肉まんもちゃんとめちゃくちゃおいしい
華正樓は看板商品である肉まんも、当然のことながらめちゃくちゃにおいしかった。
大ぶりなお肉とシャキシャキのたけのこをもふもふでほんのり甘い生地と一緒に頬張る。アタシ、アンタのためならなんでもするよ。
華正樓は日本橋や新宿の高島屋にも入っていて、そこでも肉まんやお惣菜を買うことができるようだ。やったね!
横浜市の端っこに住みはじめてから4年がたった。
思い立ったらすぐに中心地に行って、華やかな景観を楽しむことができる生活は結構たのしい。
そんななかでみつけた最高の麻婆豆腐を共有させてください。
あと、麻婆豆腐の新しい食べ方についてもご提案します。
生まれも育ちも横浜の知人が言った。
「祖母の代から肉まんといったら華正樓」と。
華正樓は横浜中華街に本店を置く老舗の高級中華料理店だ。
銘菓やお惣菜を取り扱う売店がいくつかあり、そこで買うことのできる肉まんが大変においしいらしい。
以前まで中華街では蒸したての肉まんを取り扱っておらず、食べ歩きをしたいならランドマークプラザ店に行くべし、と教えてもらった。(最近、中華街の店舗でも蒸したてを買うことができるようになったようです)
3か月前ほどに肉まんを求め、閉店間際に華正樓へ赴いたところ、肉まんがすでに売り切れていた。
お土産用もあるものの、その場でほかほかの肉まんを食べる気満々だった私はうなだれながら踵を返そうとした。しかし、ふとショーケースに目を奪われる。
麻婆豆腐、すごくおいしそう……だな。
ほかほか肉まんチャンスを逃した自分に対し、若干のいらつきを感じていた私は四川風麻婆豆腐を購入した。怒りと辛さってなんか似ていませんか。
そうして家に持ち帰って食べたとき、その辛さとおいしさに心を奪われたってわけ。
何がいいって、辛すぎないギリギリを攻めている感じ。
私は辛党というよりもむしろ辛いのが不得意な部類に入るのだが、それでもたまに食べたいと思うことがある。怖い話が嫌いだけどつい読んじゃうみたいなものだ。
辛さの耐性を具体的に示すと、カレールーは中辛がちょうどよくて、韓国のインスタント麺「辛ラーメン」は頑張れば食べられるけど結構しんどい。こういうときにCoco壱番屋で例えられる人になりたい。近所に店舗できないかな。
そんな辛さキャパシティがそこまで広くない、でも食べたい!と思う人にうってつけな、ちょうどいい塩梅なのだ。
あと、辛さは「四川風」と聞いてイメージするしびれる感じよりも、口の中が熱くなる、豆板醬とかそっち側の種類だ。
おいしすぎてこの3か月間で5回ほど買いに行った。
このおいしさをわかってもらいたくて、祖母の家に持って行ったところ、祖母からは「辛い!」と怒られた。ばあちゃん、辛いものがダメって知らなかったよ。父と姉はうまいうまいとその場で1人1パック食べていた。
実は華正樓には四川風じゃない、普通の麻婆豆腐もある。
四川風に心を奪われつつも、やはりオーソドックスな味は気になる。
何度目かの四川風麻婆豆腐禁断症状が出た時に一緒に買ってみた。
食べてみると、おいしい!
ほとんど辛さがないので誰でも食べられそう。もちろんご飯は進む。
なんとなく、四川風よりコクが深いような気がするが、たぶんそれは黒豆(トウチ―)が入っているから。
原材料は含有量が多い順に書かれていると聞いたことがある。よくみるとノーマル麻婆では長葱が5番目に位置しているのに対して、四川風麻婆では3番目だ。
そうそう。四川風麻婆のおいしさに、みずみずしいねぎのシャキシャキ感が大きく貢献していると思っていたんだ。どうりで!
もちろんノーマル麻婆もおいしい。デモ、オデ、四川風麻婆豆腐、スゲエ、スキ(私の中のイマジナリーターザンが話しています)。
ときに、カレー屋さんにはよく「あいがけ」というやつが存在する。
味の異なるカレーをかけちゃうよくばりなメニューだ。
これを、麻婆豆腐でもやっていいんじゃないか。華正樓の。
「バケモンにはバケモンをぶつけるんだよ」とホラー映画「貞子vs伽椰子」で言っていた。辛いもんには辛いもんをぶつけるのである。おいしいを超えたなにかも起こる気がしてくる。
でも、でもね。
華正樓のふたつの麻婆豆腐は、味が結構、似ている。
そういえば店員さんに味の違いを聞いたとき、「辛いか、辛くないかです」とさらりと教えてくれた。
それ以外、自分で見出した違いはコクの深さくらいだ。自分の舌の感度の低さにちょっと落ち込む。
両者大変ごはんが進むのでもしこの2つを合いがけにすればおいしく食べられる予感はするが、どこかで味のメリハリというものを求めてしまうんじゃないか。
例えば、辛さの種類の違う麻婆豆腐をもってきたい。つまりそう、しびれ系ってやつだ。
ちがうお店の麻婆豆腐でやってこそ輝くあいがけ麻婆豆腐に出会えるかもしれない。
正直なところ麻婆豆腐に精通している方ではない。でも、心当たり、あります!
横浜市の端っこに住む私は鎌倉もそこそこ近い。犬の散歩に出かけたり、青鯖を空に浮かべたり、ときどき遊びに行っている。
鶴岡八幡宮に通じる若宮大路を駅から海方面に歩いていくと、「かかん」という麻婆豆腐屋さんのお土産用のスタンドがある。
イートインのできる梶原店と鎌倉本店が別であり、そのおいしさは行列ができるほど。ここではそんなお店の味を自宅で楽しむための麻婆ソースが手に入る。
麻婆豆腐のテイクアウトではなく、自分でソースを温めて豆腐と絡めるタイプのやつだ。詳しい作り方については、なぜだか鎮座DOPENESSさんが教えてくれる動画が存在します。
この麻婆豆腐もまたたまらなくおいしい。もとはそこまで辛くなくて、別添えの花山椒で辛さを調整する。「ごはんの進む味」を具象化したみたいな料理だ。
1パックに2袋入っているのだが、去年はじめて食べたとき、そのあと一日中、もう一袋をどのタイミングで食べようか、ということしか考えられなかった。
このしびれ系麻婆豆腐とHOT系な辛さの華正樓四川風麻婆豆腐を合わせたら、一体、どうなっちゃうんだ!?
おいしいものはたくさん口に入れたい。チーズバーガーよりダブルチーズバーガーのほうがうれしい。みんなそうだと思う。
カレーがいいなら麻婆豆腐もいいじゃない。いまこそあいがけをするとき。
華正樓の四川風麻婆豆腐をレンチンし、かかんの麻婆ソースを手順通りに温める。ほかほかの玄米で土手を作り、両端に麻婆豆腐を盛り付ける。
そうしてできたのが、こちらです。
豆腐の存在感に圧倒されるという初めての経験をしている。おいしい香りに包まれて気分は最高潮。
ひとくち、華正樓の麻婆豆腐を食べ、つづけてかかんの麻婆豆腐を食べる。う、うれし~~~~!!
どこを食べてもそれぞれ辛くておいしい。うれしいな~!
どんどん食べられちゃうな~ありがたいな~!
……。
各麻婆豆腐を1人前ずつ使っているので、麻婆豆腐2人前を同時摂取している。
このところ、油っ気の強いものを食べるとお腹がすぐに悲鳴を上げるようになった。先日豚トロの卒業式を行ったばかりだ。
おいしい。でもくるしい。半分ずつにすればよかった。
こんなにおいしいんだから食べきりたい。これは稽古だ。いついかなるときもおいしいものをおいしく食べるんだ。
ひとくちひとくち、時間をかけながら味わう。
お腹がいっぱいなわけではないのでおいしく食べることはできる。
昔から、自分の食べられる見込みではなく、お皿に合わせて料理を盛る癖があった。
料理をしていくうちになんとなく見積もれるようになってきたと思った途端、体質の変化でレートが変わってしまった。人生はむずかしい。
あいがけ麻婆豆腐ver.0.1、うれしいと苦しいが同居するドラマティックな一品となった。
来月あたりに一人で粛々とver.0.2をリリースしようと思う。ずっとうれしいがつづくといいな。
華正樓は看板商品である肉まんも、当然のことながらめちゃくちゃにおいしかった。
大ぶりなお肉とシャキシャキのたけのこをもふもふでほんのり甘い生地と一緒に頬張る。アタシ、アンタのためならなんでもするよ。
華正樓は日本橋や新宿の高島屋にも入っていて、そこでも肉まんやお惣菜を買うことができるようだ。やったね!
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