特集 2023年9月24日

台湾のスナックで謎のフルーツ「龍眼」をもらった

龍の眼と書いて「ロンガン」

あらかたフルーツを食べきったころに、買い物に行っていたお店のおばさんが大きなビニール袋を持って帰ってきた。なにやらコロコロしたものが付いた枝を取り出し、各テーブルに配っている。

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我々ももらった。むかごみたい。食べたことないけど。

「ロンガン」というらしい。「この時期の旬で、皮をむいて食べるんだよ!」と教えてくれた。

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皮は固いけど簡単に剥ける。ライチみたいな見た目だ。

味もかなりライチに似ているが、少しえぐみというか、独特の風味があった。かなりおいしい!筆者はライチが好きだ。ライチも台湾の名産で、どうにか食べられないかな、と思っていたが、8月には旬が過ぎている。ライチの流行が終わったあとに、龍眼を食べるらしい。

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種が大きく、これが龍の眼みたいだとということで龍眼らしい。

好みドンピシャの味だったので貪るように食べていると、おばさんがまた外に出て行った。

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まるまる一袋買ってきてくれた。

「 ホテルで食べな!」と買ってきてくれたのだ。100元で。

はじめに道で売ってることを教えてくれたのだが、多分観光客相手には高めに売られてしまうから、と買ってきてくれたのだろう。なんてやさしい人。

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こんな感じでフルーツを売っている。値切るスキルを身に着けてから挑みたい。

このピアノバー、おそらくほとんどの方は常連さんらしく、日本人が来たのははじめてと言っていた。こんなにフレンドリーで、しかも日本語のメニューもあるっていうのに……。

はじめての日本人客とはいえ、こんなに親切にしてもらうことに身に覚えがない。言い方が悪いが、ぼったくられるんじゃないか、という不安がどこかで消えなかった。しかしお会計は3人で300元(龍眼含む)。1350円くらいだ。たくさん食べて楽しませてもらってこんなに安くていいの……???

名残惜しいが夜市に行く予定があったので席を立つ。みんなにありがとうを言って回る。「明日も待ってるよ!」と言ってくれた。無理だけど、また絶対来るね。絶対絶対!

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歌のうまいお姉さまと。もういとこのお姉さんくらいの気持ちでいる。

一緒に写真を撮って、たくさん宣伝してね、と言ってもらった。あとなぜかTikTokも撮られた。アカウントを聞くの忘れたので筆者を見かけたら教えてください。 

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龍眼を食べつくせ!の旅

いいお店だったな~、で終わればいいのだが、しかしとんでもない量をもらってしまった。我々は2泊しかしない。

しかも、同行者のうちの一人は食感が少し苦手とのことだった。戦力は2名。大丈夫なんだろうか。枝には小さいありんこがトコトコ歩いている。

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ホテルに帰ってまず龍眼をばらす。

次の日は3つの街を移動する予定で、交通手段や時間を調べる必要があった。しかし筆者はひたすらに龍眼を外していた。見かねた一人が手伝ってくれ、夜市で買ったちまきを食べながら深夜に龍眼を外す成人女性が誕生した。

もう一人の常識ある友人が旅の工程を考えてくれていたのに「龍眼ばらすの手伝わなくてすみません」と言わせてしまった。どう考えても旅程を考えない我々が悪い。人間が3人集まると社会になるというのは本当だ。マジョリティというものはこわい。

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持参したジップロックに入れる。ボリュームがすごい。

これはもう、移動しながら食べるしかない。1/3くらいを持っていった。龍眼を食べつくす旅が今、はじまる。

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おやつにスナックじゃなくて果物を持ち歩くの、なんか「豊か」じゃないですか??
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最初は果汁まみれになっていた手元も、慣れてこの通り。
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胸ポケットから龍眼を取り出して食べる人、人生で初めて見たな。
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1時間ほどの乗車時間で今日のノルマである最後の一粒をたべる。
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やったぜ!

味はかなり好きで、幸い種が大きく果肉の総量的にはそこまで多くはなさそう。きっと食べきれるな、と思っていたが、最終日はそうもいかなかった。飲食禁止の電車を中心に移動だったのだ。

台湾からの果物は日本に持ち込めない。でももったいない……。

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最終日、なんとか時間を作ってお寺に向かった。
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お供え物を自由にできるお皿があるのだ。
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お供えさせていただいた。
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残り半分くらいといったところだろうか。大きいお皿でギリギリだった。

食べかけをお供えするのはダメというご意見もあるかもしれない。筆者もかなり悩んだ。けど捨てるのはあまりに忍びなく、これで神様に怒られるのなら仕方がないな、という結論を出した。

日本まで持ち帰れたらどんなによかっただろう。後悔を残しつつ空港へ向かった。次は余裕をもった日程で来よう。龍眼を食べきるために。


「エブリシングイズオールライト」

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旅行じゃなくて帰省だったのかもしれない

食べきれない龍眼を捨てられなかったのはフードロスをしたくない思いももちろんあるが、なによりお店の人たちの心遣いを無駄にしたくなかったからだ。

日本語話者ではないおじさんがすごい熱量で話しかけてきてくれたとき、ほとんど何を言っているかわからなかったが、「みんなブラザー。エブリシングイズオールライト」というのだけは理解できた。

台湾は中国との緊張状態にあるし、いろいろ不安なこともあるだろうに、よそ者の筆者らにこんなにも懐の深い言葉をかけてくれる。人生が嫌になったらまたこのお店に来よう。実家に帰るような気持ちで。

熱い握手をしてお店を出るとき、ウルルン滞在記のテーマソングが頭の中で流れた。

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