リハビリがてら、良い景色を見に
去年足首の手術した私は、しばらくの間歩く事が出来なかった為に体力と筋力がめっきり衰えてしまった。体を手術前の状態に戻すには、やはり歩かねばならない。
そのような中、登山好きの父親から大楠山の話を聞いた。半日で帰ってこれるお手軽なハイキングコースで、しかも眺めが良いとの事だ。私はリハビリがてら、ちょっくら大楠山に登ってみる事にした。
朝7時に逗子駅、到着
大楠山へ登るルートはいくつかあるようだが、三浦半島の西岸側から登る「前田橋コース」が最も一般的なようである。
そのスタート地点である「前田橋」へは、JR横須賀線の逗子駅からバスが出ている(京急逗子線の「新逗子駅」でもOK)。
「長井行き」または「横須賀市市民病院行き」のバスに乗る
逗子駅から30分程で前田橋バス停に到着だ
バスを降りた私は軽い準備運動をし、それから登山道に向かった。前田橋バス停の横から路地に入り山側へ進んで行くと、すぐに見えてくるのが前田川である。
大楠山への登山道は、なんとこの前田川の川底から始まるのだ。
案内板が出ているのでその通りに歩いて行く
と、いきなり川底へ降りる階段が
へぇ、これはおもしろいじゃないか
前田川は護岸整備がなされた川ではあるものの、山が近い為か水は澄んでおり、川底を歩くのもなかなか楽しい。
川底に敷かれた板道や飛び石を進んで行くにつれ周囲の景観もワイルドになっていき、ちょっとした渓流歩きの気分である。
水辺で涼しく夏なら気持ちが良さそうだ
途中には滝もある(砂防の床固めだけど)
川底を15分程歩いたその先に、「大楠山ハイキングコース」と書かれた標識が立っていた。それに従って階段を上り、いよいよ本格的な山道に入る。
飛び石から入るハイキングコースというのも斬新だ
登山道はなかなかしっかり整備されていた
小一時間程登って行くと――
レーダー雨量観測所が立つ開けた場所に出た
この広場は山頂ではないものの立派な展望台が設置されている。とは言え山頂もすぐ先なのでそちらへ急いでも良いのだが、山頂とは見られる景色が微妙に違うのでここは寄る事をオススメしたい。
さらにもう少しだけ登ると
標高242メートル、大楠山の山頂だ
というワケで山頂に到着である。早速展望台から周囲の景色を眺めてみると……おぉ、なるほど。確かに東西南北、いずれの方角にも視界が開けている。まさに360度の展望だ。
まずは南側、三浦半島の先端部分は意外と平坦
そして伊豆大島がでかい
東側に見えるのは東京湾と房総半島
北側は横浜、東京に林立するビル群である
立派にそそり立つスカイツリーも見えた
そして極め付けの西側
まず目に入るのは相模湾越しの富士山
そして山並みの上に白い筋――南アルプスだ!
三浦半島から富士山が見えるのは、まぁ、妥当である。しかし南アルプスの峰々が見えるのには本当に驚かされた。
関東地方からだと手前の山々が邪魔になって(神奈川県なら丹沢山地とか)南アルプスを拝める場所はそうそう無いと思っていたのだが、大楠山の位置からだと富士山と丹沢山地の間から南アルプスの山頂が見えるのである。
ただし、南アルプスが見えるのは空気の澄んだ冬の日の晴天、しかも午前中の早い時間帯のみだそうだ。
手軽に登れて眺めも良い、なんとも理想的な大楠山
都心にも近く、東西南北すべての方向に視界が開けて景色が良い。気軽に楽しめるハイキングコースとして、かなりオススメな山である。
遠景を楽しむならば木に葉が無く空気の澄んだ冬が一番であるが、春は春で花が咲き乱れ、それはもう大変な事になるらしい。夏は前田川が涼しくて良いだろうし、まぁ、季節に応じて楽しめるという点でも良い山なのではないだろうか。