特集 2023年9月24日

台湾のスナックで謎のフルーツ「龍眼」をもらった

旅行で台湾に行った。10年近くぶりの海外に興奮しながら台北の街を観光するなかで、意図せず愉快なスナックに出会った。そこで受けた嵐のようなおもてなしと、帰りにもらった龍眼(リュウガン、ロンガンともいう)というフルーツが非常においしかったので紹介させてください。

1993年東京都生まれ。与太郎という柴犬と生きている普通の会社員。お昼休み時間に事務員さんがDPZを見ているのを目にしてしまい、身元がバレないかハラハラしている。

前の記事:ポン・デ・リングは本当に餅として使えるのか ~揚げ出し餅、磯辺焼きを作る


かき氷屋を探したつもりだった

8月下旬、日本と変わらず30度を超える炎天下の中、友人と3人で台北を観光していた。1日目の夕方ごろ、龍山寺というありがたい寺院を参拝したあとで、かき氷でも食べようとGoogleマップを開く。

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観光で来ているのが恐れ多いほど現地の人たちが参拝していた。

お寺のすぐ近くに「水果倶楽部」というお店がヒットした。果物が食べられそうだし、果物があるってことはかき氷もありそうだ。

Googleマップの口コミからいいお店を嗅ぎつけることを生きがいのひとつにしている筆者は意気揚々とお店の方まで友人たちを引き連れた。

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お店の看板。下になぜかピアノの絵が。

店の前につくと、ガラス越しに見える店内の風景を見て緊張が走った。中年層しかいない。そしてみんなお酒を飲んでいる。フルーツパーラー的な気持ちで来たのに、完全に酒場だ。

あまりの不安に店先の写真を撮ることを忘れたのでGoogle MAPより。(No. 145, Guangzhou St, Wanhua District, Taipei City, 台湾 108)

確かにヤシの実だったりフルーツが入り口に並んではいたが、あまりにハードルが高すぎる。日本でさえ、バーやスナックに入るのはめちゃくちゃ勇気がいるのに。

「どうする?別のお店探す??」と店先で悩んでいると、お店の中にいるおじさんに手招きをされた。これは断れない。意を決して入店すると、お客さんの視線が集まるのを感じる。

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たどりついたかき氷と怒涛の注文

お店のおじさんに「日本人?」と聞かれ、そうだと答えるとお客さんに「日本人だってよ~!」と紹介してくれた、ような気がする。台湾華語がわからない我々はフィーリングで状況を把握するしかない。

お客さんの中には笑顔で迎えてくれる人もいれば、どうでもよさそうにお酒を飲み続ける人もいたが、ひとまずフレンドリーなお店っぽくて安心する。あと店内がそこはかとなく人の家というか、居間。イマジナリー実家か???

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圧倒的な実家感。パンダの機械を見て多分かき氷あるな、とほっとした。
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メニュー表。台北は注文したいメニューの横に数を書いて渡す方式が多くて助かる。

メニューの下の方にかき氷があり、よかった!!と思っていたら、お店の女性が「スイカ!スイカあるよ!!パイナップル好き!?盛り合わせとジュースとかき氷でいいね!待っててね!!!」と怒涛の勢いで畳みかけてきた。どうやら注文が完了したらしい。

お互い全部カタコトの英語とほんの少しの日本語だったが、明るくて勢いのある人の話していることってなんとなくわかるもんだな。こうありたいよな。

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注文取りの熱量に笑うしかない筆者。企業の採用ページにいそうな笑顔である。
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無事に来たマンゴーかき氷。
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黄色いスイカとキウイ。
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甘いのばかりだからと気遣ってピーナッツも出してくれた。あとパイナップルジュース。

どれもめちゃくちゃおいしい。かき氷のマンゴーがとろけるようで、必死に「おいしいです!」と伝えると、「アメリカ産だよ」と言われた。このあとも台湾マンゴーを食べずに帰国した。

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頼んでないのに持ってきてくれたタケノコ。

このタケノコが絶品だった。甘いマヨネーズを付けて食べるのだが、新鮮でシャキシャキとした茹でタケノコはどことなくトウモロコシのような甘さと風味がある。こんな食べ方があるってなんで誰も教えてくれなかったんですか。

おいしいおいしいと楽しんでいると、急に音楽が流れ始めた。入口の近くにピアノがあり、店主が引き始めた。そう、看板の絵の通り、ここはピアノバーだったのだ!

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日本人が来たからと、日本の歌を歌ってくれた。

坂本九の『上を向いて歩こう』とか、谷村新司の『昴』とか、ほかにもいろいろ歌ってくれたけど、哀しいかな世代が違うので曲名まではわからない。しかしどこかで聞いたことのある昭和歌謡をたくさん歌ってくれる。海外旅行に来たはずが、親戚との宴会みたいになってきたぞ。

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いつも間にか相席していたおじいさんが台湾茶を沸かして飲み始めた。ちょっとでもくれるのかなと思った自分が恥ずかしい。

ほとんどの方たちは日本語は話さず、台湾華語とちょっと英語を混ぜて話しかけてきてくれる。それを見て昔、日本に留学をしていたというおばさんと、統治時代に日本語教育を受けたのであろうおばあさんが通訳をしてくれた。

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日本に留学されていたお姉さま(左)と、めちゃくちゃ歌のうまいお姉さま(右)。

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