特集 2024年12月26日

持久走は辛いが持久スキップなら楽しいはず

持久スキップ

寒くなってきた。あったかい服を着ているのに肩に力が入る。冬なのだ。

冬は学校の体育で持久走をしたのを思い出す。無理に競わされるのはとても辛かった。

もっと楽しく走りたい。スキップでやったら楽しいんじゃないか。

1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。動画インタビュー

前の記事:デニーズでシェフ監修ハンバーグを食べる


まずは普通に走る

持久走みたいな長い距離をスキップする。持久スキップだ。10kmぐらいかな、持久走って。

スキップのような軽い足取りで準備を進めたが、編集担当の橋田さんに「走った時のタイムも測った方がいいですね」と言われてハッとした。

そう、僕はランニングの習慣がないのでいきなりスキップしてもそれが普通の走り方より楽しいとか早いとか、そういうことが分からない。

「走るのは辛いから嫌だ」で始まった話なのに、一手で詰み、10km走ることになった。

河原に来た

事前に地図で確認しておいた5kmの地点まで走って帰ってくる。 

こんな感じの道をずっと走る

視界が開けていて気持ちがいい。すぐに寒さも感じなくなった。いいものだな。

ペースが分からなくてすぐにバテて歩き、また走ってバテる、を繰り返していたが、折り返し近くでやっと自分のペースが分かって走り続けられるようになった。思っていたよりすごくゆっくりだ。

止まらなくなると持久走の感覚も蘇ってきた。体が勝手に動いて、頭は呼吸のリズムのことだけを考えていた。こんなに遅いのか、と思っていたペースなのに時間が経つとちゃんと景色が変わっていて驚く。

そんな風にちょっとだけ手応えを得てスタート地点に戻った。タイムは1時間15分。前半歩かなければもっと早かったな、という後悔はあるが、すごい達成感だ。10kmを頑張って移動するの、楽しい。 

気持ちが高ぶってしまい、家に帰って大きなホットケーキを焼いて食べた
いったん広告です

持久スキップ、スタート

思いがけず持久走を楽しんでしまった。持久スキップはもっと楽しいのだろう。

翌日、同じコースをスキップする
ウォーミングアップスキップ

準備運動をしてぬるっとスタートした。

日常でスキップすることがあっても数歩だろう。その域を超えて数百メートルスキップしてまず思ったのは「疲れない」ということだ。

心肺が一向に苦しくならない。楽しいからだろうか。普通に走るよりリズミカルなので呼吸がしやすいのかもしれないし、姿勢がまっすぐになるので気道が開くのかもしれない。仕組みは分からないが嬉しい効果だ。

そして、何より楽しい。明らかに喜びの動作をしていると、嬉しいことがあったような気がしてくる。昨日は何があったんだっけ。そうだ、10km走ったんだ。 

影も楽しそう
いったん広告です

足の指が痛い

この時点で良いことしかないスキップだが、2kmぐらいの地点で足の指が痛くなってきた。

着地の時、どうしても靴の中でぶつかるのだ。このままではいけない、ケガをしてしまう。病院で腫れた足を見せながら「10kmスキップしまして…」なんてやりとりしたくない。大きな綿、大きな綿を履きたい。

足の指をかばうためになるべく垂直に着地しようと試みたが、このスキップがすごく遅い。前の散歩の人との距離が縮まらない。

長距離移動に向いた動きではないのだ。跳んでいる分着地の衝撃がどこかにかかるし、衝撃を減らすと遅くなる。

2km過ぎ、ついに止まってしまった。

いったん広告です

愉快なステップならOKにする

完スキップは達成できなかった。そこで、他の愉快なステップもOKというルールを足した。

欽ちゃん走り

これも愉快だ。強制的に口角が上がってポジティブになる。しかしやっぱり、距離があると辛い。足首に負荷が溜まっていくのがわかるし、大きく振る腕がすごく疲れる。

しかもこの腕、前に進むこととあまり関係ないのだ。なのにこんなに疲れてる。これだけ無駄なエネルギーが生まれたらそりゃあおもしろいよな、と欽ちゃんの功績に納得した。

100mぐらい欽ちゃん走りをしたら、足首が疲れてもつれる前にスキップに戻した。

こうしてスキップと欽ちゃん走りを交互に使い、体にかかる負荷を分散した。

いったん広告です

普通に走りたくなる

ケガをしないよう、慎重なスキップと欽ちゃん走りで折り返し地点まで来た。

同じ空。スタート地点では見ない木

やっぱり昨日より心肺が楽だ。でもその分足の先や足首が疲れる。そして腿も上がらなくなってきた。

スキップって腿上げの運動みたいなところがある。必死に上げるか、嫌なら欽ちゃん走りをするしかない。

折り返してしばらくした頃には「普通に走りたい」と思うようになっていた。

走るってなんて便利な動きなんだ。体への負荷が一箇所に溜まらないし、安定しているから転んでケガをする心配も少ない。そして、何しろ早い。早いと楽しいだろう。スキップも楽しいが、そもそも走ることだって楽しいのだ。

ゴールが近づくにつれて走りたい気持ちがどんどん大きくなる。 

しかしスキップだ。必死のラストスパート

こんなに衝動に抗うスキップがあるのか。当初の思惑とは真逆の結果になったが、今は何よりも早くゴールしたい。自分が今できる、一番早いスキップを繰り出した。 

いったん広告です

ゴールした

フラフラでゴールした。タイムは1時間40分。走るよりだいぶ遅い。これはスキップそのもののスピードが遅いわけではなく、ペースを保てなくて止まってしまうタイムロスがかなり大きい。

倒れ込むでもなく、なぜかそのままゆっくり歩いて帰ろうとしていた。体が『普通の動き』を強く求めていたのかもしれない。

g.jpg

持久スキップ(10km)は思っていたより遥かに大変だった。「普通に走るより楽しいかも、スキップだし」という狙いが通用するのは2kmまでだ。2kmまでなら楽しい。

帰りがけにラーメンとチャーハンを食べた。椅子に座ったら足の付け根に溜まっていた疲労がジュワーっと溶け出した
▽デイリーポータルZトップへ
20240626banner.jpg
傑作選!シャツ!袋状の便利な布(取っ手付き)買って応援してよう

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ