特集 2022年6月7日

お弁当が重いと人は笑う

とあるのり弁専門店のお弁当が重い。

店頭で受け取ったとき、思わず笑ってしまうほどだった。

そこでこんな仮説を立てた。

人は重いお弁当を受け取ると笑顔になるんじゃないか。

これは、そんな説を立証するために試行錯誤した大人たちの記録です。

1993年東京都生まれ。与太郎という柴犬と生きている普通の会社員。お昼休み時間に事務員さんがDPZを見ているのを目にしてしまい、身元がバレないかハラハラしている。

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のり弁専門店・いちのや

まずのり弁専門店・いちのやについて紹介させてください。

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ここ新橋烏森店。暖簾の主張がすごい。

きっかけは1年ほど前のお昼のラジオ。
ハライチ岩井さんが絶賛していて、興味本位で買ってみた。

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海苔弁(税込み1080円)。パッケージもシンプルながら迫力がすごい。
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中身はこんな感じ。肝心なのりが見えないのに、具材でのり弁だな、とわかる。
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ファミマののり弁と比べると具材の大きさの差が一目瞭然だ。そして余白がない。

九段下に本店を構え、新宿や赤坂、日本橋にも店舗があるようだ。

はじめてこれを買ったとき、私はあまりの重さについ笑ってしまった。

このお弁当、ずっしり重いのだ。

祖母の家にお土産で持っていったところ、受け取った祖母も笑っていた。なお、小食の祖母は3日間かけて完食したという。

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重さは550グラム。お米がぎっしりと詰まっているからだろうか。

550グラムのお弁当を手にした瞬間、私も祖母も笑顔になった。

お弁当を受け取ると、人は笑顔になるのだ。

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ピンと来てもらえなかった!

重いお弁当を受け取ると人は笑顔になる。その仮定を検証すべく向かったのはデイリーポータルZ編集部のオフィス。

ライターの高瀬さんが悪魔の食べ物をふるまってくれるというので、ここぞとばかりに「お弁当を持ってもらいたい」とお願いをしたのだ。

ランチのお弁当を受け取るようなていで、いちのやののり弁を持ってもらう。

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月餅:今日のお昼、ちょっといいお弁当用意したのでどうぞ。

高瀬さん:ありがとうございます(受け取る)……。

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受け取る高瀬さん。重さにはあまりピンときていない様子

実は比較として、事前にファミマのお弁当を受け取ってもらったのだが、そいつがそもそも、そこそこ重さがあった。

これは完全に作戦ミスだ。

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いちのやが550グラムに対して390グラム
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重いです、と先に伝えてみる

ちょうど旅ラジオの収録終わりだったSatoruさんにもご協力いただいた。 

ここから、事前に「重いお弁当を渡します」と先に伝えることにした。

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Satoruさん:うん、これは重い。もうすでに食べた気になりました。

ちょっと昔のCMのようなコメントをいただいた。いきなり「これ重いんです」とお弁当を渡されて、カメラを向けられたら人間はこうなるのかもしれない。

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安藤さん:あああ~なるほどね~!なんか密な感じがしますよね。

みんな大人なので、ちゃんと「たしかに」とか「なるほど」とか言ってくれる。大人ってえらい。

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もう一度、事前情報なしで渡す

焦ってきたところで、何も知らない大北さんが来た。
とりあえず情報を何も入れずに渡してみる。

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今日のお弁当です!どうぞ!

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大北さん:ありがとうございます。……うわ~なぞなぞ。なぞだ~

これが普通の人間の反応である。

月餅:お弁当が重いと笑顔になるんじゃないかって思ったんですけど……。このお弁当、重くないですか?

大北さん:ああ~~!!なるほど……あ~~なるほど……!

今、私は、大人にお弁当を渡し、気を遣わせるという実験をしているのかもしれない。

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「インチキ弁当をつくればいいんじゃないですか」

筆者の思い出の中では3倍くらい重いつもりだった。しかし、現実には普通のお弁当と、用意した重いお弁当の差はたったの160グラム。

このままじゃ企画倒れだ。せっかく付き合ってもらっておいてこれじゃ申し訳が立たない。どうしよう。

打ちひしがれていると、同席していた石川さんがつぶやいた。

「インチキ弁当をつくればいいんじゃないですか」

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旅ラジオの収録に使っていたマイクと土台。
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土台を乗せる​​​​​。おそらく3キロくらい。インチキ弁当の完成だ。

 このインチキ弁当を、今度は私に渡してもらう。

 

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大北さん:すべての記憶を消してもらってもいいですか

月餅:はい。

とんでもないセリフだが、やっている本人たちはいたって真剣だ。

お弁当に関する記憶を消し、自然体でお弁当を受け取る心を整える。

 

大北さん:今日のお弁当でーす。

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ズンッ

手を離された瞬間、とんでもない重さが腕にのしかかる。

これ、一人で食べるのか。

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思わず笑いが出る。やっていることがめちゃくちゃだからかもしれない。

 そのままバケツリレーのように高瀬さんに渡す。

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高瀬さん:ほんとにお弁当かなって思いますね

大北さん:トレーニング器具かなってなりますよね

高瀬さん:笑っちゃうは笑っちゃいますね

月餅:お弁当ですって言って重いものを渡すゲームになってる 

重りを2つにしたお弁当を石川さんに持ってもらった。

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石川さん:あーでもちょっとわくわくはしますね

重さを確かめるためにみんなお弁当を上下させる。お弁当筋トレだ。

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重りを2つ乗せたお弁当。およそ3.5キロ。ほぼチワワである。

食べ物じゃないものを食べ物だと渡されて笑っているのか、単に重いものを持つと人は笑うのか。そこまではわからない。

しかし写真に映るみんなの顔はまばゆいほどの笑顔。それだけで十分だ。そう思うことにした。

ありがとう、いちのや。ありがとうマイクの重り。

機会があったら重いものをお弁当として人に渡してみてほしい。きっと笑顔になってくれるはずです。

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