地域代表の選出
本来であれば47都道府県のカレーを揃えたいところだが、諸事情(主に財布の都合)により断念した。今回改めて気づいたことだがこれらのご当地カレー、安いものでも4~500円、ちょっとお高いものになるとあっさり1000円を超えてくる。普通のレトルトカレーがスーパーで88円にて売られているのとはわけが違う。レトルト界のハイソサエティ。とても47個は買えない。あと、買ったところで47個分が入りそうな鍋もない。
ともあれそういう事情なので、今回は北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州・沖縄の9つの地域につき1つのレトルトを選んでブレンドするものとする。地域代表選抜だ。
北海道代表といえばカニ
美味しい物満載でおなじみの北の大地だけあって、レトルトの種類も一番豊富だった北海道。 そんな中でも、やはり北海道といえばこれかな、という無難そうなものを選んだ。
タラバ蟹カレー 600円
開けてみると赤いものが入っている。多分、これが蟹。
東北代表はフルーツ
東北も名産がたくさんある上に範囲が広いので悩む。散々悩んだ末に選んだのがこれだ。
山形名産ら・ふらんすカレー 840円
蟹より高級というのがやや衝撃的ではあるが、シックなパッケージに惹かれた。レトルトのジャケ買いだ。
カレーにすりおろしたリンゴを入れるというのは一般的な話だろう。今回はラフランスにその任を託そうという魂胆でもある。
しかしいざ探してもみつからない。どこだラフランス。
これか……?
関東代表はいわゆる「萌え系」
関東は北海道・東北とは違う意味で悩ましかった。これといった名産品カレーが見つからないのだ。銀座カレー、とか、横浜カレー、とか。地名のブランド力は申し分ないが具に分かりやすさがない。もう少しエッジが効いていてほしい。
そんな中で見つけたのがこれである。
水戸納豆カレー 560円
ふざけて選んだだろうと思われそうだが、いたって真面目に選出した結果だ。これが一番わかりやすいと思ったのだ。エッジを求めた結果がこれだ。私だって「東京ばな奈カレー」でもあればそっちを選んでいたが、なかったのだから仕方がない。関東代表はこれです。
中には大粒の納豆が入っている。納豆というか、ほぼ大豆だ。
中部代表選出、やや贔屓目
中部地方といってもこれまた広い。新潟も愛知も中部だ。名産品も山とあろう。そこで、手っ取り早くなじみの土地のものを選ぶこととした。
金沢カレー シーフード 660円
あえての北陸。筆者の出身地である。能登かき使用という文言にも心惹かれる。銀座カレーや横浜カレーは避けたくせに、金沢カレーはあっさり採用。「ひいき!」と言われても構わない。ここぞとばかりに郷土愛を押し出していきたい。
とはいえ、これは具が分かりやすい。能登のかき!
ホタテ!!
そういえば北海道の蟹もいるんだった。シーフードカレーの様相を呈してきたが、いくら日本が島国だからといってそういう意図は特にない。この辺の具の偏りは後半で調整していこう。
近畿代表はまたしてもフルーツ
和歌山名産 富有柿カレー 750円
近畿の名産には近江牛とか神戸牛とか魅力的なものが色々あったのだが、なぜか気づいたら柿をセレクトしていた。パッケージの関西弁に引っ張られたのかもしれない。どうもフルーツ系をジャケ買いする傾向にある。レトルトカレーで見えてくる、思わぬ自分の行動パターン。
しかしラフランスと違って、具が大きい!
一瞬「人参か?」とも思ったが、原材料欄にその名はない。ということはこれが柿だろう。そういえばルーの色も心なしかオレンジっぽい気がする。ラフランスと力を合わせて、カレーに深みを出してくれるよう期待している。
中国地方代表、あの高級魚
山口名産 ふぐカレー 660円
岡山の桃カレーなどにも手を伸ばしかけたが、どんだけフルーツづくしにするつもりだ!という心の声に引き止められた結果の、ふぐである。よし冷静な判断ができたぞ、と思ったがよく考えたらまたシーフードに戻っただけだ。全然冷静になれていない。
ふぐカレー、しゃばしゃばしている
ふぐですか……?
全体的に具が小さく、何が何やら分からない。ただ、魚の干物みたいな香りはしているのでどこかにいることはいるのだろう。これかな?と摘み上げてみたがラフランス以上に自信がない。こうなると、全部混ぜ合わせた中から探し出すのはほぼ無理だろう。貴重なふぐ、今のうちに目に焼き付けておこう。(焼き付けたところでふぐではない可能性もあるが)
四国代表でやっと肉
ここまでの日本カレー、圧倒的に肉が足りていないということに(やっと)気がついた。ここらで肉分を補給しておきたいところである。
そうなってくると悠長に愛媛みかんカレーなど眺めている場合ではない。四国で肉といえば、多分これだろう。
徳島名産 阿波尾鶏カレー 1120円 (2食入り)
恐らくこれが阿波尾鶏
ようやく肉が加わってほっと一息ついたところで、そろそろゴールが近い。お次は九州。
九州代表もやっぱり肉
宮崎名産 黒豚カレー 500円
調子づいてまた肉である。宮崎は地鶏も有名だが、四国と被ってしまうのであえて豚にした。ここに来て急激に肉比率が高まる、マイ日本カレー。
サイコロ状にカットされていて、分かりやすい!
これなら全体の中でも見失わない気がする。宮崎黒豚、自己主張のしっかりしたやつだ。
最後、沖縄といえばこれだろう
ゴーヤカレー 420円
ファンシーなキャラクターがアピールしてくる、緑鮮やかなゴーヤ。チャンプルーだけが活躍の場ではないのだ。
このくらいの大きさがゴロゴロと入っている
これも分かりやすい。サイズといい形状といい、埋もれてしまうことはまず無いだろう。
というわけで北から南まで、9種類の選抜カレーが出揃った。
これが日本の縮図か…
とりあえず全部混ぜよう
さっと火で温めて、いよいよ日本カレーの出来上がりである。
完成、日本カレー
完成!といっても混ぜただけなのでお手軽な日本カレー。細かく見ていこう。
やたら具だくさん
香りは納豆がやや前にでているような気がする。生半可なことでは消えない納豆の個性。入れた甲斐があったというものだ。
この一皿に日本が凝縮されていると思うと感慨深い
この辺りは具が大きくて分かりやすいな
日本カレー、これだけ具だくさんだと一口ごとに違う味覚が来るので少し楽しい。
この辺りは具が大きくて分かりやすいな沖縄(ゴーヤ)と近畿(富有柿)を一口でどうぞ
見覚えのあるサイコロ。九州の黒豚だ。
あまり辛くないのはフルーツの効果だろうか。具だくさんの割りには大人しめというか、奥ゆかしい感じのカレーに仕上がった。この辺りも日本っぽいと思う、と無理やりこじつけて、試みの締めくくりとしたい。
告白せねばなるまい
気づいた方もおられるだろう。記事本文中では日本カレーの味自体についてほとんど触れていない。結局のところどうなのよ、と言いたい人もいるだろう。とても隠してはおけないと思うので正直に告白しよう。
エンターテイメント性はある。しかし、味は思ったより美味しくなかったのだ。
今こうして写真を見返すと実に美味しそうに見えるのだが、実際はというと微妙なところ。浮かれ調子で各地のカレーを紹介してきてこんな締めではあんまりだと思うが、かといって嘘はつけない。決して不味くはないのだが、多分、それぞれ単体の方が美味い。張り切って作っておきながらなんという尻すぼみな結論だろうか。
そしてまだ大鍋に沢山残っている日本カレー。どう消費しようかというのが目下の悩みです。