特集 2018年11月15日

コスプレグッズの「ひねり芸」を堪能する

コスプレグッズの商品名の世界が面白い。

怒涛のハロウィンウィークが過ぎてからだいぶ時間が経った。だが、クリスマスや忘年会が控えているせいか、ドン・キホーテのコスプレグッズ売場はまだまだ盛況だ。

そんな売り場を眺めていると、あることに気が付いた。
コスプレグッズのパッケージって、元ネタのキャラクター名をひねってボカす傾向があるのだ。そしてこのひねり具合がすごい。どんなものがあるかを調査して、自分でもやってみたい。

1987年兵庫生まれ。会社員のかたわら、むだなものを作る活動をしています。難しい名字のせいで、家族が偽名で飲食店の予約をするのが悩みです。(動画インタビュー

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まずは商品名を見てほしい

早速買ってきたコスプレグッズがこれだ。

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スター・ボーイである。

はっきり言おう、どう見てもマリオである。
しかしこれはあくまでスター・ボーイなのだ。
確かになぜかスターを連想する格好だし、見たままにボーイである。

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より連想しやすいキノコが背景にいるの、巧みじゃありませんか。

コスプレグッズ売り場を眺めてみると、こういった商品名が多くて面白いのだ。
文字列そのものではわからないが、衣装の見た目と合わせて見ると「あー、そういうことね!」と思わされること請け合いのひねり具合なのである。

これ、ちょっと調べる必要があるんじゃないだろうか。
使命感に駆られ、売り場でメモを取りに取った。

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結果がこちらである。全部で63件集まった。

1つ1つが唸るようなネーミングセンスだ。
これを細かく見ていきたい。

※表中で「元の作品名」「元のキャラクター名」と書いているが、あくまで筆者が予想したものであるということを念押ししておきたい。ここからはそんな予想の範疇で感想を述べていきますよ。

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ディズニー、任天堂の強さよ

誰でも知っているキャラクターほどコスプレの需要がありそうだ。
そういう意味では、やはりディズニー、そして任天堂のキャラクターが挙げられるだろう。

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ディズニーのキャラクター、といってもおとぎ話がベースになっているものが多く、定番のコスプレグッズといえるだろう。
その商品名もストレートに言い換えているものが多い。

白雪姫の「スノーホワイトガール」「スノーホワイトプリンセス」「マジカルスノーホワイト」などはその最たるものだろう。この商品名だけを見ても「あぁ、白雪姫かな?」と思い当たる気がする。

また任天堂の誇る世界的なキャラクター、マリオの人気もすごい。
こちらは帽子(レッドキャップボーイ)や配管工(レッドプラマーボーイ、プラマーは配管工の意味)といった象徴的な単語が使われている。

一方ポケモンの主人公・サトシ。彼自身ははっきりした特徴があるとは言いづらい。
なので、ポケモンから要素を持ってきてひねっている。

ポケッツ少年」は別にポケットがたくさんあるズボンを履いているわけではないのだ。
キャラクターと作品それぞれから要素を持ってきてひねる、というテクニックもあるのが面白い。

ひねりでいうとこれも面白い。

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0点小学生である。

のび太だ。

10人いたら10人がそう言うのではないか。

「0点」と「小学生」、このワードが組み合わさるだけで「のび太」というキャラクターが立ち上がってくるのだ。
特徴の抽出がうますぎるだろう。見事な連想ゲームである。

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忘年会の定番、芸能人・著名人枠

アニメのキャラクターだけでなく、芸能人や実在した偉人などのコスプレグッズも多い。きっと忘年会で使われるのだろう。

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流行りの芸人が多くいるのが特徴か。

今年は「ブルゾンちえみ」「ひょっこりはん」が多いようだ。
キャリアウーマンひでみ」は言い換えのお手本みたいな商品名だろう。

ひょろっとくん」は語感が似すぎているし、パッケージに載っているモデルもひょろっとしていた。その手があったか!と思わず膝を打ったほどだ。
一方「ひょっこりさん」はかなり攻めている。
何しろ「ひょっこりはん」は公式でコスプレグッズを売っているのだ。
これらが並んで売られているのである。すごい業界だ。

ベテランナレーター」は声優・野沢雅子のモノマネをするお笑い芸人のコスプレらしい。コスプレのコスプレだ。コスプレグッズ業界に多段構造が起きているぞ。

実在の有名人でいうと、これは見事と言うほかないものもあった。

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変顔王 HENKINである。
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HENKIN。

YouTuberのHIKAKINのマスクだ。変顔が子どもたちに大人気でもある。
すごいのは、「変顔王」=「HENGAO KING」略して「HENKIN」という名前である。
字面がHIKAKINっぽいだけでなく、変顔が有名という特徴まで盛り込んでいる。
名前を思い付いた人はガッツポーズしたのではないか。

ちなみに本人はどう思っているのかな、と気になりYouTubeを見てみたら、大量買いして「(自分には1円も入らないけど)みんな買ってみてください!」と言っていた。
なんていいやつなんだ、ヒカキン…。買ったよ、今まさに。

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なんとなく見えてきたぞ、パターンが

63種も見ていると、なんとなくこういうパターンがあるなというのが見えてきた。
そのひとつが、「特徴+ボーイ、ガール」だ。

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男か女か、に特徴を足すだけでなんとなく言い換えている感じになる。
特徴をひとつ見つければいいので、命名難易度としては初心者向きなのではないか。

また、「もう見た目のことしか言わない、しかもざっくり」というパターンもあった。

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すごい

ドラえもんが「ブルータイツマン」に、ジャイアンが「オレンジ少年」になるのだ。

かなり遠くないか。「Bの中でAと関係が深いものを線で結べ」という問題があったら、結ばなそうな組み合わせだ。

さらにハイレベルな商品名として、「ひねってさらにひねる」というパターンがあった。
こちらが一例である。

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ブラックヒーローだ。

ご存知バットマン。数あるヒーローの中でも「ダークヒーロー」として有名だ。
つまり「バットマン」→「ダークヒーロー」→「ブラックヒーロー」という変遷をたどっている。
この回りくどさはすごいぞ。

さらにすごいのは胸のマークだ。

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へこんだ四角形になっている。

コウモリではないんだ、コウモリでは。
これは工夫の賜物なのではないか。アハ体験である。

当サイトの編集長である林さんが、安い栄養ドリンクをイベントの差し入れに持ってきたことがあったが、そのパッケージには「大きなVのマークに見えるただの図形」が描かれていた。あれと同じだ。

商品名の命名パターンをざっくり分けるとしたら、3つくらいになりそうだ。

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例を挙げるとこのような。

キャラクターの特徴から別の言葉を付ける「連想」、キャラクターの見た目から付ける「容姿」、似ている語感や敬称を付ける「言い換え」、と呼ぶようにしよう。
この軸で考えることで、それっぽい名前が命名出来るんじゃないか。

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自分でパッケージを作ってみよう

なんとなくパターンを見出したところで、自分でも作ってみたい。

過去の写真でコスプレしているものはないだろうか…と探すと、去年の地味ハロウィンの写真が出てきた。

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ジャパネットたかたMCの仮装である。

ジャパネットたかたの番組を見るのが本当に好きなので、その仮装をしたのであった(ちなみにこれは炊飯器を売るMC中島さんです)。

これをコスプレグッズのパッケージにしてみるとどうなるのか。

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「佐世保バイヤー」だ。

ジャパネットたかたといえば長崎県は佐世保の大企業である。「連想」だ。
MCはバイヤーとは違うが、それっぽいので「言い換え」としておこう。

本家のようなキャッチコピーを入れるとそれらしくなる、という発見もあった。

続いてはこれだ。

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ARで屏風から虎を出す」より、足利義満だ。

以前書いた記事で一休さんにしてやられる将軍さまの仮装をした。
ものすごく雑なコスプレになったが、まさか役に立つときが来るとは。

というわけで、

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「とんち将軍」のコスプレグッズが出来た。

記事では将軍がスマホを使って屏風から虎を出す、ということをやったので、なぜかスマホを持つという構図になってしまった。
ただ、背景は写真よりもイラストの方がそれっぽくなることがわかった。どんどん知見を得られていくな。

さらに自分なりのコスプレグッズを作りたい。
ホラー映画のリングのロケ地となった場所に、先日たまたま泊まることになった。

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奥多摩にあるロッジ。設備が整っていて快適。

このロッジには劇中でも出てくる井戸があったり、ぽつんと室内にテレビがあったりと、ファンならたまらない設備があるのだ。

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ということで、もちろん貞子の格好をせざるを得ないだろう。

期せずして仮装のバリエーションが増えた。
これをひねったらどうなるだろう。考えた末にこうなった。

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きっと来る女」だ。

「ロングへアーガール」「呪いのビデオガール」なども候補に挙がったが、貞子と言えば「きっと来る」なのではないか。
テレビと記念撮影すれば、出てきたばかりのようにも見える。

実際の使用例まで盛り込むと、さらにそれらしくなることもわかった。
今度のクリスマスでは、街中でテレビと記念撮影する貞子のコスプレが見られるかもしれない。


奥深いコスプレグッズ商品名の世界

商品名を考える遊びはかなり楽しかった。つかず離れず、ほどよい距離感を見極めるのが難しい。
これの企画会議に参加してみたいと思った。絶対楽しいだろう。
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しかしこれらはこのあとどうしようか。
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