次は未来の音を聞きたい
場所を超えて時も超えた。次の目標は、未来に押されたブーブークッションの音をいま聞く、という組み合わせである。
どうやったらできるのかまったくわからないが、完成したら時空警察に捕まってこの記事も、この記事を読んだあなたの記憶も消されるだろう。
どうかこの記事のことをいつまでも覚えておいてほしい。
ブーブークッションはおもしろい。
座っただけでおならの音が出るなんて最高じゃないか。ただ欠点もある。恥ずかしいことだ。
そこでIoTを活用してブーブークッションから音だけを移動させることにした。
林雄司とよしだともふみでIoT三兄弟というユニットを組んでいる。IoTはエアコンの温度設定ばかりだが、それ以外にももっといろんなものを遠隔操作するべきだ。そんなIoTの可能性を探るユニットである。
例えば、瓦割りをIoT化した。
グローブを早く動かすと、遠くにある瓦が割れる。グローブと瓦のあいだをネットでつないである。これが物のインターネット、IoTである。
正確には瓦は割るのではなく、もとから割れていて、その支えが外れる。些細なことだ。
このように IoTを拡張している我々だが、今回はブーブークッションの恥ずかしさに向かい合った。その結果、「ブー」の音を遠くに飛ばすという解決策を発明した。
音を出して見たい人はこちらをどうぞ(音が出ます。しかもおならみたいな音が出ます)
つまり、ブーブークッションから音を移動させているのだ。仕組みは以下の図の通りである。
ブーブークッションが押されたときの「ブー」の音はそのクッションから出さない。音は電子化されて(「ブー」の音を出せの信号)として離れたブーブークッションに送られる。
離れたブーブークッションはその信号を受け取ると、物理的にブーブークッションを押して電子化されたブー音を人の耳に聞こえる音に復元する。
これでブーの音を移動させることができた。
問題は送信側のブーブークッションから音を取り除くことである。これはブーブークッションに空気が抜ける穴をあけることで可能となった(あっさり)。
こりゃ世界を席巻するわというシンプルな設計である。よしだ氏によりスポンジに赤いスイッチが埋め込まれている。これが押されることでブー音が送られる。
受信側のブーブークッションを圧迫する装置は、軸を回転して板を下げる仕様になった。
ブーブークッションを押すには人間の体重(60kg)ぐらいの重さで勢いよく押す必要があり、その力が出るアームとなると産業用ロボットぐらいでかくなってしまう。誤作動したときに死の可能性があるため、工夫で代替した。
ブーブークッションのかわりに押されて死亡というおもしろ死因の1ページを作らずに済んだ。
上の動画では、作品の概要がわかるように送信クッションと受信クッションを見えるところに置いたが、もっと離すこともできる。IoTだからだ。
動画はブー音が出るのでスタバや妻の実家で読んでいる人のためにキャプチャで解説しよう。
会社で押されたブーブークッションの音が冬の林で奏でられた。途中のおなら移動中はあくまでイメージである。本当はサーバを経由している。
IoTなので地球のどこででも鳴らすこともできる。
例えばブエノスアイレスと東京に分かれて住む恋人がいたとして、互いの部屋にこの遠隔ブーブークッションがあったら十分に気配を感じることができるだろう。
遠距離恋愛を超えた遠距離倦怠期だ。IoTよ、ありがとう。
距離だけではない。時間を超えることもできるのだ。距離と時間、つまり四次元ブーブークッションである。
この動画は昼に座ったブーブークッションの音を、夜に鳴らしたようすだ。
遅れて動作するように設定すればブーブークッションは時をかける。
ブー音に特化したタイムマシン、とも言えよう。
場所を超えて時も超えた。次の目標は、未来に押されたブーブークッションの音をいま聞く、という組み合わせである。
どうやったらできるのかまったくわからないが、完成したら時空警察に捕まってこの記事も、この記事を読んだあなたの記憶も消されるだろう。
どうかこの記事のことをいつまでも覚えておいてほしい。
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