■ 夢のカレー
鋸南町の保田駅の近くに「夢のカレー」はある。
127号線を南下するとカーブを曲がった所に現れる。大きな看板はとても目を引く。
ばばーーーん
このお店はバイカー御用達らしい。なんとなくわかる。目立つし、夢だし、カレーだし。
ここです!
言い切った
人の家っぽい
店内は人ん家っぽく雑然としており、カレーの匂いが漂っていた。夢のカレー…一体どんな味なのか期待が高まる。
テレビでやってる昔の金田一耕助のドラマが妙にマッチしている
カレーにしては高めの価格設定。夢が入っているからか
辛さは、普通・中辛・辛口・特辛の4種類。
ポークカレーの辛口を注文し、しばし待つ。
足元をシーズー犬が行き来する。
お冷やは魔法瓶スタイル(常温)
これが夢のカレーか
待つ事15分、カレーがやってきた。一見普通のカレーである。
ポークカレー辛口
夢の湯気でレンズが曇る。豚肉がごろごろしていておいしそう
典型的な人ん家カレー
食べてみると、わかりやすい特徴があるわけでなく「うん、おいしいけど、まあこんなものか…」という感じ。看板のインパクトからするとやや地味に感じるかもしれない。
しかし、人の家でいただくようなほっとする味のカレーで、食べ飽きない魅力がある。食べ進めても飽きる事なくあっという間に完食してしまった。辛口だけどあまり辛くないのも家カレーっぽい。
これが夢の味…
夢の事についてはよくわからないが、この店で出されるカレーはコレで正解だ。味と店内の様子とがぴったりと合っているもの。
たまねぎを乗せるとさらにおいしい
大きい肉。肉=夢でもあるのでこれは納得
「どうして夢のカレーなんですか?」
一番聞きたかった事を店主に聞いてみた。
「カレーはね。おじさんの夢なんだよ」
店主はここでカレー屋を32年営んでいる。その前は横須賀で外国人相手のキャバレーを経営していたそうだ。
「横須賀海軍カレーに影響されたのですか?」と尋ねると「あんなものはまずい!モッタリしちゃって」と一蹴された。でも個人的な好みで言うと、私も海軍カレーよりはおじさんのカレーが好きですよ。
…そう言うと「でしょ?」と笑った。
カレーについて語る85歳のマスター
忘れられないカレーがきっかけ
「子供の頃に食べたカレーなんて、母親が小麦粉いれて作ってくれる味の無いもんだった」
「小学生くらいに、いちど洋食屋で食べたカレーの味が忘れられなくて、カレーってのはうまいんだって事を知った」
「そんで、いつか世界一うまいカレーを作ってやろうって思ってね。できたんだよ、このカレーが」
「これはおじさんの、夢のカレーなの」
飼い主のエピソードに聞き入る犬
良い話だった
夢の意味がわかると、舌に残るさきほどのカレーの味がよりいっそう深みを増してくる。
おじさんに「辛口、辛かった?」と聞かれたので「あまり辛くなかったです」と言ったら、「特辛にすればよかったね、少し温めてきてあげようか?」と優しい心遣いをされてしまった。お腹がいっぱいだったので遠慮したけれど、また必ず特辛を食べに来ようと思った。
■ 夢のラーメン 居酒屋 錦
東京都江戸川区には夢のラーメンがある。
私にとってラーメンといえばそれだけで夢。これは行くしかない。
おまえの夢を魅せてくれ
わー!ドリーミィー
壁一面に描かれたかわいい絵。これが夢の答えなのか?
ラーメンとか野菜とか魚が踊っている。上にはビールも踊っている。竜宮城か
マスター夫妻の話によると、知り合いの漫画家の先生が描いてくれたそうだ。
失踪が気になるけれど
かわいい
「なぜ夢のラーメンなんですか?」
お店のおかみさんに、おきまりの質問を投げかけてみた。
「壁もこんなふうだし、ラーメン食べながらお酒も飲める店だからです」
「ラーメン居酒屋=夢」とは大きく出たものだな…と思ったけど、たしかにそれも夢と言えるかもしれない。飲んだ後にラーメン屋探さなくてすむし。
開店は夕方からで、店内のお客さんを見るとほとんどお酒を飲んでいた。
それを聞くと夢のメニューに思えてくる
夢の第一歩である生ビールを注文
箸置きがお菓子なのも夢
お通しが魚のアラなのは明らかに夢
あ、ラーメン食べなきゃ
うっかりビールを飲んで満足してしまう所だった。塩ラーメンと醤油、どちらがオススメか聞いてみると「両方です。両方とも同じくらい出ますし」との事だった。夢っぽいのはどっちですかと聞こうとしてとどまったが、なんとなく塩にしてみよう。
ラーメンメニューに挟まれた「ちょい呑み」の文字がこの店のスタンス
オーソドックスな塩ラーメン
おいしいですよ
一般的な澄んだスープの塩ラーメン。呑んだ後にはぴったりで「わかってるー」と思った。奇をてらっていない味が、居酒屋を兼ねたお店にはしっくりくるのですね。
ちじれ麺というのがまた「わかってるー」
なるとの魚いいですね
魚たちがダジャレにされまくり
ダジャレはとまらない
ダジャレの域を超えてるものも
正直、「お酒を飲みながらラーメンも食べられるから夢のラーメン」と聞いた時にはそれだけ…?と思ったけど、そんな小さな夢が結構大事だったりするのかもしれない。常連さんぽい人で埋まっていて、このお店がないと困るというようなお客さんも少なくないように見えた。
つまみカレーが気になる
■ 和食厨房 夢庵
夢庵はすかいらーく系列の和食レストランだ。
しゃぶしゃぶ食べ放題がすでに夢っぽさを放っている
ホッピーがあるのが夢のようだ
何と思われてもよいのだが、私にとってファミレスでホッピーが飲めるのは夢のような話である。
夢セット
真っ昼間から呑める。ああ夢だ。
もちの天ぷら、にくい
塩が三種類
天ぷらを注文すると三種類の塩が来る。ここらへんも夢庵の名に恥じぬオプションと言える。
天ぷらを三種類の塩で食べられるなんて夢に溢れている
夢の刺身
私はいま夢のまっただ中にいます
最後には塩で呑んでた。この梅塩は酒がすすむ
夢庵は家の近所にあるのでよく行くのだが、考えてみたら私は今までここでご飯を食べた事がない。ご飯物を頼もうと思っても、つまみの充実ぶりに邪魔をされるのだ。酒飲みにとってはここはまさに夢の庵だ。
次くる時はB級グルメを食べながら夢のひとつでも語ってみたい
いい夢たくさん
おいしいカレー作りに奮起したおじさん。お酒とラーメンを両立させた夫婦。昼間から酒を飲みたいだけの人。今回の企画で、夢というのは人それぞれの捉え方がある事を知った。