのれハマっ子!千葉をバカにするか!と振り上げた拳はいつのまにやらカメラのシャッターを押していた。散歩の下の平等である。
と、歩を進めていくと、ややや!新横浜がその本性を現し始めた!
線路の向こう側に渡ってみたら、なかなかのサバービア感。このコントラストがいい。
跨線橋がある街に悪いやつはいない。この雰囲気、好みだ。
付近のオフィスを出て駅へ向かう人の波と反対側を見ると…
おおお!これこれ!こうでなくっちゃ!
ジキル博士と新横浜氏
一気に親近感がわく風景に。新幹線「新」駅はこうでなっくっちゃ!
線路の向こうのとりすましっぷりがすごい。無理してないか、新横浜。
浄化槽のひとつでも転がっていてこその「新」駅である。
ぶっそうな警告もポップ体で表示してこそ「新」駅である。
ナイス新横浜!
正直、ここまですてきに「新」駅っぷりを披露してくれるとは思わなかった。サバービアな風景に惹かれてしまうぼくとしては大満足のどんでん返しであった。
サバービア側の駅出口はとても新幹線が停まるとは思えない佇まい。ナイス!
あらためて地図を見ると、新幹線をはさんでのコントラストがすごい。
「純粋新幹線駅」新神戸
新横浜と同様、新幹線改札口はそれにふさわしい賑わいっぷり
一時はどうなることかと思った「新」駅探訪、新横浜駅編。大きく発展しつつも、期待通りの「そりゃふつう降りないよね」感も併せ持ったなかなかの駅であった。あっぱれ。
で、勝手に西の代表にした新神戸駅はどうか。
下馬評ではかなりの期待を寄せられている新神戸駅。その理由のひとつは、ここが「純粋新幹線駅」だからだ。
なんとJR在来線が通っていない。これは期待が高まる。
駅舎の地形的苦労っぷりに期待が持てる
そうなのだ、この新神戸駅は中心地三ノ宮駅まですぐの場所にあるのだが、その手段は地下鉄になる。新幹線以外のJR線がこの駅にはない。あらためてこれにはびっくりした。
さらに興味深いのは、この駅ホームがトンネルに挟まれていることだ。
新大阪方面、ホームをすぐ出てトンネルへ。
反対側向こうも山に突っ込んでいる。
地形的にぐっとくるロケーションだ。やんわりしたカーブにも苦労の跡がしのばれる。そしてこりゃあきっとすばらしい「そりゃ降りないよね」感が待っているに違いないと思った。
新横浜での教訓「反対側へ行ってみろ」
ホテルやタワーマンションが華やかさを添える駅前ロータリー。しかし落胆するのは早い。
神戸でいうところのいわゆる「海側」に関して言えば、「そりゃ降りないよね感」はあまり感じられない。しかし、慌ててはいけない。新横浜で学んでだではないか。こっちがダメなら反対側だ、と。
新神戸で降りて構外へ出るのはもちろん初めてだったが、大きなホテルや劇場があることは知っていた。しかし山側にきっとなにかある。
新神戸にある地図なのに画面の一番端っこに現在地表示。あくまで海側が主役とのアピールに、ますます山側への期待が高まる。
そして山側へくぐり抜けようとしたところへ気になる表示が…
滝?!
地元の人には当たり前かもしれないが、新幹線駅に「滝がすぐだよ」って表示はなかなかないのではないだろうか。
新幹線ホームの下を抜けると、正面になにやら看板が。
これはもう「駅前にある看板」ではない。
新横浜的なサバービア感を期待していたものの、様子がかなり違う。山だ。これは山だ。
へたばっている人の姿に一抹の不安を感じた。
そしてその脇の細い通り抜け道が気になったので行ってみると…
新幹線ホームの下がえらいことに!
なにやらキャッキャと楽しそうな声がするな、とは思っていた。そして特有の匂いがすることも気づいていた。
そうだ、これはバーベキューの煙だ!
って、行ってみたら眼下にこの光景!なにこれ!
上は新幹線のホーム。下はバーベキューの煙。
なんだこれは。こういうのは予想していなかった。ていうか、上、新幹線だよ?
上の写真からすぐ横を見ると、こういう荒々しい光景が。水着の女の子連れて水遊びにくるような場所には見えない。いや、ぼくは好きだけどねこういうの。
何が起こっているのか一瞬理解できなかった。まさか新幹線乗っている人も、下がこんなことになってるとは思わないだろう。
たぶん地元ではふつうのことなんだろう。ふつうってすごいね。
度肝を抜かれたままとりあえず滝へ
5分も行かないうちにこんなだ。ほんとにここ新神戸駅前か。
新幹線の駅前にイノシシの警告。そして「登山」。
完全に登山道。なにやら碑が。
やばい。藤原とかが歌詠んじゃうのはやばい。本気の風光明媚だ。
重ねて申し上げるが、新幹線の駅前である。距離的に言えば新横浜のスタジアムなんかよりずっと近い。
そしてついたのがここ。
そしてついたのがここ。
完全に観光地だ。そばにあった立て看板によれば那智の滝、華厳の滝とならんで三大神滝と呼ばれているそうだ。
神滝だが、耳を澄ませば新幹線の発車ベルが聞こえるのだ。なにか奇妙な夢を見ている気分になった。
登山装備の人々の中にしれっとスーツの人がいたりして駅近であることが分かる。
そして下流ではリア充大学生たちがきゃっきゃうふふってしてる。重ねて申し上げるが、新幹線駅から10分も歩いていない場所でである。
予想をはるかに上回る「新」駅だった
「ふつうは降りない駅にあえて降りてみたら、やっぱりなにもなかった」という結論を期待してやってみた今回の試み。まさかこんな光景が待っているとは思わなかった。
これに味をしめて、近いうち成田空港駅で外に出てみたりしようかと思う。あそこもみんな駅は利用するけど構外には出ないよね。
三ノ宮に来るたびに「海岸線」って意味違うよなあ、って思う。
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