桃太郎のストーリーを追えるぬいぐるみ
まずは見てもらおう。こちらがせこなおさんの5変化ぬいぐるみ「桃太郎」。今回取材をお願いしたら作ってもらえることになった新作だ。
「何変化でもできる」ということだったので、もういっそ100変化ぐらいお願いしてみたかったが、忙しそうだったし大変そうなので5変化でお願いしてみた。
今まで3変化までは作ったことがあるそうだが、5変化は初挑戦。形が5パターンもあるとストーリーが追えている。ぬいぐるみなのに絵本みたいだ。
仕組みを教わろう
この「桃太郎」を見ていても、どんなカラクリなのか全然理解できない……。
3変化のぬいぐるみだとどうだろう。これまでにせこなおさんがTwitterに公開していたものを見てみよう。
【キャトルミューティレーション】
リバーシブルぬいぐるみ「キャトルミューティレーション」作りました。
— せこなお (@sekonao) June 16, 2016
リバ3変化です。(改 pic.twitter.com/XA9cJGb8TS
【タマゴひとつで本格ラーメン】
リバーシブルぬいぐるみ「タマゴひとつで本格ラーメン」3変化。
— せこなお (@sekonao) August 8, 2017
玉置さん(@hyouhon)の新刊「趣味の製麺第6号」(コミケ8/13 東X07a 「私的標本」領分予定)に掲載です。https://t.co/laLMQ1NAgl pic.twitter.com/GmQixP2Nck
3変化でもやっぱりなにがどうなってるのか、よく分からないし、こんなのどうやって思いつくんだろう。制作の経緯について話を聞いてみた。
【ダイオウイカvsマッコウクジラ】
リバーシブルぬいぐるみ、ダイオウイカvsマッコウクジラ 作りました。 pic.twitter.com/CJbHxwsveN
— せこなお (@sekonao) February 21, 2016
【きのこvsたけのこ】
リバーシブルぬいぐるみ、きのこvsたけのこ 作りました。
— せこなお (@sekonao) May 2, 2016
どちらの派閥にもご満足いただける一品です。 pic.twitter.com/35a10eHNXA
【2016年に発売された3商品】
リバーシブルぬいぐるみ3種、本日よりヴィレッジヴァンガード10店舗で先行発売開始です。くるくるくるくるひっくり返してー
— せこなお (@sekonao) December 2, 2016
【東京:渋谷宇田川店,下北沢店,町田路面店,高円寺店,三軒茶屋店,埼玉:レイクタウン店, 愛知:名古屋中央店,京都)新京極店,大阪:アメリカ村店,兵庫:三宮店】 pic.twitter.com/Ifb7yksBIS
基本的にはぬいぐるみ単体が繋がってる感じで、3変化ならこう繋がってるんですよ。
いや!! 分かんないですよ!!
うーん……そもそも簡単に「いける」って思い付くところが分からないんですよ。
作り慣れた人の発想ですよね。
そうですよね。なかなかその発想にはならないですよ。
確かに「ここをひっくり返すにはここに穴を開ける」みたいなことをずっと考えてたから、スッと出てきたのかも。構造としては単純なものなんですけど。
これって、例えばおもちゃ屋で買ったぬいぐるみに穴開けて、ものにを組み縫い合わせてもできるってことですよね?
できますね。パペットを2つ買ってきて表裏でもいけます。けどパペットって顔の部分に綿が多いから、抜いたりしないと体の部分に入っていかないかもしれない。
そんな風に作られてないものですもんね。
あと、布だけの部分もぬいぐるみの綿の役割になるし、袋の部分にもある程度のかさがないと……。
その辺のバランスも難しいんですね。
5変化を見ると、より混乱する
変化数が増えるほど大きくなる?
型紙はペーパークラフトを作る要領
「ここに膨らみを入れたい」と思った場所にダーツ(立体にするための切り込み)を入れて、ダーツの頂点が一番膨らむので、それを目指して縫いやすくて繋げやすい部分に分割のラインを入れていく……というか。前に作ったときに撮ってた写真で説明すると、こんな感じで作業をしてます。
おおお……ちゃんと立体になってるけど、なんでこんなことができるのかが分からない……!! どのぐらいダーツを入れたらどう膨らむか……というようなのは慣れってことですよね。(簡単に説明しきれないことだけは分かった)
ぬいぐるみデザイナーという珍しい職業
せこなおさんの普段の仕事は、ぬいぐるみ自体を作るというよりも、工場で量産するための型紙作りの仕事がメインだそうだ。
元々はキャラクター商品の会社に商品企画のデザイナーとして入った後、ぬいぐるみ担当だったのがきっかけで、ぬいぐるみ生産会社のパタンナーに転職。その後独立して10年になる。
見習いたい、脳の柔らかさ
変化するぬいぐるみのインタビューの予定が、いつの間にか珍しい職業の話になり、仕事の進め方の話を聞きつつ一方的に冷や冷やし、ちょっと疲労感すら覚えた。そんな日々の中、四六時中ぬいぐるみのことを考えているからこそ、あんなカラクリを思いついたんだろう。
今回話を聞いていても、私はなかなか理解が追い付かず、人によって脳の使いどころが違うものなのだな、脳の鍛え方を見習いたいものだ……と思ったのだった。
ところでせこなおさんの作るものはどれもかわいい。「かわいくしようとしてるんですか?」と聞いたら「かわいくしてって言われるんですよ!!」と言っていた。
「かわいく」と注文されたらかわいくできるものなのか、すごいなぁ。私はなんだか気持ちの悪い顔のものをよく作ってしまうので、レクチャー受けたらいいんじゃないか。そんな話にもなったりした。
なので、そのうち「かわいいものを作る」レクチャーもお願いしたい。