回転式魚干し機にしか見えない
家を建てた時、前からずっと憧れだったシーリングファンをリビングの天井に付けた。
まるで南国のリゾートホテルにいるかのような優雅な見た目、そして夏も冬も部屋中の空気を快適に循環させてくれる優れた機能性、これまで買った家具の中でも一二を争う素晴らしい買い物をしたと思っている。
その気持ちは今でも変わらないが、日が経つにつれて別の感情が芽生えてきた。
回転式魚干し機として活用したい。
気づいてしまったその日から、魚を干さずにはいられなくなってしまった。
家にシーリングファンがある皆さま、この記事を見てまさか真似する人はいないと思いますが、やる時は自己責任でお願いしますね。
まずは掃除
シーリングファンで魚を干すとなると、まずはじめにやらなければならないことがある。掃除だ。
やらねばやらねばと思いつつも、年末の大掃除でさえスルーし続けていた超面倒な掃除スポットである。
ホコリがスーッと取れるモフモフのあれで掃除したら、見違えるほどきれいになった。
とても気持ちがよく、きれいになってからことあるごとに何度も天井を見上げている。こんなスッキリするならもっと早く掃除すればよかった。シーリングファンに限らず、いろんな場所を掃除をするたびに同じことを思っている気がする。
これで無事、回転式魚干し機の準備が整った。次は素材だ。
干物といえば、一番初めに思い浮かぶのがアジだ。
近所の魚がおいしいスーパーにアジの開きをあらかじめ注文しておいたので、取りに行く。
塩水に漬ける
アジをピックアップしてきた。
よりおいしいアジの干物に仕上げるため、今回はプロにさばいてもらった。このあとシーリングファンで干すことは伝えていない。
シーリングファンで回した際アジが吹っ飛ばないよう、電話注文時「できるだけ小ぶりのアジにしてください」とお願いしたが、20cmを超える立派なアジが用意されていた。
立派なアジが獲れるのは素晴らしいことだ。
我が家にはバットがないのでフライパンで代用したらいい感じにアジが収まった。まるでこれから焼くかのような写真に見えるが、塩水に漬かっている。紛らわしくて申し訳ない。
漬け終わったら表面の塩を洗い流し、キッチンペーパーで水分を拭き取り、塩水に漬ける工程は完了。
2機器体制で干物作り
さぁ、ここからが本番だ。
シーリングファンで魚を干すという前代未聞の挑戦になるため、念のため一般的にも使用されている魚干し網も用意し、同時進行でアジの干物を作る。
どちらも初めての作業でドキドキしているが、カラッと晴れたいい天気で風も程よく吹いており、おいしいアジの干物ができると確信している。
シーリングファンを使った回転式魚干し機の仕組みはいたってシンプルだ。
クリップをシーリングファンの羽に付ければ完成!
どこからどうみても回転式魚干し機だ。
魚干し網にもアジをセッティング。
準備が整ったところで、いよいよシーリングファンのスイッチをON。
おぅ!回った………
アジの重さに引っ張られ、普段の5分の1くらいのスピードでシーリングファンがゆっくり回り始めた。
「回ってる~!バッチリ回転式魚干し機じゃん楽しい~!」みたいなテンションになるかと想像していたが、初めて見る衝撃的な光景に戸惑いを隠せない。
音もなく静かに回るアジ、それを見て呆然と立ち尽くすわたし、臭うリビング。自分発信の企画なのに、いざ回し始めたら変な汗がめちゃくちゃ出た。
ちなみに風量の「強」「中」「弱」で、回すスピードも変えられる。
回されるアジの角度が少しずつ変えられておもしろいが、「強」「中」はアジが吹っ飛びそうで心臓に悪い。おとなしく「弱」で回した。
勢い余ってアジがはずれ、リビングの白い壁にビチョーン!なんてことになったら天然の魚拓ができてしまう。
そして回し始めてからわかったことがある。結構、水分が飛ぶ。
やってみないとわからないことが次々と起こった。何ごとも経験だ。
回し始めてから15分ほど見守っていたが、最後まで遂行できるか不安になり、アジを回したまま思わず外出した。