特集 2015年6月23日

修験道の山巡り

スケールがダイナミックな修験道の山を紹介します
スケールがダイナミックな修験道の山を紹介します
修験道というものがある。山に篭って修行を行い、超人的な力を得ようという信仰だ。

そのルーツは飛鳥時代、役小角(えんのおづぬ)という行者によって始められたとされ、平安時代に盛んとなり、中世には独自の信仰体系を確立した。

しかし明治時代に入ると修験禁止令が出され、全国にあった修験道の山々は壊滅的なダメージを受けてしまう。

現在はその多くが遺跡と化した修験道の山々ではあるものの、昔からの霊場なだけあって、そこには独特のスケール感と雰囲気があるのだ。今回はその魅力をお伝えしたい。
1981年神奈川生まれ。テケテケな文化財ライター。古いモノを漁るべく、各地を奔走中。常になんとかなるさと思いながら生きてるが、実際なんとかなってしまっているのがタチ悪い。2011年には30歳の節目として歩き遍路をやりました。2012年には31歳の節目としてサンティアゴ巡礼をやりました。

前の記事:佐渡島は寺院や霊場もおもしろい

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九州を代表する修験道の山「求菩提山(くぼてさん)」

大分県との県境にほど近い、福岡県の豊前市に求菩提山という山がある。

古くより信仰を集めていた山で、最盛期の平安時代末期から鎌倉時代には「一山五百坊」とも称され、その山中には山伏の住居である「坊」が建ち並んでいたという。
額が突出したような形が印象的で、麓から眺めるだけでも存在感のある山だ
額が突出したような形が印象的で、麓から眺めるだけでも存在感のある山だ
かつての参道は、アスファルトの道路として山頂付近まで続いている
かつての参道は、アスファルトの道路として山頂付近まで続いている
車道が終わると、そこからは苔むした石段だ
車道が終わると、そこからは苔むした石段だ
明治に入るまでは賑わっていたのだろうが、現在は完全に廃墟である
明治に入るまでは賑わっていたのだろうが、現在は完全に廃墟である
今でこそうら寂しい雰囲気ではあるものの、堅固に築かれた石垣は立派なものだ。有力大名の山城とかと比べても、遜色ないレベルである。
江戸時代の絵図を見ても、山麓から山頂まで建物が連なっていたことが分かる
江戸時代の絵図を見ても、山麓から山頂まで建物が連なっていたことが分かる
山伏の住居であった「坊」は、現在一棟だけ残っていた
山伏の住居であった「坊」は、現在一棟だけ残っていた
建物自体も立派で味があるが、礎石(基礎の石)が荒々しくて雰囲気出てる
建物自体も立派で味があるが、礎石(基礎の石)が荒々しくて雰囲気出てる
修験道の山は女人禁制なところも多いが、求菩提では妻帯が認められていたという。このような坊に家族で住んでいたのだ。

ちなみに求菩提の山伏はかなりモテたらしく、麓の資料館には山伏に宛てたラブレターが展示されていて興味深かった。

さぁ、さらに山の奥へと進んでいこう。
岩肌を水が流れ落ちる、禊場の先にあったのは――
岩肌を水が流れ落ちる、禊場の先にあったのは――
ストーンと切り立った断崖絶壁だ
ストーンと切り立った断崖絶壁だ
巨大な石の壁がそそり立つ
巨大な石の壁がそそり立つ
この断崖絶壁こそ、山伏の修行の場だったのだそうだ。まるで屏風のように連なる岩壁には五つの窪みがあり、そこに篭って修行に励んでいたそうである。

迫力ある光景に加え、岩の隙間からは「ボーン」という音が聞こえるらしく(風が通る音だろうか)、確かに昔の人々が神仏を感じても不思議ではない、そんな場所であった。
呪術的な雰囲気に少しギョッとしたが、これは護摩(火を焚く祈祷)場らしい
呪術的な雰囲気に少しギョッとしたが、これは護摩(火を焚く祈祷)場らしい
こんな巨大な氷室(雪や氷を貯蔵する施設)まであった
こんな巨大な氷室(雪や氷を貯蔵する施設)まであった
冷蔵庫のない昔は氷が貴重品であった。冬の間に蓄えておいた氷は、ぶっちゃけかなりの高値で売買していたのではないだろうか。

求菩提では茶も栽培されており、大名などの有力者とも取引があったという。その収入はかなりのもの、生活は豊かだったと想像がつく。なるほど、そりゃモテるワケですな。

今も昔も変わらぬ真理に納得しながら、山頂を目指す。
ここから先は聖域であることを示す結界標石
ここから先は聖域であることを示す結界標石
妙にひょうきんな手水鉢で身を清めて進む
妙にひょうきんな手水鉢で身を清めて進む
雰囲気たっぷりな参道をてくてく登ると
雰囲気たっぷりな参道をてくてく登ると
国玉神社の中宮に到着した
国玉神社の中宮に到着した
かつて求菩提山の中心的存在は護国寺という寺院であったが、明治時代に神社へと改められ、現在は護国寺の跡地に国玉神社の中宮が建っている。

中宮という名が示す通りここはまだ途中であり、山頂へはここから約850段もの石段を登らなければならない。
この石段が滅茶苦茶急なのだ
この石段が滅茶苦茶急なのだ
しかし、真っ直ぐ伸びる石段は雰囲気抜群
しかし、真っ直ぐ伸びる石段は雰囲気抜群
ようやくたどり着いた山頂の上宮には、巨大な岩がゴロゴロしていた
ようやくたどり着いた山頂の上宮には、巨大な岩がゴロゴロしていた
人は大きなものに神を感じるらしく、信仰の対象となっている山には巨石が鎮座していることが多い。求菩提山もしかりであった。

とまぁ、このような巨大な磐座や絶壁など、求菩提山には今もなお神秘的な雰囲気が残っている。霊場として、さもありなんというようようなたたずまいである。

ふむふむ、これはなかなか面白い。求菩提山の他にも、修験道の山を見にいってみようじゃないか。そう思った。
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