渋谷でもっとも混雑しているところ
渋谷でもっとも混雑しているところと言っても過言ではないだろう。おなじみスクランブル交差点の一角にあるビルQFRONTのスターバックスコーヒー。
実際知人に聞いてみたところ、3人中3人が「あそこはいつも混んでて入れそうにない」と言っていた。
僕自身も、いつも見ても混んでいて、横を通り過ぎだけでうんざりした気持ちになって、入ろうという気にならない。まずコーヒーを買うにしても、いつも長い列ができている。
そして仮にコーヒーを買えたとしても、座る席がないのである。立地がいいのはわかるが、それほどここに魅力があるのだろうか。
ということで、いったいいつになったら座れるのだろうか、あのスタバは。そして、そこからはどんな景色が見えるのか。調査してみることにした。
今回注目しているスタバは、渋谷駅前スクランブル交差点の
ここのことです。
最も混んでいるスタバを体験したい
時間は金曜日の夜7時半頃、飲みに出かける人たちで渋谷駅前がごった返す時間だ。 仕事帰りのサラリーマンや若者で、ハチ公前は祭りのようになっている。
いつも混んでいるスタバなのだから、この時間も当然混んでいることだろう。 最も混んでいる状態のスタバに行って、いつになったら座れるのかを調べてみたい。
金曜夜の渋谷駅前の様子。これは絶対スタバも激コミのはずだ。
そんなに混んでない疑惑
早速QFRONT1階、スターバックスのレジカウンター前に行ってみると、10人ほどの列ができてきている。 もっと混んでいるかと思ったが、10人か……。
10人なら、ちょっと嫌だが覚悟を決めれば並んで買うのもありだろう。 外から見て混んでいるスタバだったが、そんなに混んでいない疑惑が生じてきた。
「いや、10人の列に並んでコーヒーを買ったところで、席が空いてないから。そのはずだから……」
そう言い聞かせるように2階の席を見てみる。
一見混んで見えるが、数えてみればレジに並んでいるのは10人
2階も意外と空いている
2階に来てみた。チラホラ空いている席がある。あの「混んでて絶対に座れない」という知人らの同意はなんだったのだろうか。
カウンター席が50席くらいのうち、2,3席は座れそう。テーブル席は2人掛けの席が1,2つは空いている。絶対に座れない、という感じではない。
さっき「渋谷でもっとも混雑しているところと言っても過言ではない」と言ったばかりだが、ちょっと過言だったようだ。
よしわかった。「今は」座れることを認めよう。
ただ数時間後にはどうなっているだろうか。一旦出直すことにした。 。
確かにぎゅうぎゅうな印象はあるが、席はあることはある。
再挑戦
夕飯を食べた後、再び夜10時頃にやってきた。満席を祈りつつスタバにチャレンジ。
レジの前の列は1,2,3,……12人くらい。さっきは10人くらいだったから、ちょっと伸びている。もしかしたらこれ以上はレジ前のスペースに並べないのかもしれない。
先程は席が空いているということがわかった時点で撤退してしまったが、こんどこそ腰を据えて観察するためにコーヒーを買うことにする。
というわけで数分並んで本日のコーヒーを購入した。ところで、この店舗はショートサイズがないらしい。 真っ黒なコーヒーがたっぷりと入ったカップを渡され、席がある二階に上がる。
そして、案の定
やっぱり座れないことはない
先程より若干混んでいる様子があったので、これはと思ったが、よく見てみれば……うっ、やはり微妙だが、席はあいている。
8時前の席の埋まり具合が90%だとすると、95%くらいか。120%くらい混んでいると思ったのに。「座るのに20分かかっちゃいました」とか言いたかった。
というわけで、座れてしまった……
いま明かされるスタバの真実
仲間と一緒にいるためにイスには座らず立ってテーブルについている人もいる一方で、ぽつんぽつんとわずかながら空いている席がある。
仮に席があいていなくても、回転率は高めなので少し待てばどこかの席は座れるようになっている。混んでいることは混んでいるものの、金曜の夜という1番混みそうな時間帯でも座れる程度だ。
拍子抜けしたが、これが渋谷のスタバの真実だ。「あそこは混んでいて座れない」と思っていた人、驚きましたよね? 今僕は、そう思っていた人にだけ向けて文章を書いています。
その時、店内は
さて、結論も出てしまった。もう調べることもないので、店内を一周歩いてみて気づいたことを列挙する。メモを見るとおおよそ以下のようなことが書いてあった。
・背中部分がおもいっきり空いている服を着た女性が1人いた
・ものすごく浅く座ってる人が1人いた
・腕毛がすごい外国人がいた
背中の防御力がゼロでした
角が食い込んでいるようでした
油断していたのでびっくりしました
そんなにオモシロは転がっていない。
「座れない! 困った!」というのを期待してきたため、普通に座れてしまうと、気がつくのもこの程度のことである。こういう人たちが「いた」という事だ。ジャスト事実。
僕は諦めてゆっくりコーヒーを楽しむことにした。空いていた席につく。「座れちゃったなあ」と思った。
街をながめる
座ってしまうと、キョロキョロと店の様子の観察もできない。耳に頼ろうとしても、近くの人の話し声もなんだかガヤガヤしていて聞き取れない。
こうなったら渋谷を行き交う人々を見るしかない。ななめ上から人々が歩く様子を見ていると、川の流れのようでもある。
あの一人ひとりに人生のドラマがあるのを想像すると、重みで地面が陥没しないのが不思議な感じがする。
ぼやっと景色を眺めていると、交差点を消防車が通った。今どこかが火事なのだろう。 消防車を見ると燃えているビルを想像してしまう。金曜の夜なのに、大変なことだ。
……取材がうまく行かず、どんどん暗い方面のことを考え始めてしまった。
金曜の夜なのに……
うかうかしてたらスマホの電池がきれるぞ
さらに街を眺めていたら、駅へ向かう人の流れに逆らうのがいた。ナンパやスカウトの人たちだった。
彼らの動きはまるでスポーツのように女性に近づいたり離れたりしていた。ボールを奪いにいく選手のようだ。
そんな彼らを見ながらナンパってどうやるのだろうなどと思って、ナンパ術を調べていたらスマホの電池が切れそうになった。
もう客足は落ち着きはじめている。これから夜が深くなれば、店はきっとガラガラになるだろう。 渋谷の人口が減れば、スタバの人口も減るのだ。このスタバが渋谷の人口のサンプルなのかもしれない。
しかし……気がついてみれば久々にたっぷりとしたコーヒーを飲んだために、気持ち悪くなってきた。今なら終電で帰れる。どうするか……。
もう帰って冷凍うどん食べて寝ちゃえ。
わかったこと
みんなが「あそこは混んでいる」と思っているから、お互い牽制しあって、実のところ意外とそこまででもないということなのだろうか。事実、スタバは座れた。
「みんなが憧れるクラスのマドンナは、高嶺の花の印象が強過ぎて逆に誰も告白に挑戦していない、だから頑張れよな」というスタバからの力強いメッセージ……いや、安易に一般化するのはやめよう。
「混んでいるように見えるスタバも、行ってみれば意外と座れる」
今回言えるのはこれだけだ。