特集 2012年1月12日

単線っていいよね

これは江ノ電
これは江ノ電
どこまでも続く、2本のまっすぐなレール。
単線の電車に乗ると、わくわくしないだろうか。私はわくわくする。とても。
あまり鉄道に詳しくはないのだけど、私なりの単線への愛を今日は聞いてほしい。
1984年うまれ、石川県金沢市出身。邪道と言われることの多い人生です。東京とエスカレーターと高架橋脚を愛しています。

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単線わくわくポイントその1:ジェットコースターみたい

単線にわくわくする、1つ目にして最大の理由は、「ジェットコースター気分が味わえる」ことだ。
単線電車というと、ローカル線や路面電車に多いので(これは特急うずしお)
単線電車というと、ローカル線や路面電車に多いので(これは特急うずしお)
一般には「田舎」や「故郷」とセットで語られるような情緒的なイメージかもしれないが(これは琴電)
一般には「田舎」や「故郷」とセットで語られるような情緒的なイメージかもしれないが(これは琴電)
地元が車社会で電車そのものに親しみがなかった私にとって、単線電車はインディ・ジョーンズにおけるトロッコとか、遊園地のジェットコースターとかと同じ種類に分類されている。都会にでてきて毎日電車に乗るようになってもそれはたいてい複線だったので、単線電車は未だ特別。先頭に乗ってはしゃぎたい非日常の乗り物だ。
その最たる例が、単線の懸垂式モノレール、湘南モノレール江の島線。
その最たる例が、単線の懸垂式モノレール、湘南モノレール江の島線。
ご覧あれ。この疾走っぷり。
動画では住宅街のはるか上空を走るが、こんな鬱蒼とした場所を低空飛行(飛行ではないが)で突き抜けたりもする。もう最高。
動画では住宅街のはるか上空を走るが、こんな鬱蒼とした場所を低空飛行(飛行ではないが)で突き抜けたりもする。もう最高。
私は全てのモノレールに乗るたびにいつも「まるでジェットコースター気分!」と思い、全ての単線電車に乗るときにもいつも「もはやジェットコースター気分!」と思っているわけだが、このふたつが合わさるとなるともうジェットコースターでない要素を探すほうが難しい。

単線わくわくポイントその2:シンプルで無駄がない

単線わくわくポイント2つ目は、「この世で最も美しい橋脚」が拝めるということだ。そこもやはり、単線でなおかつレールが1本である単線モノレールの真骨頂である。
湘南モノレールの橋脚もとても素敵だけど
湘南モノレールの橋脚もとても素敵だけど
懸垂式のなかで素晴らしいのは上野動物園モノレールのこれだ。インテリアで言うと確実に無印良品で売ってるタイプの無駄のないっぷり。
懸垂式のなかで素晴らしいのは上野動物園モノレールのこれだ。インテリアで言うと確実に無印良品で売ってるタイプの無駄のないっぷり。
そんでもって跨座式で素晴らしいのは、以前も紹介した姫路モノレール。
そんでもって跨座式で素晴らしいのは、以前も紹介した姫路モノレール。
すばらしい。まさに橋脚オブ橋脚というべき、もっとも基本のこの形。私がこの世で最も愛する橋脚だ。

単線わくわくポイントその3:美しいダイヤ構成

なんだか単線ラブのはずが結局モノレールラブの話になっているが、鉄道ファンの皆さんにもきっと頷いてもらえるであろうポイントがこの3つ目。
単線電車の場合、走らせる電車が二つ以上になれば、当然どこかの駅か信号場で列車交換(すれ違い)をさせなければならない。この列車交換をすべて、駅での乗降時間内にやってのける湘南モノレールのダイヤのクールネスはすさまじい(あ、結局モノレールの話に…)。

このダイヤにより、乗客たちは列車のすれ違いの間待たされることもないし、そして大切なのは駅以外で無駄に複線になる部分が湘南モノレールには一切ないということなのだ。
超~クール!
超~クール!
無駄にすぐにこんなにしっちゃかめっちゃかになっちゃう千葉モノレールにきかせてやりたい(いや、これはこれで好きだが)
無駄にすぐにこんなにしっちゃかめっちゃかになっちゃう千葉モノレールにきかせてやりたい(いや、これはこれで好きだが)

単線最強の電車、ほくほく線が格好よすぎる

私がこの世でいちばん格好いいと思っている単線電車は、越後湯沢から直江津まで、山を貫き、どんな雪深さにもめげずいつでもほとんど正確なダイヤで運行する裏日本のヒーロー、ほくほく線である。

ほくほく線はなんつったってすごいのだ。単線はジェットコースター気分と力説したが、単線でかつ大部分がトンネルであるほくほく線の場合、もはやジェットコースターなんて生易しいものではない。最も近いのはドラえもんで描かれるタイムトラベル中の状態である。
ジェットコースターを通り越し、異次元空間を旅している気分。
動画冒頭にでてくる美佐島駅は、有名なトンネル駅だ。はくたかが通過する際にはホームに出られないようになっている。
そんでもって、この単線トンネルを特急はくたかが時速160kmで通り過ぎていったりする。うう、格好よすぎる。
話には聞いていたがそのホーム待合室の無機質っぷりもなんだかすごかった。
話には聞いていたがそのホーム待合室の無機質っぷりもなんだかすごかった。
上下線とも同じホームに到着するのがなんだか新鮮だ。
上下線とも同じホームに到着するのがなんだか新鮮だ。
こちらはほくほく大島駅。トンネル出てすぐホームなのも新鮮だ。駅じゃない部分はほとんどがトンネルなのだ。
こちらはほくほく大島駅。トンネル出てすぐホームなのも新鮮だ。駅じゃない部分はほとんどがトンネルなのだ。
ああ異次元空間の入り口
ああ異次元空間の入り口
単線の鉄道の橋脚は初めて見たけどばっちりかわいらしい。
単線の鉄道の橋脚は初めて見たけどばっちりかわいらしい。

単線のエスカレーターが好きだ

話が3ページ目にして大きくズレるが、エスカレーターにも単線がある。
こういう幅がひとり分しかないタイプ。
こういう幅がひとり分しかないタイプ。
私はこのタイプのエスカレーターのことが大好きである。どれくらい好きかというと、当初は普通のエスカレーターには興味がなくてこのタイプのエスカレーターに乗るときだけ興奮していたんだったような記憶もうっすらあるくらい好きだ。エスカレーター編愛道の原点である。
特に、真ん中についてるやつとか
特に、真ん中についてるやつとか
真ん中だけひとり分の幅のやつとか
真ん中だけひとり分の幅のやつとか
狭いところにがんばってつけてあるやつが好き(ああエスカレーターの話するの楽しいなぁ~)
狭いところにがんばってつけてあるやつが好き(ああエスカレーターの話するの楽しいなぁ~)
この種のエスカレーターを私は長らく「ひとり乗り」と呼んできたのだが、語弊があることに最近気がついた。前後に乗ればだいたい3人くらいは余裕だからだ。文字通りのひとり乗りと言えばたとえば川崎のこれとかを指すのだろう。ではうーんと、なんと呼ぶのが適切か…

は!単線!

いや、単線って、じゃあ複線(ふたり分の幅のやつ)は上下線になってんのかというとなってないので苦しいところだが、私がこれにわくわくする理由は同じだと思うのだ。思うのである。
だってほら、ジェットコースターっぽいし、機能的で美しいし、右側とか左側とか気にしなくていいからダイヤの乱れも気にしなくていいじゃないか。  うん。
だってほら、ジェットコースターっぽいし、機能的で美しいし、右側とか左側とか気にしなくていいからダイヤの乱れも気にしなくていいじゃないか。 うん。

単線の階段は悔しい

話が最終ページにさらにズレていくが、階段にも単線がある。
たとえばこれだ。
たとえばこれだ。
かれこれ10年弱、エスカレーターばかり追い続けている私は、素敵な階段に出くわしたときにけっこう悔しい。こういう、単線ロングエスカレーターにうってつけの場所が階段だったりするともう、「ああもう!エスカレーターだったらいいのに!」と思うのだ。
こことかエスカレーターは隣についているけど、階段の方が格好いいという屈辱。
こことかエスカレーターは隣についているけど、階段の方が格好いいという屈辱。
これはまた別の種類だが、単線だとおもうんだよね(エスカレーターにしてくれたらいいのに…)
これはまた別の種類だが、単線だとおもうんだよね(エスカレーターにしてくれたらいいのに…)
ほらもう、これは完全に単線だ。
ほらもう、これは完全に単線だ。

単線の入り口が好きだ

ここまで読んでくださった方は、もはや何がきても驚かないことかと思うが、入り口にも単線がある。
真ん中の緑の装飾テントがついた入り口が、単線。
真ん中の緑の装飾テントがついた入り口が、単線。
中身は要するに、単線の階段だ。その階段を「入り口然」として彩る装飾テントも、それに合わせて単線ぽさを演出しているのが、偉い。
つまりだから、こういうことだ。
つまりだから、こういうことだ。
「パーマ サイゼリア」もちょっと気になるが、アーケードがある下にわざわざ装飾テントを張り出してまで(よく見ると元々ある看板を隠している)、「入り口」たらんとしている素晴らしさよ。
そしてつまり、これだ。
そしてつまり、これだ。
外階段に、わざわざ屋根と扉。これなんかは、たぶんただの外階段だったら「単線」ではなかったのだけど、おもてなし精神を追加することで単線に必須の要素、狭さを生み出すことにはからずも成功した例だ。たったそれだけで、ドアを開けて登ったらなにがあるんだろうというわくわく感をたきつける。

単線のガードレールが好きだ

わたしがいま、いちばん「単線!」と思っているものがこれだ。単線のガードレール。
ガードレールといったら、ふつうは横長の形で、しかもいくつかつながって機能するものだろう。ところが彼らときたら、
こんなにひとりぽっちなのだ。
こんなにひとりぽっちなのだ。
住宅にとりつけられた立派な門扉の間で、けなげに誰のものでもない狭い路地を守る、公共ガードレールの孤独よ。
あるいは、こうなのだ。
あるいは、こうなのだ。
きっと誰かが、どうしてもそこに必要だと判断したのだ。その意志を尊重しての、カスタムメイド品。

どうだ、この単線感

いや、こじつけではない。断じてこじつけではないのだぞ。
狭くてまっすぐで長くて、シンプルで無駄がなくて美しくて、日常の中にあるのに特別な感じがする。これが単線にわくわくする気分、単線感であり、このガードレールたちにはそれと同じものをまさしく感じるのだ。

単線電車という、ファンも多く太くて大きいところから話を始めたつもりが、どんどん狭くなっていってしまった。単線だけに。
単線感をとてもよく体現している、都営線跡の緑道。ああ。わくわくする。
単線感をとてもよく体現している、都営線跡の緑道。ああ。わくわくする。
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