参加できるのは2024年3月まで
今回参加した国立競技場スタジアムツアーは現時点では2024年3月までの期限付きの実施となっている。ぜひこの機会に勝者となって華麗なヴィクトリーサインを決めてほしい。
昨年の夏に開催された東京オリンピックが閉幕し早くも10か月が経つが、実は今年の4月からメイン会場になっていた国立競技場のスタジアムツアーが始まった。
オリンピックのあれこれが落ち着いたいま、改めて国立競技場を堪能するのには良いタイミングではないだろうか。しかもスポーツ選手がよくやるカメラに向かってサインするやつが体験できるらしい。
これは行くしかない。
というわけで国立競技場スタジアムツアーに参加してきたのでその一部始終をお伝えしていきたい。
スタジアムツアーは日時予約制だが中に入ってからは自由見学なので自分のペースで見学することができる。
さっそく中に入っていこう。なおマスクをしていない写真もありますが撮影時にのみ外していてそれ以外はきっちりマスクをしています。
主な要素としては芝生とトラックとスタンドなので他の競技場と大きく違うところはないのだが、竣工前からメディアでもたくさん取り上げられていたしオリンピックでも何度もテレビで目にしたので、あの競技場を生で見られた!という喜びが大きい。
筆者は中学・高校で陸上部に所属していたので競技場には懐かしさを感じてしまう。タータン(合成ゴムで出来た赤い地面)の独特な匂いが当時を思い起こさせる。
むろん県大会はおろか予選決勝にも進めない弱小プレイヤーだったためこんなに立派な競技場は初めてだ。「国立」ともなるとやはりスケールがでかい。
陸上競技場のトラックは一周400mが標準だが、600mくらいあるように見える。
一通り国立競技場の迫力と細かい配慮を堪能したところで、このスタジアムツアーでは様々なフォトスポットが用意されているのでバシバシ写真を撮っていきたい。ウサインスタ・ボルトになろう。
フィールドだけではなく選手や監督にインタビューを行う際に使用されるフラッシュインタビューゾーンにも入ることができる。
と、まぁ全体的に勝者の雰囲気を出しまくれて気持ちいいのだが、その極めつけが「スポーツ選手がカメラにサインするやつ」なのだ。
スポーツ選手がカメラにサインするやつ(ヴィクトリーサイン)が分からない人もいると思う。こういうやつだ。
ライター爲房さんがほぼ錦織圭になっている。
日常生活で大型のカメラを自分にむけられることがそもそもないが、そこにさらにサインまでしてしまうとは、これぞ勝者の極みだ。勝たないとやっちゃいけないやつだよこれは。
それを何にも勝ってないのに出来てしまう、それが国立競技場スタジアムツアーである。
残念ながら錦織圭のようにカメラは近づいてきてくれず、自分でカメラに近づいていくスタイルだ。それくらいは仕方ない、だって何にも勝ってないから。
そしてこのカメラが撮った一連の映像はQRコードからスマホに保存できる。できあがった映像はこちら。
自動で音楽までつけて盛り上げてくれる
自分がサインしているところをカメラ側の視点で見るのはなかなか新鮮で、普段まずないシチュエーションなのでテンションがあがる。これで筆者も勝者の仲間入りだ。
しかし残念ながらオーラは素人感まるだしでぜんぜん勝者慣れしていない。まぁ何にも勝っていないので当たり前だ。やはり本物のスポーツ選手のかっこよさと自然さはリアルな勝者にしかないものなのだ。
スタジアムツアーに訪れたら競技場内だけでなく競技場5階外周部にある「空の杜」の散策もおすすめだ。
風向きによって競技場のタータンのにおいが空の杜まで漂ってくるのでここを歩いているだけで国立競技場の雰囲気を感じられてよい。ランニングは禁止だが、アスリート気分が勝手に高まってくる。
実はこの謎の円形、相撲場だ。ここで本場所も行われたという。そしてゴルフ練習場もまもなく閉鎖され、この場所にはラグビー場が移転することが決まっている。
相撲→野球→ゴルフ→ラグビーと競技が移り変わりつつも一貫してスポーツの舞台となっているのは土地の因縁を感じさせて面白い。このあたりには”スポーツの気”が渦巻いていてそれもアスリート気分を高めてくれる要因だったりするのかもしれない。
せっかくなのでもう少し周辺を見て回ろう。
新しい設備や表示だけでなく、建て替え前のモニュメントもちゃんと残されており、往年の国立競技場ファンも楽しめる。
さらに競技場の北側、大江戸線の国立競技場駅あたりにはちょっとしたせせらぎと緑のビオトープ的な空間が整備されている。
これはもしかして…と予感がして昔の地図を調べると、やっぱりそうだ、ここには以前川があったのだ。
この川は新宿御苑を水源とする渋谷川である。今は渋谷駅までの区間は完全に暗渠化されているが、新しい国立競技場と共に渋谷川の記憶が地表によみがえったわけだ。
建て替え前のモニュメントを設置するだけでなく、渋谷川の記憶までも掘り起こしてしまうとは、国立競技場なかなかやるな。
そして川があったということは、次にどうしても気になってしまうのは地形である。渋谷川が流れていた西側と東側を比べてみよう。
やはり川があるところには谷がある。外苑西通りは渋谷川がつくった谷筋で、その脇の山のはじっこにあるのが国立競技場というわけだ。建物のスケールが大きいこともあり、今までそういう風に見たことがなかったが、改めてそう思って見てみると迫力が増す気がする。
今となってはその高低差はほとんど意味のないものになっているとは思うが、さきほど載せた相撲場があった時代には山のはじの傾斜を活かして競技場の観覧席が作られていたようだ。
そういう過去を知って改めて新しい国立競技場をみると歴史の積み重ねがひしひしと伝わり、そんな場所でヴィクトリーサインを体験できてしまうありがたさを感じずにはいられないのであった。
今回参加した国立競技場スタジアムツアーは現時点では2024年3月までの期限付きの実施となっている。ぜひこの機会に勝者となって華麗なヴィクトリーサインを決めてほしい。
取材協力:国立競技場スタジアムツアー
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