特集 2023年8月15日

ミロが好きすぎて追いミロする国マレーシアいいぞ

ミロにミロをトッピングするミロに狂った国に行ってきました

弟を訪ねにマレーシアに行ってきた。コロナ騒ぎ以降、もうできないと思っていた海外旅行である。そんな遠くないけど全く異文化だし、物価も安いし、英語も通じるし海外旅行に慣れてない筆者でも楽しい旅が送れた。

 

2006年より参加。興味対象がユーモアにあり動画を作ったり明日のアーという舞台を作ったり。

前の記事:車かわいい!顔こわい!マレーシアの人力車特集

> 個人サイト Twitter(@ohkitashigeto) 明日のアー

東南アジアはビルも木ももりもり

お盆休みが終わろうとしているが7月の後半にマレーシアに行ってきた。タイの下にあってシンガポールの左上にある東南アジアの国だ。

首都であるクアラルンプールに着くと高層ビルと植生の元気さに圧倒される。

マレーシアのクアラルンプール的な風景。電車から。緑がモサモサでビルもりもり。

ただいま経済発展中の国

木もビルももりもりである。熱帯雨林気候の国であるし、経済も東南アジアの中では抜きん出てるそうで、近隣の国から出稼ぎに来たりするそう。とはいえ物価は日本の体感2分の1くらいなので旅行でも気兼ねなく過ごせた。

変わったデザインのビルが多い。高層マンションでもちょっと変わったデザインのが多いらしい。その方が売れるんじゃないかと現地の弟は言う。デザインに対しての考えが違うのかも。
高速道路などから新規の建売住宅の街が見えるし地下鉄の看板にシムシティみたいな街の宣伝が。ニュータウンがガンガンできることこそが経済発展中の証なんだろうか

熱帯雨林気候は東京より涼しい

訪れたのは7月の後半、日中の気温は30℃を少し超えるくらいでマレーシアは東京よりも涼しかった。そしてこの温度が年中続くそうだ。

繁華街から2駅くらい離れた川べり。秋葉原とか御茶ノ水くらいの場所なんだろうけど木が南国のそれ

真夏に観光に来るのも真冬に行くのも暖かくて良さそうだけど、一年ずっと夏ってどんな感じなの? と思うが現地に暮らす弟は「衣替えしなくていいってこんなに楽なのかって思った」と言う。

衣替えよ、お前だったのか。私達の生活でけっこうな労力の割合をしめていたのは。

地方都市の住宅地にあったインド料理屋。テントの下の席は暑くないかと心配になるが
シーリングファンがある。もちろん屋内でもよく見かける。これがなかなか涼しい

どこに行ってもシーリングファン

マレーシアでとにかくよく見たのがシーリングファン。軒先にテントを出して屋外で食べさせる飲食店が多いのだが、天井にシーリングファンがついている。もちろん住居や屋内にも多い。

室内の空気をかきまぜて一定にしてくれるものと思っていたが、体全体が風に包まれるような感じで気持ちがいい。30℃くらいの屋外だとテントのシーリングファンでもそこそこ快適だった。

ここより暑いんだから日本もどんどんシーリングファンつけてほしい。と思っていたのだが、天井の高さが違うのだろう。日本についてるとバレーボール選手あたりが巻き込まれて死ぬかもしれない。

ご当地マックはマックナシレマである。正しくは「ナシレマッ」だそうだ。なにそれ…

英語がそこそこ通じる

マレー系が7割で中国系が2割。インド系が1割弱と多民族の国である。テレビでは英語のアニメが放送されていた。だからなのか流暢ではないにしろ英語を話せる人が多い。

11年ぶりの海外旅行に来てやっと思い出した。街に一人で出たときの不安さを。0.1の視力もない筆者がメガネをかけずに外に出たときの感覚に似た圧倒的な存在の弱さである。

私はバスの行き先も乗り方も分からない。街で一番弱い存在とも言える。そんな不安の沼に沈んでるときに、現地の人と英語が通じたときの喜び。通じた! 通じた! と飛び上がってしまいたいくらいの感動がある。

米と卵ときゅうりと小魚、どこにもハンバーガー要素はない

とはいえ、その「通じた!」とは、マクドナルドでマックナシレマッを頼んだときに「写真と違ってレッドソースがなかったんですけどあれは合ってたんですか」と尋ねて「あ、それね、サンバルっていうトッピング頼まないといけなかったのよ」と言われたときのことであった。

日本でそう言われた人が「通じた…! 通じた!」と感動してたらと考えると。外国に行くと本当にどうでもいいことで人は感動できるのだなと思う。

このナシレマッというのはココナッツミルクでお米を炊いたもので朝ごはんによく食べるそうだ。小魚のチップとチキンカツやサンバル(魚や唐辛子のソース)とともに食べる。洋食に魚味やスパイス味をぶっこんでいくので要素が過剰でうまい。一気にハマった。
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要素に次ぐ要素でごはんがおいしい

マレーシアは食べ物がおいしい。魚を発酵させたものがよく料理に入ってくるので、旨味が強いし醤油やかつお節がベースになってる日本人の口に合うのだと思う。

そこに肉もスパイスも甘いも辛いもどんどん入れる。しょっつるとココナッツミルクとチキンカツと青唐辛子を一緒に食べるような料理が多い。味がぶつかり合うのが好きなんだそうで、要素が過剰なのである。

なので、かは知らないが青いご飯がある。

ナシクラブという青いごはん。ご飯サラダという意味だそうだが、野菜中心にご飯を混ぜ合わせるらしい
花びらの着色料で青く染めるそうだ。卵、鶏の揚げたもの、ココナッツ系の煮物、魚醤系のタレとエビの発酵食品のタレ。要素が多い

青い食べ物は食欲がわかないので存在しないと聞いたことがあるのだが世界は広い。しっかりと存在した。ほんのりどころではなくブルーハワイくらい青い。

ご飯サラダという意味のナシクラブは野菜と混ぜてご飯を食べるものだそう。ここでは揚げ物にエビの匂いが強い発酵食品をかけココナッツ風味の煮物と混ぜて青いご飯を食べる。

エビがくさい、ココナッツ甘い、唐辛子鮮烈に辛い、などなど要素が多すぎてとっちらかって学級崩壊のような食べ物だから、青いのがどうとかもう気にならなくなってくる。

検索すると子どもの注意を引くために青くしたとか、お葬式の色から来ているという説もある。もうこの学級はすごいことになっている。

映画『アバター』くらい青いぞ

世界最大のミロ消費国

味は強くぶつかり合うのが良いのか唐辛子はしっかり辛いし甘いのはとことん甘い。マレーシアの砂糖の消費量は主要国で1位なんだそうだ。その分糖尿病の人も多くてメーカーには砂糖税というのがあるそう。

カヤジャムというジャムを塗ったカヤトーストというのも一般的だそうだ。キャラメルっぽいわりと見た目通りの味をしていてとにかく甘い。「甘い味」としか印象にないくらい。

そんなマレーシアの国民飲料といえばミロ。なぜミロ。世界ちょうどいいウソ選手権があったら優勝しただろう、思いもよらない発想だ。

でも実際麦茶くらいの感覚でミロを見かける。ミロが世界で一番売れているのがマレーシアだそうだ。チョコレート風味の麦芽ドリンクであるミロも改めて味わうとしっかりと甘い。

お店で出すときはコンデンスミルクを入れて出すという話もある。映画『まぬけの殻』に出てきた斉木しげるは角砂糖にはちみつをかけて食べていた。でもそれはギャグとしてである。

コンビニでミロを横一列これだけ並べるのすごい
飲食店ではドリンクを頼むのが普通(水道水が飲めないから)で、ミロはよくある

人気がありすぎてミロにミロをかける「マイロダイナソー」というメニューが存在する。追い鰹つゆ的に言うなら追いミロである。

そんな中、ミロにミロをかけた「マイロダイナソー」というメニューがある
追いミロがこんもりと

このマイロダイナソーを頼んでみた。追いミロの効果が伝わりづらかった。氷で薄まる分の補いであろうけど、すでにミロが溶け切ってるところに追加の粉はそんなには溶けないし、ストローに追いミロがまとわりつくのはあまり良い感触ではない。

うーん、と考えてみたのだが、これはもう縁起物なんじゃないか。「威勢がいい」「景気がいい」といった類のものなんじゃないか。いくらの上に金粉散らせておくみたいなことなんじゃないかといったん納得した。

だとするとミロを金扱いしていることになる。そんなにミロが好きなのか。と、腰を手に当てる体育教師のポーズになってしまう。

この記事は水木しげるのマンガに出てくる脇役のような人物が書いている。そして見よ、このストローにまとわりついた粉を。
同じく国民的人気の飲料はこちらのスポーツドリンクだそうだやたらに見る。そして旅を終えるとやたらに見ない。
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電車に乗ってもやしを食べに行く

ところで旅先では長い距離を電車で移動したい。「こういう景色が続く国なんだな」と感じたいのだ。調べてみたところイポーという比較的大きな地方都市が2時間くらいで行けるみたいだ。

イポーの名物はもやしだそう。そんな抜群にうまいもやしなんてあるのだろうか。もやし目当てに人は来るのか。実際に行ってみた(ので人は来るのだろう)。

マレーシアの特急電車に乗って移動するのだが
キス禁止の項目がある。イスラム教のせいか性的なコンテンツは全く見かけない

 

都会の電車は掴む棒が3つに分かれている。たしかに便利そう
車窓の風景から。もさもさが続く国だった
車窓から。家、モスク、もさもさ、が続く
イポーという都市にやってきた。錫を採掘して栄えたそうだ。
経済発展してるので基本的には車社会。バイクは少ないそうだ
名物はもやしだそう。中国系の飲食店。全体的に中国系の名物も多い
日本の中華とはちょっと違う現地の中華料理みたいなものが食べられる。肉類はハラルが求められることもあって鶏がほとんど。でもその鶏自体が日本のよりおいしいそう。
これがイポー名物のもやし炒め。何が違うと言えば太いのである

もやしが太いと人がやってくる

もやしが名物。なんて地味なところを名物にしてくるのだ。ミロを国民的ドリンクにしたりセンスが独特すぎるな……と思っていたのだが、他の国にもあった。大鰐温泉ももやしが名物なのである。むしろ英語のbean sproutで検索すると大鰐温泉のほうが先に出てくる。

あっちはたしか細長くしっかりした存在感のもやしだったかと思うが、イポーのもやしは太くて短かった。もちろんおいしいのだが、もやしはもやしであるし、実は味がしない別の理由があり……

しかしここでタクシーに携帯電話を忘れたので味どころではなくなった
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「iPhone/Androidを探す」の準備を

というのももやしを食べているときに携帯電話をタクシーに忘れてきたことを思い出し青ざめていたのだった。

今やスマートフォンがあるから海外旅行も便利に過ごせるが、その分なくなったときのパニック度合いが大きい。名物であっても何の味もしない。

大慌てした末によく考えるとタブレットも持っていたのでWi-Fiのつながる場所で「androidを探す」を見るとあった。

GrabというUberみたいなサービス。ふだんはパームやしのプランテーションの会社で働いてるんだという人が送ってくれた。

Androidはイポー市内をぐるぐる移動している。弟に連絡してもらって落ち合えた。お礼をしたら多いからと観光に連れてってくれた。

マレーシアは親切な人が多かった。多民族国家だからか経済的に発展中だからか宗教的なものからか、みんな旅人に優しかった。

娘がお父さんこの携帯電話誰の?って言うんだよ。 と言うドライバーさんはパームヤシのプランテーションの会社で普段働いていて、夏休みの今ちょこっとこのUberみたいなGrabという配車サービスでバイトしてるそうだ。

同じく娘がいる筆者もここに生まれたらこういう暮らしをしていたのかなと考えたり。海外旅行が「自分探し」と言われるのはそういうところがあるからか。インド料理の何が好き?とか他愛のない話をしてお別れをした。

意味のない会話が大切に思えるのは10代20代なら好きな人との間であろうが、40代くらいになると遠い国に行かないと思えないのかもしれない。

もっさもさもさ、とした国でした
ヤマザキの文字が。しかし太陽みたいなロゴじゃないしあのヤマザキなのか?

さあ日本に帰るかとなったところでクアラルンプールの東京駅みたいな場所にYamazakiの文字のパン屋が。これはもしかしたら一度取材に行ってランチパック開発してる人たちが楽しそうだったからそれ以来ファンになったあのヤマザキじゃないんですか。

ところで旅先で出会う日本のものに大興奮コーナーですが、ファミマがありまして
ファミマベーカリーがあることに「うおお」となったんですが、別に「うおお」となるようなものでもないものに感動してしまいますね
これは日本のパン屋で見るやつだ、やはり山崎製パンなのか
いや、どうなんだ。エッグタルトとかないよな、緑のものも山崎製パンのイメージないぞ
いや、これは日本語書いてるで「スーパーミルクブレッド」って書いてるぞ、でも山崎パンならロイヤルブレッドなんじゃないのか、どうなんだ
あった! 間違いない、ランチパックあった!
ランチパック、チョコレート味。信頼のランチパックの味であった。
ヤマザキが遠いマレーシアの地でブーランジェリー(フランスでは職人が粉から選ぶようなこだわりパン屋という意味だそう)化していたのであった……なんで言ってくれなかったんだよ

私達が旅に出る理由はだいたい100個くらいあると言われていますが……

コロナが流行って海外旅行がなくなったとき、それどころではありませんわ、あたくしそんな階層にいませんわ、と旅行代理店や航空会社に対して非常に冷たい態度をとってしまっていたことを謝りたい。どうもすみませんでした。

なぜ山崎パンがブーランジェリーを名乗ると私は写真を撮りまくって、冷やかしまくるのか。なぜミロにミロかけた瞬間にテンションがぶち上がってマイロダイナソー!と叫んで踊り狂ってしまうのか。色々なことを考えるきっかけが、彦麻呂の食う海鮮丼くらい輝き溢れてくる。

マレーシアのみなさん、日本から来た私にやさしくしていただいてありがとうございました。私もそうありたいと願い、近所の銭湯に来ていた外国人に話しかけてみました。そしたら「マッサージ機っていくらなの?」と聞かれたので「100円で3分じゃないかな」と答えました。あ、そう、と言ってた彼も実は感動して泣いてたのかもしれません。

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