特集 2023年8月25日

トルコ人に秋葉原のケバブを食べてもらう

トルコの友人が来日して、秋葉原案内をすることになった。

秋葉原といえば電気街やオタク文化の街というイメージだが、個人的にはもう一つ、やたらケバブ屋が多い印象もある。あのケバブって、どのくらい本場の味なんだろうか。

ケバブの本場、トルコの人たちに秋葉原のケバブを食べてみてもらった。

インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変わった音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。
『雑に作る ―電子工作で好きなものを作る近道集』(共著)がオライリーから出ました!

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トルコからYoutuberがきた!

8/26(土)に開催するイベント、ヘボコン2023にトルコのYoutuberが来てくれることになった。

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彼がYoutuberのTolga Özuygur(以下、トルガ)

アイアンマンのスーツを作って手から火を出したり、ナーフ(おもちゃの銃)を改造してタレット(射撃ロボット)を作ったりしている。ものづくりガチ勢Youtuberである。チャンネル登録100万人くらいいる人気者。

今回一緒に行ったトルコ人は彼と、その友人あわせて5人。ロボットバトルイベントであるヘボコンにむけて材料を買いに行きたいというので案内してきた。

それを迎える日本人メンバーは僕と友人2人の3人体制だったが、3人もいて全員英語が堪能じゃない。身振り手振りとスマホの翻訳アプリを駆使しながらのコミュニケーションだが、これがけっこうおもしろい。

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企画趣旨を説明し、「これに感想書いてね」と渡した紙をおもしろがって撮影するトルコメンバー。左から、Adil(アディル)、Ecehan(エジェハン)、トルガ、Derya(デリヤ)。もう一人写ってないけどOzgur(オズギュル)という男性も一緒

そういうわけであんまり細かい会話ができないので、「トルコにおけるケバブの文化的背景」のような混み入った話は一切出てきません。あらじかじめご了承ください。

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瞬時に仲良くなるトルコ人

立ち寄ったのは、デニズ ターキッシュ カフェ&バーというお店。買い物の通り道にあった、というだけの理由で決まった。

すごいのが会話の瞬発力。

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僕が「あの店にしよう」といった瞬間に「メルハバ!」(トルコ語のこんにちは)と言って近づいていく

最初のあいさつでお互いにトルコ人であることを確認し、その後すごいテンポでどんどん会話が弾み始めた。一瞬で仲良くなるフレンドリーさがすごい。

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トルコ語なので内容は全然わからないがすごい談笑している。

遠く日本の地で働いている旧知の友人の店にやってきた、みたいな雰囲気だった。会話の勢いが倍速再生みたいなテンポで、発言と発言の間に間が全然ない!

実際にはもちろん初対面である。いま記事を書きながらICレコーダーを聞き返したら、僕はあまりのことに「なにが始まったんだ……」と日本語でつぶやいていた。

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会話は続く。「(何かトルコ語)」「ワハハハハハ!」

トルコ人はおしゃべり好きというのはよく聞くが、その真価を見た感じだ。

トルコ人おしゃべりエピソードは過去にもあった。僕は15年前に新婚旅行でトルコに行ったことがある。そのとき同行してくれた現地ガイドさんが、行く先々で、売店の人や観光地の受付の人なんかと延々ずっとしゃべっていた。

僕らが自由行動で散策に出かけるタイミングで会話が始まって、何十分もして戻ってくるまでずっと同じ勢いでしゃべっている。当時はガイドでよく来る場所だからみんな顔なじみなのだろうと思っていたけど、いま目の前の光景を見るかぎり、あれも初対面だったのかもしれない。どおりで全箇所に100%知り合いがいるのはおかしいなと思ったんだ。

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トルコではひき肉のケバブがポピュラー

わはははは、すげーしゃべるな!と思って見ていたところ

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「で、どれ頼む?」

急にこっちに振られたのでびっくりした。

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日本でケバブというと、この皮で包んだやつのイメージがあるけど
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「トルコで一番ポピュラーなやつどれ?」ときいたら、アディルの意見ではこのアダナケバブらしい。ひき肉のケバブなんだそうだ
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それを皮で巻いて一口サイズに切ったのがこのカプレットケバブ

ケバブの種類をさんざん教えてもらったものの、たくさんあって迷ったので、結局「食べたいやつ選んでいいよ!」と任せた。丸投げともいう。

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注文して待ってる間も同じテンションのおしゃべりが続き、そのうち店員さんが「写真撮るよ!」と言って撮影タイムが始まった
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送ってもらった写真。後ろでお店の人もポーズ取ってくれてるのが最高

そうこうしているうちに料理ができた!

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秋葉原のケバブはトルコ人にウケるのか!?

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まずはチキン…だけどこんなのメニューにあったっけ?

メニューにない料理が出てきた。

どうやらみんなで分けて食べやすいように、誰かがアレンジして注文してくれたらしい。日本人が寿司屋で「シャリ小さめにしてもらえますか」とかラーメン屋で「ニンニク抜きにして別皿でもらえますか?」とかいう感じなのだろう。さすが自国の食べ物なのでアレンジ力が高い!

というわけで写真のお皿は手前にドネルケバブ、奥はドネルケバブをカプレットケバブ風に皮で巻いてくれたものだ。見た目はチマッとしているが一口サイズで指でつまめてナイスアレンジ!

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ドネルケバブというのはおなじみのこれのことです。薄切り肉を串に刺して焼いたもの

ちょっと前にライターの月餅さんがケンタッキーは開店直後に行くとうまいという記事を書いていたが、ドネルケバブも朝がうまいらしい。ずっとここで回して焼き続けるので、夕方には脂が溶け落ち気味になってしまうとのこと。

ではいよいよ実食です。

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食べて…
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ナイス!
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後ろの彼がオズギュル。うまい!!
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美味しい!
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僕も食べました。おいしー!

スパイスのきいた肉もおいしいんだけど、皮で包んである方にはたっぷりチーズが入ってて、これがまたいい!

……と思ったら、トルコだとチーズは入ってないことが多いらしい。(絶対ではないみたい)

とはいえ全体に好評!

続いてもう1品。

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こっちはビーフ。ドネルケバブと、奥はカプレットケバブ
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いいね!
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ブレてしまったが「good!」の手をしている

という感じで、みんな秋葉原のケバブが気に入ったようだった。いやーよかった。おしまい。

……って、「おいしい」とか「いいね」ばっかりで感想ざっくりすぎだろ!!と思ったみなさん、よく気付きましたね。

こちとらトルコ語はおろか英語も片言なので、正直その場で感想言われてもわからないのだ。この記事書くのに向いてなさすぎる人材なのである。

というわけで用意したのが、冒頭にも登場したアンケート。

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こんなの


別のお店に移動して、ケバブの感想を紙に書いてもらった。

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左上からオズギュル、エジェハン、デリヤ、トルガ、そしてエジェハンとデリヤの二人が書いてくれた日本語のメッセージ!

ざっくりまとめるとこう。

・チキンは特に美味しかった。トルコのよりおいしいかも。(オズギュル)
・トルコと全く同じ!特にチキンがおいしかった!(エジェハン)
・ビーフはトルコのケバブみたいにおいしかった。全然違いはなかったよ!(デリヤ)
・チキンはとてもよかった。ビーフはちょっと乾いてたかな。でもトータルでは、むしろイスタンブールのほとんどのケバブ屋よりおいしいんじゃない?(トルガ)

ということだった。どうやらトルコ人も認める味!という結論でよさそうだ。

肉の種類でいえば、トルコ人的には夕方に頼むのはチキンがおすすめっぽい。ビーフ好きの人は午前中やお昼をねらうのがよさそうだ。


トルコ人のお客さんも多い

お店の方に聞くと、トルコ人のお客さんはけっこう多いのだという。日本人も海外で日本食食べてみたりするもんね。でも、それってちょっとからかい半分というか「海外って勘違い日本食があるんでしょ?」的なちょっと意地悪な気持ちがあったりするんだけど、このケバブ屋さんはほんとに現地トルコそのままの味だったようだ。

あとトルコ人のおしゃべり好きは本物。これはマジ。

お店のサイトデニズ ターキッシュ カフェ&バー

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もちろん日本勢にも好評でした

 

余談1:最初に「メルハバー!」と話しかけていったアディルの感想が掲載されていないが、次の店に行く途中ではぐれてしまったため。(その後、無事合流)

余談2:本当はもう一店くらい行こうかと思っていたけど話が盛り上がりすぎて時間が無くなってしまった!でもそれこそが「トルコ人が秋葉原のケバブ屋に行ったときに起こること」なのである。

余談3:翌々日、トルガからメッセージが来た。

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「このあいだのケバブ屋どこだっけ?また食べたくて」

どうも気に入ったらしい。 

おしらせ

ヘボコン2023、まもなく8/26(土)に開催!

ロボットなんて作れない人たちが、自作の「自称・ロボット」を持ち寄り無理やりロボットバトルをするイベント、「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」。
日本中から腕に覚えのない者が集う炭酸の抜けた戦いがこの夏も開催です!トルコから来たトルガ氏も出場!

観戦チケットたぶんまだあります!(執筆時点)
売り切れてたらライブ配信があります。

詳しくはこちら…!
技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)2023、8/26(土)開催!

 

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