渋谷で働いて毎日駅前を通っていると、こういった活動をしている人を見てもわりと当たり前の風景になっていた。しかしやはり話を聞いてみるとおもしろい。僕はこういったことをできる度胸がないので、やっている人たちの勇気を尊敬する。
とある休日の渋谷駅前。ポケモンならコラッタ並に看板を持っている人が存在していると言っていい。べつの日はフリーハグだけで半径数十m以内に5組いたほどだ。
フリーハグという活動自体が流行ったのはだいぶ前だという印象があるが、渋谷の駅前では今でも毎日のように誰かしら行っている。
念のためにフリーハグを説明しておくと、「Free Hugs」と書かれた看板を持っている人たちとハグをするというものだ。ただそれだけだ。2001年ごろにアメリカで始まったものでネットを通じて爆発的に流行った活動らしい。
念のためにフリーハグを説明しておくと、「Free Hugs」と書かれた看板を持っている人たちとハグをするというものだ。ただそれだけだ。2001年ごろにアメリカで始まったものでネットを通じて爆発的に流行った活動らしい。
週末の渋谷の駅前ではフリーハグをやっている人がほぼ100%いる
フリーハグだけでなく資金集めをやってる若者がいたり…
結婚を待っている謎のおじさんがいたり…
一発芸をやり続けるヒットがいたりと色んな人がいる
渋谷の駅前で看板を持っている人はフリーハグにとどまらず、とにかく多種多様な活動をしているのだ。毎日なにかしらの看板を持っている人が渋谷にはいる。休日はハチ公前の半径わずか100m以内に5組以上のグループが看板を持っていることも珍しくない。
1. 趣味/暇つぶし系
2. 資金集め系
3. 企画系
4. 宣伝/自己アピール系
5. 社会奉仕系
2. 資金集め系
3. 企画系
4. 宣伝/自己アピール系
5. 社会奉仕系
渋谷にいる人たちは宣伝目的だったり、単純な趣味だったり、仕事として来ていたり…と一括りには出来ない。その人達を系統で大まかに分けてみると、上記のような5タイプにすることができる。(あくまで僕がみた人たちのみ)
それでは、それぞれの系統ごとにどんな人たちがいたのか紹介していきたいと思う。
それでは、それぞれの系統ごとにどんな人たちがいたのか紹介していきたいと思う。
1. 趣味/暇つぶし系
この系統はフリーハグの人たちが該当する。僕は看板を持って活動している人たちというのは、ほとんどの人たちが宣伝目的でやっているのかと思っていた。フリーハグと言ってもTwitterのフォロワーを増やすためだったり、Youtube用の動画撮影だったりの目的があると思っていたのだ。
しかしフリーハグをやっている人に話を聞いてみると、まったく目的がなく趣味としてやっている人が多いのだ。ただの遊びで渋谷という大勢の知らない人がいる場所で活動しているのだだ。すごい度胸だ。
しかしフリーハグをやっている人に話を聞いてみると、まったく目的がなく趣味としてやっている人が多いのだ。ただの遊びで渋谷という大勢の知らない人がいる場所で活動しているのだだ。すごい度胸だ。
ピーター(左)とジョシュア(右)の二人組。ピーターは映画監督をやっていて、日本のホラー映画が好きとのことだ
■職業
日本語学校の生徒
ピーターは映画監督
■年齢
ピーター:26歳
ジョシュア:22歳
日本語学校の生徒
ピーターは映画監督
■年齢
ピーター:26歳
ジョシュア:22歳
初めに話しを聞いたのはインドネシア人で日本語学校に通う二人組だ。二人はフリーハグが初めてらしく「なんでフリーハグをやってみようと思ったんですか?」と聞いてみると、「日本は今日寒いからネ!」と満面の笑顔で言っていた。おお、これがインドネシアジョークか。
ついでにハグさせてもらった。誰も見てないのはわかっているけど気恥ずかしい。あとピーターがあったかい。
日本語学校のクラスメイトの二人は好奇心からフリーハグをやってみようという話になったらしい。始めてから1時間程度で30人くらいはハグしたとの話だ。渋谷はそんなにハグに飢えているのか…!
歩いている人が看板を見て「あれが本物のフリーハグか!」と言っているのもおもしろかった。一種の観光名所のようだ。
歩いている人が看板を見て「あれが本物のフリーハグか!」と言っているのもおもしろかった。一種の観光名所のようだ。
女の子でフリーハグをやっている人たちももちろんいる
■職業
高校生
■年齢
16歳
高校生
■年齢
16歳
別の日にハチ公近くで看板を持っていた二人組の女の子にも話を聞いてみると、なんと彼女たちはまだ16歳の女子高生だと言う。彼女たちも目的がなく「一回やってみたらおもしろくて何回やっています」と笑って言っていた。一日で100回以上もハグした日もあるとのこと。
女子高生らしい手作り感が良い
学校の友達にもフリーハグをやっていることを話しているらしく周りの友達には「危ないからやめなよ」と止められたこともあるらしい。
一瞬僕の頭に「この先の人生で女子高生に抱きつける瞬間があるだろうか?」とよぎったが、自分の中の何かを失うような気がしたので欲望を収めることにした。
一瞬僕の頭に「この先の人生で女子高生に抱きつける瞬間があるだろうか?」とよぎったが、自分の中の何かを失うような気がしたので欲望を収めることにした。
2. 資金集め系
「世界一周のための資金集め」をするリュージさんとユウトさん
■職業
旅人(?)
■年齢
18歳
旅人(?)
■年齢
18歳
フリーハグとは打って変わって目的が明確である二人組。どちらも高校を卒業したばかりらしい。
しかし、よく考えてみてほしい。渋谷という大都会でいくら人が来るといっても、そんなに簡単に資金が集まるだろうか?人はそんなにお金を恵んでくれるものだろうか?
……と思って話を聞いてみたら、もうすでに40万以上が集まっているとのことだった。予想外に金額が大きくて腰が抜けるかと思った。
しかし、よく考えてみてほしい。渋谷という大都会でいくら人が来るといっても、そんなに簡単に資金が集まるだろうか?人はそんなにお金を恵んでくれるものだろうか?
……と思って話を聞いてみたら、もうすでに40万以上が集まっているとのことだった。予想外に金額が大きくて腰が抜けるかと思った。
この日もそこそこの金額が入っていた
ユウトさんはアメリカ横断をした経験があり、リュージさんは0円での日本一周をしたことがあるとのこと。最近の高校生はアクティブだ。僕はママチャリで日本一周したことがあるのだが、理由が家出だったので彼らのように夢に溢れて旅をする目的があるのはうらやましい。
もともと友達だったというわけではなく、それぞれ香川出身と福岡出身でそれぞれ出身地もバラバラである。
旅の経験者同士ということもあり、最初はTwitterを通じて知り合いになり、10人ほどで一緒にヒッチハイクを行なったのち、電話にて世界一周をしようと一緒に決断したらしい。コンビニ行く感覚で世界に行くのか、決断力の鬼と呼びたい。
「渋谷で看板持ってやっていると友達ができますし、Youtuberの企画に参加したこともあります。やっていて宣伝にもなるし楽しいですね!」
と言っていた。クラウドファンディングなどネットで資金集めの方法はいくらでもあるが、最終的にはやっぱり実際に会うのが一番早いのかもしれない。と言っても相当な勇気と行動力がないと出来ない方法だ。素直にその真っ直ぐな姿勢を尊敬した。
「渋谷で看板持ってやっていると友達ができますし、Youtuberの企画に参加したこともあります。やっていて宣伝にもなるし楽しいですね!」
と言っていた。クラウドファンディングなどネットで資金集めの方法はいくらでもあるが、最終的にはやっぱり実際に会うのが一番早いのかもしれない。と言っても相当な勇気と行動力がないと出来ない方法だ。素直にその真っ直ぐな姿勢を尊敬した。
3. 企画系
最近Youtuberデビューをした3人組
■職業
Youtuber
■年齢
22歳
Youtuber
■年齢
22歳
渋谷にはカメラを構えて歩いている人がほぼ毎日必ずいて、Youtuber自体の人口もどんどん増えているんだなと実感することが多い。この日も「ビンタして」という看板を持っていたYoutuberがいたので話を聞いてみることにした。今年の3月から活動を始めたスタパレ☆TVというグループの3人組だ。
ついでにビンタもさせてもらった。Youtuberは売れるためにビンタされ続けなければいけない。大変だ。
今年の4月1日にエイプリルフール企画でデイリーポータルZでも動画を作る機会があったのだが、やってみると編集が予想以上に時間がかかった。それを考えると毎日撮影して、毎日編集するのは本当に労力がいるのが身にしみてわかった。それにネタも自分で考えなきゃいけないし、Youtuber続けるのって普通に働くのと同じように大変だ。
4. 宣伝系
ジュノンボーイを目指している人もいた
■職業
会社員
■年齢
21歳
会社員
■年齢
21歳
注目を浴びるようなおもしろ系だけでなく、アイドルやイケメンも看板を持って活動している。山下さんはジュノンボーイを目指していて、その活動のために渋谷でこうやって活動をするようになったらしい。今年の1月から始めてもうすでに28回もやっているとのことだ。今から20回以上も毎週のように渋谷に立つと考えるだけで心が折れそうになる…
今の時代はネットでワーっとやるのも大事だが、こうやって地道な布教活動も大切なのかもしれない
大学生ではなく社会人をやりながらやっているとのことで、土日に渋谷にきて活動することが多いそうだ。
「こうやって活動していると、なにか宣伝になることもあるので続けていますね」
イケメンだろうがなんだろうが、やっぱり今の時代は弱肉強食だ。行動しないと勝利を掴むことはできない。
「こうやって活動していると、なにか宣伝になることもあるので続けていますね」
イケメンだろうがなんだろうが、やっぱり今の時代は弱肉強食だ。行動しないと勝利を掴むことはできない。
5. 社会奉仕系
センター街前にはボランティア活動をしている人たちもいた
今まで話を聞いてきたのはどちらかと言えば「自分のために活動をしている人」たちだが、それとはべつにボランティア活動を渋谷でしている人たちもいる。Japan Local Buddyという団体は、街頭に立って看板を持ち観光に来た外国人の案内を行なっていた。
次から次へと外国人の方が道を聞きに来ていた
もともとこのボランティア自体は一個人から始まったものだが、今は京都や大阪でも活動しているらしく、学生から社会人まで様々な人が参加しているとのことだ。
活動自体は4年以上前からやっていて、『Japan Local Buddy』という団体としての名前がついたのは一昨年の12月ごろとのことで「渋谷でこうやって看板を持っているのもかなり古い方だと思います」と教えてくれた。
活動自体は4年以上前からやっていて、『Japan Local Buddy』という団体としての名前がついたのは一昨年の12月ごろとのことで「渋谷でこうやって看板を持っているのもかなり古い方だと思います」と教えてくれた。
その他にも色んな人たちがいた
結婚を募集していたおじさん。「写真を撮るのは自由で良いけどインタビューとかは答えられません。だけど記事は自由に好きに書いて良いですよ」と笑顔で言ってくれた。フリー素材おじさんだ。謎すぎる。
初めてフリーハグに挑戦していたフリーターの二人組。単純な好奇心からやってみようと思ったらしいが「また次もやると思います」と言っていた。フリーハグにはやった人にしかわからない魅力があるのかもしれない。
外国人が団体でフリーハグも行っていた。
たまたま看板を持っている人を探したときに、ラストクエスチョンというアイドルグループをやっている僕の高校の後輩も活動していた。この日は他のアイドルも2組ほど渋谷にいたらしい。渋谷のアイドルいる率高いな。
大阪から上京して、コンビ名を募集している芸人もいた。
一発ギャグをプレゼントしていたYoutuberもいた。しかも一発ギャグがかなりの数があるようでひたすら色んな人にやっていったし、おもしろかった。
こちらの方も社会人をやりながら、時々こうやってフリーハグをやっているらしく「やっていくうちに知り合いができておもしろいんですよ。毎回ハグしに来てくれる顔見知りもできました」と言っていた。家にいるより数百倍良い時間の使い方だと思った。
『SHACA SHACA』というお店を検索するアプリの宣伝をしている人もいた。自分で作ったアプリを自分で周りに宣伝していた。コミュ力高くてガンガン色んな人に話しかけていた。
この他にも大学の新歓の看板や、テレビのインタビュー対象探し、web記事の出演者の募集…などなど様々な人が渋谷で活動していた。渋谷の駅までそれらを見ているだけでも1時間くらい余裕で潰せるだろう。
話を聞いてみてわかったこと
・フリーハグは何回もやりたくなる魅力があるらしい。
・やっている人の年齢はだいたい20~25前後が多い。
・ハチ公前の半径100m内で活動している人がとにかく多い。週末はほぼ100%の確立で2組以上は何かやっている。
・人が多すぎるので逆に恥ずかしさなどはそんなにないようだった。たしかに周りから見ても「あーやってるなー」くらいにしか思わない。
・必ずしもコミュ力が高い人がやっているわけじゃない。
・写真をお願いしても断られないし、ある程度話しは聞かせてもらえる。取材としてこれほど楽なことはない。
・共通して「友達や知り合いも出来るから楽しい」という意見はみんな言っていた。
・無茶苦茶する人はいなくて、ある程度のマナーを持っている常識人が多い
・フリーハグは何回もやりたくなる魅力があるらしい。
・やっている人の年齢はだいたい20~25前後が多い。
・ハチ公前の半径100m内で活動している人がとにかく多い。週末はほぼ100%の確立で2組以上は何かやっている。
・人が多すぎるので逆に恥ずかしさなどはそんなにないようだった。たしかに周りから見ても「あーやってるなー」くらいにしか思わない。
・必ずしもコミュ力が高い人がやっているわけじゃない。
・写真をお願いしても断られないし、ある程度話しは聞かせてもらえる。取材としてこれほど楽なことはない。
・共通して「友達や知り合いも出来るから楽しい」という意見はみんな言っていた。
・無茶苦茶する人はいなくて、ある程度のマナーを持っている常識人が多い
そういえば数年前に「なんでも屋」の看板を持った男を家に泊めたことを、この記事を書いていて思い出した。良い人だったのだが、泊めた日の深夜にその男が寝ぼけながらポテトチップスを食べていたのは本当に恐怖だった。