あの富士山はどこからの眺望?
さっきから「あの、あの」としきりに言っているけれども、ピンとこない人も多いかもしれないので、検索した画像を見てほしい。Googleがこちら。
ついでにBingの画像検索だとこちら。
平等院鳳凰堂や金閣寺、東京タワー、姫路城、歌舞伎町、宮島あたりの、われわれでもどこかわかるような超有名ランドスケープに混じって、いったいどこからの風景かよくわからない「富士山をバックにした五重塔の景色」がかなりの確率で混じっていることがわかる。
富士山が見えているから、山梨か静岡だろうことは想像できるが、どこからの風景なのか、ビシッと答えられる人はあまりいないだろう。
調べると、この景色は山梨県富士吉田市の新倉山浅間(あらくらやませんげん)公園からの眺望らしい。
Googleの画像検索で出てきた画像のうち、左上の画像(地図や国旗を除く)から順番に20番目まで、どこの写真かを調べ、1番目から20番目までそれぞれ1位20点〜20位1点として点数をつけて評価したところ、以下のようになった。
金閣寺や宮島といった日本人なら誰でも知っている場所を抑え、ネットの画像検索では、新倉山浅間公園の画像が上位20点中4回も登場しており、合計54ポイントでGoogle画像検索に登場する日本の風景としてはダントツとなっていることがわかる。
日本人のほとんどが、どこからの風景かよく知らない新倉山浅間公園が、いつのまにか日本を代表するランドスケープとなっているといえる。
新倉山浅間公園とは一体どんなところなのか。
新宿から高速バスで約2時間
新倉山浅間公園へは、公共交通機関で行く場合、東京からだと電車を乗り継いで富士急行線の下吉田駅から行く方法と、新宿から大量に出ている河口湖行きの高速バスに乗る方法があるが、今回は新宿から高速バスに乗って向かうことにした。
バスに揺られること1時間40分ほど。中央道下吉田バス停で下車する。出発時の東京は晴れていたものの、富士吉田は曇りがちで、風が冷たかった。
バス停では、ぼくの他に数人の人が降車して行ったが、いずれも外国人であった。そもそも新宿から乗車した時点で、ぼくの勝手な見つもりではあるけれど、乗客の8割ぐらいは外国人観光客のようだった。
忠霊塔に向かう
停留所の周辺には「忠霊塔」までの行き方が丁寧に案内されている。
忠霊塔……つまりあの写真の右側に写っている五重塔への案内がいたるところにある。挙句の果てには道路の上にもプリントしてあるという充実ぶりだ。
トイレに行くため、下吉田駅に寄ってみたところ、駅前には多数の外国人観光客の姿があった。
英語と中国語による忠霊塔までの、新しめのルート案内板が、外国人観光客の急増ぶりを物語っているようだ。
観光客でごった返す新倉山浅間公園
駅から20分ほど歩くと、忠霊塔のふもとに到着。
忠霊塔までは、まっすぐに坂を登る階段か、つづら折りの坂を登るスロープのふたつがある。いずれも新倉富士浅間神社を経て、忠霊塔に向かう形になっている。
398段あるという「咲耶姫階段」を、ヒイヒイいいながら登りきると、あの、忠霊塔がズドーンとある。
忠霊塔の案内看板によると、この塔は富士吉田市戦没者慰霊塔というのが正式名称で、日清、日露、第一次、第二次と、明治以降の戦争で亡くなった郷土の人たちを慰霊するため、1962(昭和37)年に完成したという。つまり、2023年で完成から61年ということになる。
建立から61年といえば、五重塔界隈ではまだまだ若手ということになるかもしれないが、富士吉田市民には桜の名所として昔から親しまれていた。