おもちゃ侮りがたし
その意味の分からなさに、むしろ底知れぬパワーを感じます。
そちらが先発なのか、逆に中国にあったものを輸入販売していたのか正確なところは不明ですが、そのあたりを追っているサイトがありました。元をたどるとアメリカのおもちゃメーカーに行きつくようです。発売年的にこれがオリジナルっぽいですね。
みなさん、「ゼンマイ式でトランスフォームする中国のおもちゃがすごいので分解する」をお読みいただきありがとうございます。
この記事は、ゼンマイ式でトランスフォームする中国のすごいおもちゃを分解するだけの記事です。
すごいんですよ。本当にすごい。
なんて、すごいすごい言っててもなにも伝わってこないと思いますので、さっそくおもちゃを紹介していきます。
何の変哲もない車のおもちゃです。ないですよね、変哲。念のためもう一度ご確認いただけますか。
思わず指さし確認してしまいました。やっぱりないですね、変哲。一見ほんとうに普通の車です。
ところがですね、ゼンマイを巻いて走らせてみましょう。
見た見た!?これ、変形するんですよ。
この、何とも言えない形の軽トラ?みたいな車が、走り出すとおもむろに足が生えて、人型ロボに……じゃなかった、
そう、犬になるんです。このおもちゃを見た僕の感想はこうでした。
「変形!?すげえ!マジで変形するの!?うわ、変形した!車が?車が犬に??????」
最初「!?」だった感嘆符がだんだん純粋な「?」になっていくのが分かったでしょうか。とにかくすごいのですが、それにしてもこのぼんやりしたモチーフはなんなのか。犬種のよくわからない犬(ビーグル?)と、軽トラのほうはやはりコンボイを意識してのことでしょうか。普通免許で運転できるギリギリのコンボイ。
……とついつい茶化してしまいましたが、これがゼンマイじかけで動いてるんだから普通におどろきです。このおもちゃのことは会議中の雑談で編集長の林に聞いたのですが、その場で注文しました(会議中のオンラインショッピング恐縮です)。
ゼンマイのおもちゃは数あれど、こんなに凝った動きのものは初めてです。中国の通販サイトで買ったので到着まで3週間くらいかかりましたが、思わず狂ったように遊んでしまいました。
余談ですが林が注文した分は結局とどかなかったそうです。中国通販はいつも、荷物をなくしがちな国際物流網との戦いです。
ちなみにいまはAmazonで変えるようなので、記事の末尾のリンクをどうぞ。
そんな我が家のコンボイですけれども、ある日、子供が「おとうさん壊れた」つって持ってきたんですね。ためしに動かしてみます。
変形機能が失われ、ただの軽トラになってしまいました。
分解修理ついでに、変形の仕組みを調べてみたいと思います。
タイヤを外して、ケースを開きました。
一度このままゼンマイを巻いてみましょう。
ほほう……。
この段階ではまだしくみまでよくわかりませんが、とにかく「機構」という感じがします。なんと満足感の高いアニメーションでしょう。ずっと見ていられます。
さらなる調査と快感のため、もうちょっとばらしてみます。
これがエンジン部分です。ゼンマイを巻くと、①と②、2つの軸が回転するようになっていました。そこにギアがついていて、③~⑤の部品がぜんぶ連動します。(おもちゃは左右対称で、それぞれの部品は裏側にも同じものがついています。)
③のシャフトはタイヤがついていたものです。車モードの時はこれで走ります。
変形機構としては、のこる④、⑤がキモのようです。
それぞれよく見てみると
2か所(裏面も合わせると4か所)、突起がついていますね。結論からいうとこれが変形の核心部分でした。この突起のことは忘れないように覚えておいていただいて、話はいったん別のパーツに。
次は、カバー部分を見てみます。
カバーは1枚板ではなくて、いくつかの板が組み合わさってできています。
ここでおもむろに、この写真に円を書き込んでみます。
察しのいい方はお気づきでしょう。さっきギアボックスの④、⑤についていた突起あるじゃないですか、あの軌道がこの円なんですね。
ではあの突起が円を通るとどうなるか、ドライバーを突起に見立てて、実験してみます。
車が、犬に!犬が、車に!
変形の核心部分は、なんとこの単純な回転運動にあることが分かりました。
カバー部分はおおむね2枚の板でできていて、片方は頭や脚の回転軸を支えています。もう1枚の板が突起の回転で突き動かされることで、クランクの原理?で頭や脚のパーツを回転させ、犬と車を切り替えているんですね。どうやって考えたらこんなものできるんだ……。
最低限のコストでめっちゃ動くものを作ったるぞ!!という執念を感じます。そこにかける熱量と、見た目をかっこよくしようというパッションの希薄さ。このアンバランスこそがこのおもちゃの最大の魅力かもしれません。
ところで、思い出してください。ギアボックスの突起は2つありました。もうひとつの⑤のほうの突起はなんだったのかというと……
こう、って言われても肝心なところが指で隠れて全然見えてませんでした、すみません。
逆側の方が見やすかったのでそちらを貼ります。
こういう感じで、足を動かして歩いてるっぽくするための機構でした。
変形は確かにダイナミックですが、この犬に命を吹き込んでいるのはむしろこの足踏みのムーブでしょう。変形の一点突破で終わらない、心憎い演出です。
ちなみに故障の原因は何だったのかというと、
Amazonで購入できます。カラバリあり。
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