特集 2012年8月7日

もち米とココナツミルクで果物がおはぎになる

果物にご飯を載せるという発想
果物にご飯を載せるという発想
タイの有名なデザートに「カオニャオマムアン」というものがある。
カオニャオマムアン。どうにも力を入れづらい響き。子猫が人間語を話せるようになったら最初に喋っても無理がない言葉ランキングで上位に入りそうな、カオニャオマムアン。

しかしてその実態は、煮たもち米とココナツミルクをマンゴーに添えて食べるデザートである。 これが美味い。とても美味い。初めて食べた時には「こんな素晴らしい組合せが!」と感激した。

これはマンゴー以外の果物でもぜひ実施してみる価値があるな、とも。
石川県出身。以前は普通の会社員。現在は透明樹脂を用いたアクセサリーを作る人。好きな色は青。好きな石はサファイア。好きな犬はウェルシュ・コーギー。

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カオニャオマムアン、日本でいうならおはぎ

南国フルーツで有名なタイ。現地のスーパーではマンゴーが山のように売られているし、カオニャオマムアンも普通に惣菜コーナー(向こうでもそう呼ぶのかは知らないが)に並べられている。
押し寄せるマンゴー
押し寄せるマンゴー
そしてこれが、スーパーで売られていたカオニャオマムアン
そしてこれが、スーパーで売られていたカオニャオマムアン
マンゴーの下にはご飯。もち米をココナツミルクで甘く煮込んだものである。マンゴーにココナツというだけなら単なるトロピカルコンビだが、ここにもち米が参入となると少し事情が異なる。主食が来やがった。一見すると違和感しかないのだが。

しかし、美味しい。びっくりするくらい美味しいので、びっくりしたまま「もう一口!もう一口!」と食べているうちにあっという間になくなった。

タイ現地の人曰く、日本人にこれを食べさせると「おはぎに似ている」と評される事が多いのだそうだ。なるほどココナツとマンゴーの甘み、もち米のモチモチ感、合わせると和菓子の空気が漂ってくる。カオニャオマムアンとおはぎ。その類似性は否定しがたい。

自宅で再現、カオニャオマムアン

作り方として難しいものではなさそうなので、再現して作ってみることにした。
まずはココナツミルクを買ってきて
まずはココナツミルクを買ってきて
蒸したもち米と砂糖を加えて煮込む
蒸したもち米と砂糖を加えて煮込む
この時点で部屋の中が甘い香りに満たされてなんとなく良い気分になる。今の我が家、南国っぽい!などとこの時は考えていたが、私は南国をなんだと思っているのか。

ともあれ、おかゆ状になったところで完成。あとはこれをフルーツに添えればよいのだ。お手軽だ。
やっぱり最初はマンゴーで試したい
やっぱり最初はマンゴーで試したい
おお、カオニャオマムアンだ
おお、カオニャオマムアンだ
ちょうど近所のスーパーでタイ産マンゴーが売っていたので嬉々として買ってきた。一個580円。高級…!と一瞬躊躇したが、その隣で宮崎産マンゴー1980円/個が燦然と輝いていたのを見て考えが一変した。へへ、あっしにはタイ産で十分でやすよ、と頭の中のうっかり八兵衛的な人物が呟く。お調子者め。

さてマンゴーを切って、先ほど作ったココナツミルクもち米を添える。見覚えのあるビジュアル。数年前にタイで出会ったカオニャオマムアンが懐かしく思い起こされる。
うん、何回食べてもおはぎっぽいな
うん、何回食べてもおはぎっぽいな
580円のマンゴーもとても甘くて美味しい。実はあまり甘くなかったらどうしようかとドキドキしていたのだ。勢い余って宮崎産を手に取らなくて本当に良かった。喜びのあまり、もち米いらないじゃん、マンゴーだけで十分じゃん、と思うくらいに美味しかった。いやいや、なんてことを言うのだ。「マンゴーが美味しいです」では記事にならない。空気を読め。

ちなみにこの時点でもち米はまだ熱々だったのだが、冷やしたほうがさっぱりしていて良さそうだ。次以降への反省材料としよう。
■カオニャオマムアン(マンゴー)
おはぎっぽさ : ★★★★☆
あじわい : ★★★★☆

バナナ、桃…。他の果物ではどうか。

基本的にもち米を添えるだけなので、他の果物への応用も簡単である。色々試してみたい。
まずバナナ
まずバナナ
マンゴーより断然気軽に入手でき、甘くて食感も柔らかで、と好条件が揃っているバナナ。マンゴー+もち米に慣れた舌ならば、これもさほど違和感なく食べられそうな気がする。
同じように、もち米と一緒に食べる
同じように、もち米と一緒に食べる
バナナの上にご飯、という見慣れない光景
バナナの上にご飯、という見慣れない光景
カオニャオマムアン、バナナVer.である。
実はカオニャオ=もち米、マムアン=マンゴー、の意なのでこの時点で言葉として崩壊しているが、あまり気にしないこととしたい。

さてバナナ、予想通りまるで違和感がない。もち米とバナナ、食感が似ているのだ。マンゴー以上に馴染んでいる。

わざわざパッケージに「甘さの追求から生まれた」と書かれたバナナを厳選して買ってきた甲斐あって、その甘みとココナツ+もち米との相性は抜群。ただ、マンゴーに比べて水分が足りない。よりもったりとした食感となったが、見方によってはおはぎっぽさがアップしたとも言える。バナナ味のおはぎがあったらこんな感じだろうなと思うが、いやちょっと待って、バナナ味のおはぎってなんだ。
■カオニャオマムアン(バナナ)
おはぎっぽさ : ★★★★★
あじわい : ★★★☆☆
続いて、今が旬の桃
続いて、今が旬の桃
バナナ以上に、これは絶対に合うだろうと確信していたのが桃である。瑞々しさ、甘さ、食感、どれをとっても期待が高い。

実はこの記事の試みはもう一年も前にアイディアだけ出ていたのだが、実行にぐずぐずしているうちに桃の時期が終わってしまったのだ。季節の移り変わりと自分のどんくささを呪った。

絶対に桃は欠かせないと思っていたので、再び夏が来るのを待った。桃のないカオニャオマムアンなんてカオニャオマムアンじゃない。そう信じて待った。しつこいようだがマムアン=マンゴーの意である。しかし最早マンゴーよりも桃が重要だとすら思っていた。そして桃が出まわり始めた今、満を持してのカオニャオマムアン桃チャレンジなのである。
ああもうこれは、本当に期待通り
ああもうこれは、本当に期待通り
これはいい。すごくいい。マンゴーより合うような気がする。私のような桃信奉者の言うことはあてにならないどうせ8割増しで話を盛ってるだろうと思われるかもしれないが、いやいやこれ美味しいですよ。

まず香りが良い。そしてバナナに欠けていた瑞々しさ。桃の存在感がココナツミルクもち米に全く負けておらず、口の中が桃とココナツともちもち感で満たされて幸せだ。

というかむしろもう桃だけでも良い、と思った。桃信奉者、二度目の企画無視発言である。「桃が美味しいです」で記事は書けないと何度言ったら分かるのだ。
■カオニャオマムアン(桃)
おはぎっぽさ : ★★★★☆
あじわい : ★★★★★

他の果物、桃を超えられず

他にも色々買ってきているので、順に試していこう。
キウイ。食感がマンゴーに近そうだったので購入
キウイ。食感がマンゴーに近そうだったので購入
しかし酸っぱさが気になる結果に
しかし酸っぱさが気になる結果に
確かに食感は良いのだが、どうにも酸味が邪魔をしている。最初の一口は良いが、味わえば味わうほど眉間にシワが寄っていく。絶対にダメだNGだという組合せではないのだが、両者、どこか相容れないまま他人行儀といおうか。

どうやら果物側の「甘さ」が重要であるらしい。それはそうか、カオニャオマムアン=おはぎであるとするなら、酸っぱさはダメだろう。酸っぱいおはぎ。それはもうかなり残念なことになっているおはぎであろう。
■カオニャオマムアン(キウイ)
おはぎっぽさ : ★★☆☆☆
あじわい : ★★☆☆☆
それならリンゴ。甘さは十分だろう。
それならリンゴ。甘さは十分だろう。
これまでの果物との最も大きな差異は、柔らかくないということか
これまでの果物との最も大きな差異は、柔らかくないということか
味は悪くない。最初にりんごの甘さが来て、後にココナツの香りが残る。

肝心の硬さだが、りんごのシャリシャリ感が新しく、これはこれで面白い食べ物になっている。おはぎか、といわれると怪しいのだが、クラッカーにジャムを乗せた時のような食感の違いが楽しめる。シャリシャリ+もちもち。
■カオニャオマムアン(リンゴ)
おはぎっぽさ : ★☆☆☆☆
あじわい : ★★★★☆
話はそれるが、この辺で甘いもの続きに少し飽きてきた。ココナツともち米のもったり感と、フルーツの甘みが波状攻撃で重くのしかかる。美味しいのだがやや食傷気味だ。
気分を変えようと黒コショウ煎餅を食べたところ、そのスパイシーさが状況打破にぴったりであった。おしるこには塩昆布、カオニャオマムアンには黒コショウ煎餅。心のメモに刻み込んでおきたい。
さて気分一新したところで次はグレープフルーツ
さて気分一新したところで次はグレープフルーツ
目にも鮮やか、ピンクグレープフルーツ
目にも鮮やか、ピンクグレープフルーツ
見た目には白にピンクで美しいのだが、食べる前から薄々嫌な予感はしていた。

酸っぱさとはどうも相性が悪いと、キウイで思い知っている。そして案の定、グレープフルーツは酸味と苦味が強すぎた。そう考えると柑橘系は全体的にこの食べ方には向かないのかもしれない。絶対におはぎにはならない。

ちなみに食後も口の中にグレープフルーツ特有の苦味が残ってしまうのだが、そんな時にも黒コショウ煎餅を食べると一瞬で解決した。万能か、黒コショウ。
■カオニャオマムアン(グレープフルーツ)
おはぎっぽさ : ★☆☆☆☆
あじわい : ★☆☆☆☆

いっそ果物以外ではどうか

ここまで食べ比べてみて、甘さと柔らかさが重要ポイントであるということが見えてきた。 ならいっそのこと果物でなくてもよいのではないか。
これでどうだ
これでどうだ
ご飯onプリン。どうにも見慣れないのは相変わらずだが。
ご飯onプリン。どうにも見慣れないのは相変わらずだが。
甘くて柔らかい、といえばプリン。条件は満たしている。

しかしこれが正解かというとそうでもなかった。甘すぎるのだ。過ぎたるは猶及ばざるが如し、まさかプリンに実感させられることになるとは思わなかった。

そういえばココナツミルクもち米にも砂糖を加えてあるんだった。プリン一個にどのくらい砂糖が使われているのか知らないが、まあこれは糖分過多だろう。

味や食感自体は悪くないのだが、あまりの甘さで一個食べきるのが少し辛い。でも大丈夫、困ったときの黒コショウ煎餅である。(3度目の登場)
■カオニャオマムアン(プリン)
おはぎっぽさ : ★★★☆☆
あじわい : ★★☆☆☆
最後に抹茶アイスに挑戦
最後に抹茶アイスに挑戦
油断するとどんどん溶けていくので注意
油断するとどんどん溶けていくので注意
より和菓子っぽくなるのではないかとの期待を込めた。

まずこの冷たさが良い。ひんやりしていていかにも夏のデザートという趣。予想通り和菓子のような、それでいてココナツが香る洋菓子のような、新しい食べ物が出来上がった。今度からパフェの底にはコーンフレークの代わりにもち米を詰めたって良いと思う。

しかしこれも、やはり少々甘すぎる。最後の2つは砂糖なしのココナツミルクもち米で食べても買ったかもしれない。
■カオニャオマムアン(抹茶アイス)
おはぎっぽさ : ★★★☆☆
あじわい : ★★★☆☆

一年待った甲斐があったというものです

というわけでカオニャオマムアン、マンゴーはもちろんのこととして、それ以外の果物で一番のオススメは桃です。桃が最高です。桃の旬まで待っていてよかった。

あとは黒コショウ煎餅さえ常備しておけば、カオニャオマムアン対策としては万全であるといえよう。
影の主役
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