特集 2012年5月13日

海上自衛隊のカレーは本格的

使う調味料がやたらに多い。
使う調味料がやたらに多い。
海上自衛隊のホームページには各艦艇や部署で作られる料理のレシピが掲載されています。

海上自衛隊ファミリーページ 海上自衛隊レシピ

こちらのレシピページでは和食、洋食、中華のカテゴリーとは別に、単独でカレーレシピのカテゴリーがあります。このレシピで作るカレーが驚くほど本格的な味でした。
1972年生まれ。元機械設計屋の工業製造業系ライター。普段は工業、製造業関係、テクノロジー全般の記事を多く書いています。元プロボクサーでウルトラマラソンを走ります。日本酒利き酒師の資格があり、ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しているので、体力実践系、各種料理、日本酒関係の記事も多く書いています。(動画インタビュー

前の記事:くさやにチョコレートは本当に美味しいのか?

> 個人サイト 酒と醸し料理 BY 工業製造業系ライター 馬場吉成 website

レトルトを温めるだけではなかった。

調べてみると、海上自衛隊がレシピの紹介を始めたのは2008年からのことのようです。既に見たことのある方も多いかもしれません。

海上自衛隊カレーレシピ

こちらのカレーレシピのコーナーには現在40種類以上のカレーレシピが並んでいます。

海上自衛隊では長い海上勤務で曜日の感覚がなくなってしまうのを防ぐ為、毎週金曜日にすべての部署でカレーライスを食べる習慣があるそうです。また、それぞれの艦隊でカレーライス調理の腕が競われることもあり、調理担当の隊員は独自の隠し味を研究するなどオリジナルカレー作りに努力するのだとか。確かに、どのレシピを見ても海上自衛隊カレーはかなり本格的です。

これらのレシピを見るまでは、自衛隊のカレーというと大きな鍋にザクザクと適当に切った材料と一斗缶サイズの容器に入ったレトルトカレールーを入れて煮込むぐらいに考えていました。驚きです。

作ってみよう

材料はシンプル。
材料はシンプル。
では、このレシピの中の気になった1つを作ってみます。護衛艦「ひゅうが」のビーフカレーをつくります。使う材料は以下になります。

牛肉150g、タマネギ300g、ニンジン120g、ジャガイモ120g、ニンニク20g。(4人分)

かなり普通です。しかし、調味料が凄い。

市販のカレールー、カレーパウダー、ガラムマサラ、ワイン、ブランデー、タバスコ、ケチャップ、ドミグラスソース、唐辛子、牛乳、ウスターソース、トンカツソース、醤油、鶏ガラスープ、インスタントコーヒー、バター。

使うものは大体が家庭に有るもの。しかし、数がやたらに多い。そして、ガラムマサラに関して大サジ2/3と指定がある以外は全部適量となっています。大胆な指定。
この時点で既に本格的。一晩寝かすとあったが時間が無いので1時間程度で済ます。
この時点で既に本格的。一晩寝かすとあったが時間が無いので1時間程度で済ます。
材料の切り方も「お好みの大きさ」と大胆な指定。
材料の切り方も「お好みの大きさ」と大胆な指定。
作り方は、まず肉にワインをかけて揉み込み一晩寝かせます。野菜は好みの大きさに切り分け、ニンニクはスライスかみじん切りにします。
飴色タマネギ作るなんて、面倒で普段はしない。
飴色タマネギ作るなんて、面倒で普段はしない。
貰ったが飲んでいなかったミニボトルがこんなところで役立つとは。
貰ったが飲んでいなかったミニボトルがこんなところで役立つとは。
続いて、フライパンに油とバターをひき、ニンニクの半分を入れて炒めます。香りが出たらタマネギの半分を飴色になるまで炒めて皿に出しておく。

タマネギを炒めたフライパンに、残ったニンニクと唐辛子を入れて香が出るまで炒めたら、肉を入れてブランデーを振りかけて炒めます。
タバスコは冷蔵庫の奥に忘れ去られる調味料候補の1つですよね。
タバスコは冷蔵庫の奥に忘れ去られる調味料候補の1つですよね。
市販ルーのカレーに固形コンソメを使うことはあるが、鶏ガラスープは無かったな。
市販ルーのカレーに固形コンソメを使うことはあるが、鶏ガラスープは無かったな。
続いてタバスコ少々、ニンジン、残りのタマネギを入れて炒め合わせます。肉の表面の色が変わったら鶏ガラスープを入れて煮込む。アクを取り除き、カレーパウダー、ガラムマサラ、ケチャップ、醤油、ウスターソース、ドミグラスソース、飴色に炒めたたまねぎを入れます。ガラムマサラとカレーパウダーは事前に煙が出るぐらいまで炒っておきます。
煮崩れてトロトロのジャガイモも好きですが、今回は忠実に別炒めで。
煮崩れてトロトロのジャガイモも好きですが、今回は忠実に別炒めで。
出来上がったカレーにソースや醤油を入れる人は見た事がある。
出来上がったカレーにソースや醤油を入れる人は見た事がある。
煮込んでいる最中に、食べられる程度にジャガイモを炒めておきます。フライパンの火を止めルーを投入し、しばらく置いてルーの固さが決まったら、炒めたジャガイモ、牛乳、トンカツソース、お湯で溶いたインスタントコーヒーを少しずつ入れます。これで出来上がり。
市販のルーを使っただけとは違う、レストランなどで出てくる本格カレーの香り。
市販のルーを使っただけとは違う、レストランなどで出てくる本格カレーの香り。
出来上がったカレーは、果物から感じるような酸味、肉や野菜の旨味などが複雑に重なりあっています。香ばしく、長く続くスパイシーな余韻。とても市販のルーを使ったカレーとは思えません。実に旨い。

家にある調味料を適当に混ぜましたというのとは違う、計算された旨さです。
海上自衛隊に入隊したくなる旨さだね。
海上自衛隊に入隊したくなる旨さだね。
海上自衛隊のカレーは本格的な味でとても旨かった。手間はかかりますが、是非ほかのレシピのカレーも作ってみたいです。

自分のイメージで海上自衛隊のカレーを作ってみよう

さて、美味しいカレーを食べたので、調子に乗って勝手なイメージで海上自衛隊オリジナルカレーでも作ってみます。
艦艇の冷蔵設備は高性能で、一般のレストランと同等以上の鮮度の材料が整っているそうです。
艦艇の冷蔵設備は高性能で、一般のレストランと同等以上の鮮度の材料が整っているそうです。
私の中にある海上自衛隊のイメージを並べるとこんな感じです。

・海
・船
・大胆

最初の二つはともかく、最後は甚だしく適当なイメージですが、これを元に材料を決定。鮭缶、ニンジン、ジャガイモ、タマネギ、アジ1匹。あと、市販のカレールーです。早速作ります。
ザックリ切った野菜を炒め鮭缶投入。大胆に。
ザックリ切った野菜を炒め鮭缶投入。大胆に。
アジは丸ごと揚げで大胆に。海だから魚だろうという安易な考え。
アジは丸ごと揚げで大胆に。海だから魚だろうという安易な考え。
まず、野菜を適当な大きさに切り分けて炒めます。大体炒められたら鮭缶投入。水を入れて煮込み、市販のカレールーを入れます。アジは内臓を取り除いて塩を軽くふったら小麦粉をまぶして揚げます。
船体部分と艦橋部分は後で合体。
船体部分と艦橋部分は後で合体。
滑走路などは海苔で再現。
滑走路などは海苔で再現。
続いでライスの部分。ラップに包み船の形に成形します。今回は護衛艦「ひゅうが」を参考に作ってみます。開口部や滑走路などは海苔で再現。
薄目で遠くから見てください。そうすると護衛艦「ひゅうが」に見えます。「ひゅうが」はこんな船です。
薄目で遠くから見てください。そうすると護衛艦「ひゅうが」に見えます。「ひゅうが」はこんな船です。
カレーやライス、具材の準備が出来たら盛り付けです。
大海原!
大海原!
護衛艦「ひゅうが」着水!いや、着カレー!
護衛艦「ひゅうが」着水!いや、着カレー!
謎の巨大魚が現れたー!海の安全は任せたぞ、ひゅうが!
謎の巨大魚が現れたー!海の安全は任せたぞ、ひゅうが!

販売して欲しい

全くもって似てないライスの塊を「ひゅうが」と言い放ち、怪魚から海を守ってくれなんてことまで言ってしまい、海上自衛隊の皆様スイマセン。これからも海の安全をよろしくお願いします。

紹介されているカレーのレシピは本当に美味しかったです。材料も特別な物は無いので、気になる方は是非作ってみてください。いっそのこと、艦艇ごとにレトルトにして売ってくれないものか。あれば買いたいです。
カレーにアジ丸ごとは食いづらい。
カレーにアジ丸ごとは食いづらい。
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