もしかして、料理に使える?
スーパーのソーセージやハムなんかのコーナーによくある、「合鴨スモーク」が好きなんです。
各社からいろいろな名前で出ていますが、たいてい200g弱くらいのボリュームで、値段が300円前後とリーズナブルで、カットするだけでめちゃくちゃいいおつまみになるんですよね。居酒屋のお通しとかでもよく見かけます。
いつもはたいてい、0.5cmくらいの幅にカットしてそのまま食べています。しっかりと脂身もあるので、一度に全部は食べきれず、1/3とか1/4ずつを数日に分けて食べるので、長く楽しめる。なんとも優秀な一品。むしろ、こんな美味しいものがこんなに気軽に買えていいんだろうか? と、毎回疑問に思うレベル。
ところで先日、そのまま食べるのにほんのりと飽きがきてというか、単なる出来心でというか、カットした合鴨スモークを数枚、フライパンで焼いてみたんです。
そうしたらですね、すぐに身から脂があふれ出しまして、それがもう、もう若干引いてしまうくらいの量だったんですよね。
これをそのまま食べてみたところ、香ばしさが加わり、当たり前のように絶品でした。
ところでその時に思ったんです。今まではそのままでしか食べてこなかった合鴨スモーク。こんなに脂をたくわえているならば、煮込んでもいいだしが出るんじゃないだろうか。つまり、普通に鍋などの具材としても使えるんじゃないだろうか、と。
ものは試しと、そこに水を加えて煮立たせ、まずは味見。すると、もともと味つけされた肉ではありますが、煮込んだつゆに塩味がつくというほどではありません。が、完全にいいだしが出ている。
そこで麺つゆ適量と、冷蔵庫にあったあまり野菜を加えてみたところ、笑っちゃうくらいの旨味の大洪水で。
どん兵衛の「鴨だしそば」を鴨増しに
あ、これは可能性あるなと。
そこで今回は、合鴨スモークの料理用食材としての汎用性についてを掘り下げるべく、何品かの料理を思いつくままに作っていってみましょう。
あ、ちなみに前提として「合鴨」は、マガモとアヒルの交雑交配種でありますが、あくまで家庭でお手軽に楽しむ趣旨ですので、今回はざっくり「鴨」ということですすめさせていただきます。
そんなことを考えながら過ごしていたある日、コンビニでカップの「鴨だしそば」なる商品を見つけ、買ってみました。これにスライスした合鴨スモークを数枚加えれば、超お手軽に本格鴨南蛮そば風が作れのではないかと思って。
そこでまず、カップに記載の規定料のお湯を沸かし、公式の作りかたとは異なりますが、そこにつゆのもとを入れてしまいます。
すでにものすごくいい香りと、ほどよい脂感。ちょびっと味見してみると、そもそものつゆとしてクオリティーが高すぎてびっくり。が、今日はそこへ、合鴨スモークを投入してしまいましょう。
すると、見た目からしてとろ〜りと濃厚な、あきらかにインスタント食品らしからぬつゆが、ものの1、2分で誕生してしまいました。
この時点でまた少し味見をしてみると、これがまたとんでもないまでの旨味。ほんのりとスモークの香りも加わりますが、違和感があるというほどではないかな。
このつゆをカップに注ぎ、3分間待って、
まずはスープが、むせかえるように鴨。ちょっとした衝撃体験です。肉自体の旨味も抜けておらず、適度な歯ごたえで満足感がありますね。というか、さすがに旨味が濃すぎるので、鴨はもっと少なくてもよかったかもしれない。3枚くらいでじゅうぶんかも。
で、びっくりしたのが、僕、どん兵衛は大好きなんですが、基本的に“うどん派”なんです。カップのそばを買ったことがあまりなかった。ゆえに、その進化というか、麺自体の本格的な味わいにもびっくりしてしまいまして。
そのちゃんとうまいそばをすすりこんだ瞬間、超濃厚な鴨だしの香りが口いっぱいに広がる。これはすごい……。
今回はあえてカップのまま食べてみましたが、それなりの器に盛りつけたら、もはやそば屋ですよ。
鴨ねぎ鍋がこんなにお手軽に
続いては、鴨といえばの「鴨ねぎ鍋」を作ってみようと思います。
酒少々と水を張った鍋に、
さて、これまでめんつゆやカップ麺のつゆのもとで作ってきた料理たちは、ちょっと旨味が過剰すぎた感がありました。そこで今回は、味加減を見つつ、醤油と砂糖少々のみで上品めに味つけ。
するとこれが、今まででいちばんいい!
鴨脂をたっぷりと吸ったねぎと豆腐が大ごちそうに化けているし、味つけを自分で調整したから、重たさやしつこさもなし。なぜか今まででいちばんスモーク感も薄く、肉も適度に柔らかい。
この季節ならば、柚子なんかをのせたらさらにいいだろうし、柚子胡椒をはじめとした調味料もいろいろと合うと思います。
生肉よりは気軽に冷蔵で保存できる市販品と、豆腐やねぎだけでこんな滋味深い料理ができてしまうなんて、こりゃあいい発見ですよ。
ちなみにこの黄金に輝くつゆ、捨てるのは忍びないですよね。そこでいったん冷蔵庫で保存し、翌日、シメの一品を作っていきます。確実に会うのはそばやおじやもいいよな〜と思いつつ、今回は、しっかりと煮込んでこのつゆをたっぷり吸ったうどんが食べてみたい気分。
うっとりの美味でございました……。