桜の葉は食べる派です
桜餅の葉っぱだが、外して食べる人もいればそのまま食べちゃう人もいる。固い葉柄や中央脈だけ外して食べる人もいる。僕は、全部食べてしまう派です。
春に食べた道明寺の桜餅。クレープ状の生地で巻いてあるほうは長命寺というらしい。関東は長命寺が主流らしいけど、個人的には道明寺が好き。
で、家にある葉っぱの塩漬けはこのくらいの量。多分20枚くらいで、花も入ってます。密閉されていても桜の香りがします。
大島桜の葉っぱと花が塩で漬けられてます。
ネタ、かぶってたわ
書き始めてから一応…と思って検索したらライターの馬場さんが6年前に似たようなことをやってました。
桜の葉の塩漬けを色々なお菓子に巻いてみた
なんか思いついて「面白いんじゃないか」と思って検索すると、だいたい当サイトのライターが書いてる問題。19年も書かれてるサイトだともう仕方ないんじゃないですかね!
撮影前に気づけばやめたけどもう遅い。
ということで続けます。馬場さん、ごめん。
塩まみれの桜の葉っぱ。
塩抜きして使います
このままだと塩を食べてるようなものなので、塩を落として水に漬けて塩抜きします。と言っても、塩を抜きすぎてもただの葉っぱになってしまうので、ほどほどに塩味が残る程度に。加減は勘。
桜の葉っぱの塩抜きなんてしたことないから、加減なんか知りません。
ちょっとかじってみたら塩気と桜の香りがして、いい感じになったのでこんなもんでいい事としました。
甘い桜の花の匂いがするけど、食べるとしょっぱいという不思議な食べ物。
いろいろ桜にしていく
まずは普通の感じから始めます。鉄板は餡子+炭水化物だろうと思って、おはぎを用意しました。僕はおはぎがめっぽう好きなのです。
完全に余談ですが、この写真のために淹れたお茶を飲んだらカフェインがガチ効きしてしまい、夜眠れませんでした。
これに桜の葉っぱの塩漬けを載せてみます。ところで、『桜の葉っぱの塩漬』と打つのがめんどくさいので今後はSHSと呼称します。
SHS載せぼたもち。つまり、桜ぼたもちである。
味は、桜餅を食べたことがある人なら想像が付くだろう味で、だいたい桜餅、特に道明寺(もち米が原料の道明寺粉を使ってるやつ)と同じです。だって、構成要素がほとんど同じなんだから。
鉄板のSHS、餡子、もち米。
食べ物の記事は安パイから始めるのが定石。次も安パイを切りたい。
桜豆大福。
豆大福の豆自体ちょっとしょっぱい上に、SHSの塩気と桜の香りが相まって、相性がいい。普通にアリなんじゃないかと思います。ちょっと数が多いのでどんどんいきましょう。
次は桜あんまん。
しかしこう、食べ物に葉っぱを載せるとタヌキに化かされる感、あるいは、タヌキが変身した感がありますな。葉っぱ=タヌキと刷り込まれているのです。
あんまんの餡は少しごま油の風味があり、それが桜の香りを打ち消してしまい、豆大福やぼたもちほどの良さを感じません。桜の風味はかなり淡い存在なのです。
中華の風に負けた。
また余談ですが、あんまんを電子レンジであっためると餡がとても熱くなり、しかも皮が冷めても皮に保温された餡の温度は下がらず火傷することがあります。あれはいったい何℃なんだろう?と思って計ったら90℃近くありました。そりゃ火傷するわ…。
皮は手で持てる程度なので40℃くらい。なのに中身は90℃近く。温度差すごい。
洋の風を吹かせてみる
中華に負けた次は、と用意したのは源氏パイ。パイなので一応洋風ということになりましょうや。源氏だけど。
またしても余談ですが、上に書いた緑茶の後にこの紅茶を飲んだのも不眠の原因だったと思われます。僕は普段お茶やコーヒーを全く飲まないので、カフェインが効きすぎるのです。眠れなくて困ってる人はカフェインを絶ってみるのもいいかも。
源氏パイにSHSを巻いてみる。さしずめ桜源氏パイでしょうか。
桜源氏パイの味はどうでしょう。
悪くはないけど、桜の風味が源氏パイに負けました。桜、弱い。洋にも中華にも負けました。当然カントリーマァムにも負けました。
桜カントリーマァム。桜はカントリーマァムの甘さの彼方へ消えました。
ところで、カントリーマァムが知らなううちにとても小さくなった気がします。実際に小さくなったのか、僕の手が大きくなったのか。
たわむれに母を背負ったみたら思いのほか軽くて泣いて三歩も歩けなかった、みたいな話でしょうか。違いますね。
いつのまにそんな小さくなってしまったんだい、母さん。
桜あんバターは、悪くない
洋にも中華にも負けて、もうちょっとわかんねーなって感じになりましたのでパンに茹で小豆とバターを載せて焼いたやつを桜化(おうか)してみることにしました。
あんこと茹で小豆の区別がつきませんが、潰せばあんこでしょうか。
これが、意外と悪くない。桜がバターに負けるかなと思ったけど、あんことSHSの組み合わせが脳内の味覚ライブラリに入ってる桜餅と合致したっぽく、僕のゴーストが『アリ』と囁きました。
知ってる味と近い要素があればアリってことなんだろうか。
あと、おそらくだけど食べ物が熱いと桜の香りが立つようです。温度も重要だったっぽい。
桜飯爆誕
知ってる味と要素が近いならアリということであれば、SHSとご飯の組み合わせはどうだろう?
SHSは細かく刻んでご飯を混ぜました。
これが、アリでした。
桜餅の匂いがするので味としては甘さを期待するんだけど食べてみると甘くなくてむしろしょっぱい。鼻は桜餅を感じ、舌はわかめご飯的な塩気を感じます。香りと味の不一致により、脳が混乱させられる感じがとても面白いです。
うまい!という感じのアリではなく、おもしろーい!という感じのアリですね。
桜めし、アリです。やっぱり温かい食べ物とSHSの相性がいいっぽい。
肉もいってみる
ずっと炭水化物で来たけど、肉と合わせてみたらどうだろう?豚バラ肉を焼いてSHSを刻んだのと混ぜてみました。
いつ焼いても豚バラは良い。肉と脂が焼ける匂いが、良い。
出来上がりはコチラ。豚の脂が焼けたいい匂いと、その奥に桜が香ります。熱によって桜の香りが立ち上がってきて、意外にも豚肉に負けていません。
ハーブだ。SHSはハーブだったんだ。

味?そりゃうまいさ。だって、豚バラですよ?結局豚バラが一番うまいんですよ。そこにSHSの塩気が加わって、なんか遠くに桜の香りがあるけど邪魔ではなくて、茶色くて、噛むとじわっと脂が染み出て。
塩+豚肉=勝利。みんなが知ってる方程式でした。
こりゃもう、桜めしに乗っけるしかない。豚バラ桜めしです。これがもう、絶妙にうまい。
豚バラ+塩気+白飯+桜=優勝。
桜の甘い香りが、なぜか甘みを想起させてあるはずのない甘みを感じて、それで豚バラの香ばしさと白飯とSHSの塩気でしょ?優勝ですよ、こんなの。
結局脂と白飯と塩だなって。
美味しいものは食べられたし、桜の葉っぱもだいぶ減りましたがもうちょい残ってるので片を付けます。
思ったのと違ったパターン
SHSの風味は淡いので、淡い食べ物となら合うかなと思って豆腐に桜の花の塩漬けを載せてみました。失敗でした。
見た目は風流な感じがしていいんですけどね。
やはり桜の香りは熱い方が立つようで、冷たい豆腐に乗せても大豆の香りに負けてしまいました。 レンジで温めて湯豆腐状態にしたら少し香りが立ちましたが、わざわざ食べるほどのものでもないかなぁ。
結局、しょうゆを掛けて食べました。これはうまい。
同じパターンで、淡い食べ物なら桜の香りがいいアクセントになろうと思って、貝の刺身と合わせてみました。
刺身の下に敷いた大葉をどかしてSHSに変えてみたけど、地味で映えない。
今にして思えば、ワサビを添えてしまったのが敗因で、しかも冷たいものだから桜の香りは立たず、やらんでいい事をしてる感がすごい。
ワサビもホタテも桜も、それぞれがバラバラに『ただ在る』ような味。孫娘に食べさせたら「あたし、この食べ方きらいなのよね」って言われてしまうに違いない。
結局、しょうゆとワサビで食べるのが最高だなって思いました。これこそ、期待通りのいつもの味。頭が期待した通りの味。
味覚は舌が感じる味と鼻が感じる匂い、脳が期待している記憶の味で作られているのかも知れません。目の錯覚と同じように、味にも錯覚がありそうです。
食べる前から頭では味を感じていて、実際に食べてその差異でおいしいとかまずいとかを判断してるような気がする。
ちょうどSHSも無くなりました。これにてSHS消費作戦は終了となります。ありがとうございました。
冷蔵庫のデッドストックがまた一つ片付いた。いろいろ美味しかったのでよかった。
味の不思議
桜ぼたもちとか桜豆大福なんてのは、食べる前からなんとなく味が分かっていて、食べるとほとんど期待通りの味でした。面白かったのは豚バラと桜めしで、香りは桜餅なんだけど食べると塩気で、でも甘いような気がしました。
匂いは桜餅なんだけど味が違うというズレが面白いと思いまして、今後AIが食材の味や香りから料理を構想すると、こういう料理がガンガン出てきそうな気がします。
と思って検索したら、結構魚とか肉と合わせてる人いますね…。ネットは広大だわ。
なお、SHSにはクマリンという毒が含まれているそうですが、数日に分けて撮影し、そんな大量というほどでも無いので問題ないかと思います。桜の葉の塩漬けを何枚か食べたけど、私は元気です。