まずはルールを決めよう!
横浜中華街。神戸南京町、長崎新地と並び日本三大中華街のひとつ、そして日本最大、アジア最大級の中華街だ。
横浜中華街で最も高いものは何だろう?
そして、最もヘンな売り物は何だろう?
このワクワクするような疑問にさっそく答えを出すべく調査に名乗りをあげた筆者。ところがコレが大変だった・・・。
中華街で一番高いもの、ヘンなものって何?
横浜中華街にある店舗数は、ざっと数えて500軒以上(大丈夫か?)。
そこでまず、今回の調査において決めたルールは・・・
(1)レストランや食事をとるための店舗は除外する。
(2)ほかの街でも購入が容易な品物は除外する。
(3)調査エリアは横浜中華街発展会協同組合の「横濱中華街街道指南」に掲載されているエリア内に限る。
(4)「ヘンなもの」は筆者の独自判断。
・・・以上4点。
こちらが横浜中華街発展会協同組合の発行する公式マップ。 マップは
ホームページでも閲覧できる
調査は長期戦。店舗に迷惑をかけないためにも、聞き込みは比較的にお客さんの少ない午前中に限ることにした。
取材初日、ざっと歩いて店舗を見てまわるが、土産物店、雑貨店に食材店、茶房と予想以上の数。どうしよう・・・
バ ッ ク レ ち ゃ お う か
そんな考えが思わず浮かんだ調査初日・・・だったが、普段お目にかかることがないであろう高価な品々に出会えて、興奮したり鳥肌が立ったりライター冥利に尽きる出来事が多かった。
高額なものベスト5に加えて希少なもの、そして筆者的にグッときた「ヘンなもの」を紹介していこうと思う。
それでは、足かけ18日にわたる取材の結果をどうぞ。
まずは第5位!
【第5位】東坡堤梁壺(とうはていりょうつぼ)・・・1,200,000円
中華街大通りに面する「中国貿易公司 二号店」は食材から雑貨まで幅広く扱う
中華街の目抜き通りに位置する「中国貿易公司 二号店」。
ここの2階に特大の急須があった。
これが「東坡堤梁壺(とうはていりょうつぼ)」。お値段120万円(税込)
全高は60センチほど。表面には文様、フタには縁起の良い桃
紫砂器(しさき)とも言われるとか
お店の川俣孝善さんは、はまれぽ読者!
「自転車での横浜一周旅、もう一度リベンジしてください!」とのリクエストをいただきました~。
【第4位】唐三彩鎮墓獣/ガネーシャ像/タイ農民の生活(からくり装置)・・・2,000,000円
いきなりの100万円オーバーではじまったランキング。
4位は同じ価格が3品ランクインした。3品ともいってみよう。
まずは、南門シルクロードにある「天宝堂」様の逸品から。
「天宝堂シルクロード館」は工芸品から骨董まで扱うお店
「唐三彩鎮墓獣(とうさんさいちんぼじゅう)」。値段200万円(税込)
中国王朝の唐時代(618~907年)のもので、墓に死者とともに埋められる副葬品だそう。 1000年以上前の陶器でできたものが中華街にあった。
凛々しい顔立ち・・・。足には蹄(ひづめ)がある
こちらが後ろ姿。馬のような姿に、白いたてがみ(?)がある
貴重な品を見せていただいた店舗主任の芳賀由美さん
そして同じく第4位、200万円という値段を付けた品がもう2品。
くしくも、2品とも同じ店舗にあった。南門シルクロードにある「MALAIKA」様。
MALAIKA(マライカ)にはエスニック雑貨がたくさん!
ひとつめはお店のレジ脇に鎮座する「ガネーシャ像」。価格は税込み200万円。出店した当初からお店に置かれているそうだ。
大迫力のガネーシャ像はインド製
ヒンドゥー教の神。学問と商売の神様だ
「タイ農民の生活」と題された、からくり仕掛け
オールハンドメイドで作られた、からくり仕掛け装置。コインを入れると朴訥(ぼくとつ)な音楽とともに中の人形が動く仕組み。
この人形たちが動く動く!
100円を入れると動く仕組みになっていて、そのお金はすべてタイに募金されるそうだ。
お店の看板的役割を担っている印象だ
MALAIKAの鈴木さん。おすすめのカサカエル(900円)とパチリ
さぁ、いよいよベスト3。だがその前にちょっとブレイクしよう。
中華街にあるお土産で「ヘンなもの」って?
「ヘンなもの」って何だろう?
中華街の土産物屋さんをハシゴするも、なかなか「これだ!」というものに辿り着けない。それに、まわってみると土産物が方々の店で被っていることに気付く。
そんななか、オリジナリティあふれる、筆者的にグッときた「ヘン」なものがコレ・・・
大熊猫(パンダ)白黒カレー!
売っているのは中華街大通りの「横浜博覧館」様
訪れた修学旅行生たちがザワつく逸品
広報の新保恵子さん
広報の新保さんによると「奇抜ととらえられますが、中身の味にも絶対の自信があります!」とのこと。
これ、今年後半くると思う・・・。
さらに、「ヘン」というか「グッときた」ものを見つけたのでオマケ掲載。
「大地の勇者アニバトロン」。一見ただのパンダだが・・・
!!?
変形! 銃持って戦う気満々
リッチな気分が味わえる、高級品番外編
ヘン(?)なものを紹介した後は、ランキングにはのらないものの、ちょっと値段の張る高級品を紹介したいと思う。少しだけ奮発すればリッチな気分が味わえるものをチョイスしてみた。
福建路にある中国茶専門店「緑苑」様
このお店は「日本中国茶普及協会」の理事である周永泰氏のショップ。
落ち着いた雰囲気と、充実した品ぞろえの店内
迎えてくださった周永泰さん
入ると、ふわっと香る茶葉のいい匂い。ここで高級茶葉を紹介してもらおう。
・・・と、差し出されたのが写真のこれ。
「大紅袍(だいこうほう)」。お値段2000円(12.5グラム)
「緑苑」さんで最も高価な烏龍茶葉。12.5グラム入り(1杯分はおよそ3グラム)。
一体、どんな味なんだろう?
緑苑さんの発行する「中国茶の栞(しおり)」によると・・・
大紅袍・・・武夷岩(ぶいがん)茶のうちでも「茶王」と呼ばれる銘茶中の銘茶です。水色は紅殻色。病を治す仙茶として語り継がれ、貴ばれています。苦味と渋味が不思議に交わって、厳かな雰囲気を感じさせます。
“茶王”とはすごい・・・。
(恥ずかしながら、筆者は箱を手渡されたとき“トランプ”だと思った)
2階にはカフェも併設されていて、とてもいい感じ。中華街散策でのひと休みにぜひ。
よし、ブレイクもひと段落。そろそろ戻ってベスト3にいってみよう!
いよいよベスト3を発表!
【第3位】水晶玉・・・3,500,000円
直径15~16センチほどの水晶玉
取り扱い店は、三たび登場の「MALAIKA」様!
ショーケースの中で最も大きく、また抜群の透明度
価格は350万円(税込)で堂々の第3位!
【第2位】ローズクォーツ製「双龍」・・・3,800,000円
3位に入った水晶は無色透明。ローズクォーツは別名・紅水晶とも言われる淡いピンク色をした水晶。もちろん希少品だ。扱っている店舗は、関帝廟通りに店を構える「龍・青龍店」様。
中華街・元町に5店舗を展開する「龍」様。開運グッズがたくさん!
代表取締役の洪益芬(こう・えきふん)さん(左)と、常務の林子傑(りん・こけつ)さん
お値段、380万円(税込)
二頭の龍が絡み、視線を交わしているかのような構図
380万円! 車買うくらいの値段だ・・・。筆者は写真撮影中、「万が一、ぶつけて壊したらどうしよう・・・」と手汗が止まらなかった。
これより高額商品があるなんて・・・。
(ちなみに1位の値段を聞いた時、筆者は心臓が痛くなった)
いよいよオーラス。第1位の発表です。横浜中華街で最も高価な品物は何なのか?
ドラムロール、スタンバイ! さぁ、第1位は!?
【第1位】24金製「菩薩像」・・・7,350,000円
こちらが第1位の24金製の菩薩像! 価格は735万円(税込)!
大きさは30センチほど。超高額商品のため、ショーケースから出せません。
ガラスケース越しの、お顔はこちら。
柔和な表情
24金製。金自体としての価値もある逸品
ところでお店の名前は? 実はこの商品、2位の双龍と同じ「龍・青龍店」さん。1位2位と堂々のランクイン。2品合わせて1115万円!
そして、今回ご紹介したすべての商品の総額は・・・21,850,000円!
セレブな読者様、いかがでしょう?
取材を終えて
取材中、ほうぼうのお店の方から「長く続いた不況の影響で、今は中華街に高額なものなどない」と何度も言われた。中華街の街頭看板には低価格を売りにする文言が、やたらと目に付く。
高額商品も、買い求めるお客さんはいる!
だが一方では、「中国からの観光客の購買意欲はすごい!」とも聞こえてくる。
実際、いくつかの店舗では、中国の富裕層と思われる観光客が次々に高額商品を買って行き、店の品ぞろえが薄くなってしまったとも聞いた。「二極化」というキーワードが、今の中華街を表しているのかもしれない。
そして今回の調査、取材交渉をするも断られてしまったお店も多々あった。
理由は「防犯上の理由」のほか、変わったところでは「風水」や「占い」の結果、さらには、お渡しした名刺の字画の問題などで取材NGというケースも。
細野誠治、字画が悪いのか?
また、仕入れの関係でたまたま高額商品を切らしていたお店もあったし、単純に見落としてしまった店舗もあるだろう。
毎年、3割のお店が入れ替わると言われる中華街。この調査、経年再調査をすればランキングが大きく変動すると思われる。
今回の調査で痛感したのは「やはり中華街は奥が深い」ということ。毎日、発見があるし、同じ顔ぶれや同じ商品は、ほんの一時しかない。街の変遷は常だが、その早さが顕著なのだ。
次の週末、中華街に行ってみようか。
記事を読んでそんなことを、ふと頭に浮かべてもらえたら幸いだ。
それでは皆さま、また中華街でお会いしましょう!
―終わり―