2020年で妙に印象に残った記事を教えてください。年末にあたって今年公開した記事を振り返るべく募集したところ、たくさんの、それはもうたくさんの投稿をいただきました。
ありがとうございます。お葉書で募集していたら事務所が破裂するところでした。フォームでよかったです。
ITのおかげで破裂していない場所からこうしてまとめをお送りできます。
読者の方からのどんなところが印象的だったのかコメントに、寄稿ライターがお返事しました。
進行は編集部の古賀です。
読者のみなさんの懐に入った記事を選びました
冒頭でご紹介のとおり、たくさんの投稿をいただきました……!
全部をご紹介するわけにはいかない数となったため泣く泣く、応募してくださった方により近いものをご紹介することにしました。
近さ、例えばこういうかんじです。
時空の裂け目に飲まれたい 〜大垣ミニメイカーフェアへの道(林 雄司)

裂け目のある場所が近所の緑道っぽかったので、今後気をつけなきゃなあという感じでした。あの辺は
コブラも出没するそうですね。(いたもと)
あの緑道、金木犀が2m間隔で植えられていて秋になるとものすごい匂いですよね。どうしてあんなに植えたのか区役所に取材しようかと思ってました。(林)
看板は人生のハイライト〜あの「きぬた歯科」にインタビューしてきた(谷頭和希)

実家の目の前に正にこの記事の通りの「顔バーン!(文字情報無し)」の看板が立っています。この記事を読んでいた時にも自分の目の前に電車の車内広告(紙&デジタル)があり、混んでいる車内で必死に笑いを堪えました。
表情が怖くてあまり好きではない広告でしたが、記事できぬたさんの人となりを知ることが出来、親近感が湧きました。コロナが流行りだし、心が荒んだ時に笑わせてもらった、印象的な記事です。(きぬた歯科には行ったことはない)
ペンネーム「きぬた歯科には行ったことない」さん、ありがとうございます!実は自分も取材がリモートだったので、実際にきぬた歯科には行ってないんですよね。といっても、コロナでのリモートではなく、たまたま海外にいるときに取材したからリモートなのでした。その後すぐにコロナが始まったので、今思えばリモート取材を先取りするような取材だったなと。
ちなみに、コロナにも負けず、看板は堂々と立っています。このまえ、明大前駅にいったとき、きぬた歯科看板が一気に3つ見られるポイントを発見してテンションMAXになったのでした。ひとの人生をそんなところで感じられるなんて素敵ですよね。
これからもよろしくお願いします!(谷頭)
チャーハンは自由だ(江ノ島茂道)

知ってる店が出てきて「おぉ!」と思ってたら江ノ島さんがカツアゲにあっていてビックリしました。(とみ)
大人のカツアゲはびっくりするぐらいダメージを受けるので、カツアゲするみんな、やめような。(江ノ島)
保谷駅前のプレハブ風飲み屋街の今(パリッコ)

自分は保谷駅ユーザーなので、記事に取り上げられてる飲み屋はほぼ毎日見かけています。よもやデイリーポータルに自分の近所が掲載される日がくるとは思わず、大変驚きました。
あの飲み屋、気になってはいたのですが、何分大変ローカルな見た目なのもあってなかなか入りづらかったので、記事で中の様子を見ることができてよかったです。
パリッコさんが訪れることが出来なかった「やきとり 新ちゃん」は、何年も前から営業開始時間も遅く(21時以降じゃないと開店してなかったと記憶しています)、いつ閉店してもおかしくないとは思ってましたが、本当に閉店から店がなくなるまであっという間でした。
地元民としてはあの店が最後ちらっとだけでもデイリーポータルのアーカイブに残ってよかったなあと思っています。(匿名)
とても思い出深い取材だったので、選んでもらえて嬉しいです!
貴重な地元情報もありがとうございます。2度めに保谷に飲みに行き「やきとり新ちゃん」がなくなっているのを見た時は、一瞬何が起こったのか理解できませんでしたが、それが自分とそのお店との縁だったということでしょうね。
残っている2軒はどちらも本当に良いお店だったので、また保谷におじゃましたいと思います! (パリッコ)
香川県の隠れた名物「かしわバター丼」を食べたい(江ノ島茂道)

学生時代を含め5年間高松に住んでいながら前を通り過ぎるのみだった武内食堂。
うどんにまみれた生活しか記憶にないのですがこの記事のインパクトによってこの先数十年後にはかしわバター丼も青春の思い出の味として懐かしむことでしょう。食ってねえのに。(餅)
食いなよ。(江ノ島)
岐阜の官庁街は急にポツンとある(ライスマウンテン)

岐阜県出身です! かつ父は県庁勤めでした。岐阜市役所は市街地にあるため、「市役所は駅の近くに、県庁は駅から離れた広いところにある。」が当たり前だと思っていたので、記事を読んで「異様な光景に映るんだ…」と衝撃でした。
岐阜駅から自転車で訪れたことも驚き。岐阜県民でそう行く人はたぶんいません。なかなか帰省できていないこの頃、懐かしい景色でした。(りんごじゃむ)
逆転の発想といいますか、住民ならではの御意見なるほどです!岐阜の県庁を選んだのは理由があり、実は岐阜と茨城しか駅から遠くののどかな場所に県庁がないそうで。昔はもっと素朴だったそうで、行きたかったです!(ライスマウンテン)
ドキュメント・東京から自転車で海に行く10時間の記録(江ノ島茂道)

財布がない、というところばかり覚えています。あと、長後は友人が住んでいたり江ノ島は自分も自転車でよく行っていた馴染みのある場所です。(きのこ)
「財布は家に忘れて来たけど、地元の友人たちになんとかお金は借りて、江ノ島でご飯を食べるぜ!」と思って、連絡したのですが、友人たち全員用事があり、「ここには神も友もいない」と思いながら、江ノ島に行ったことも今ではいい思い出です。(江ノ島)
ネットやテレビを観ていると急に見知った場所が出た! ちょっとみんな来て! ってことありますよね。どこかですれ違っているかもと思うとロマンです。
それにしてもこのカテゴリは江ノ島さんが大活躍でした。
続いて物理ではなくイメージが交差したパターンもどうぞ。
ハイジみたいに着ぶくれして山に行って脱ぎたい(ナミノリ)

サッカーの試合を見に行く日がとても寒い予報で、どのぐらい着込んでいくか、これ以上着ぶくれしたらもうハイジ状態。などの話をしたあとに公開された記事だったので、タイムリーでした。(しかこ)
タイミングに感謝です!ありがとうございます!
着ぶくれハイジ、知っている人が多くて安心しました。
ますます寒くなり、私も毎日ハイジのように着ぶくれています。このお知らせをもらって、久しぶりに勢いよく脱いでみたのですが、静電気がすごかったです。もし説明書を作るときは、冬のガソリンスタンドでやってはいけません、と書かないといけないなと思いました。(ナミノリ)
マイナーリーグのチーム名が気になっています(べつやくれい)

自分でも大変気になっておりリサイクルショップで帽子を見つけると買ったりしてしまうので。アラバマ州ハンツビルの新しいチームがとってもオススメでべつやくさんに教えたかった。今回こうしてコメントできてうれしいです。
せっかく誘致新設してトヨタ出資でスタジアムまで作ったのにコロナでシーズン中止という前途多難なチームなのでぜひ応援してあげてください。(マッド鰐子)
アラバマ州ハンツビルのチームはこれでしょうか
https://www.milb.com/rocket-city
ゴミ箱に入ってなんか飛びたってるTrash Pandaかわいい!
あ、ハンツビルはアメリカ航空宇宙局の施設がたくさんあるからアライグマが打ち上げられてるのか。
今年はメジャーリーグも試合数を半分にしたりして大変そうだったけど、その下は当然もっと大変だったんですよね。
ビスケッツも試合はしてなさそうでした(インスタに試合の写真があがらなかったので)。
いつかマイナーリーグを見に行く旅がしてみたいものです。(べつやく)
わらじを履いて箱根の石畳を歩く(木村岳人)

床屋のおじいさんが「今の登山ショップにはわらじがないのに驚いた」と言っていて、一体わらじを履いて快適に登山ができるのか気になっていました。そんな中にとてもわかりやすい検証記事が出てきて感心しました。と同時に何も知らない状態でやってみたかったと少し悔しくなったり。(あわうみ)
記事の選出ありがとうございます。昔の人はこれで登山していたのだから凄いですよねぇ。沢登りでは今も現役らしいですが、さすがにもう登山ショップには置いてありませんか。確かにわらじは滑りにくいので石畳には良いのですが、いかんせん足への負担は少なくありませんし、今は滑りにくいシューズもありますので、わらじの出番はもうないのでしょうね。そんな中、わらじの機能を検証できてホント良かったです。(木村)
ちょうど気になっていたところに記事が! という奇跡。そこにはまれてうれしいです。
続いては、記事の興奮に行動が伴った嬉しいコメントたち。
逃げ切れるか!めんつゆバターごま油のうまさから(大北栄人)

今年はこれが群を抜いていました。何度も読み返しています。
大北さんらしい世相への目の付け所、古賀さん橋田さんを交えたやいのやいのの盛り上がり、そして見つからない答え。人類はめんつゆバターごま油に敗北したのでしょうか。
私も逃げ切れそうな食材を考えましたが思い付かず、主婦歴30年を超す料理上手の母に助言を求めたところ、記事を少し読んで「ひまだねえ!」と一蹴されました。(りんぬ)
まためんつゆかよ、またごま油かよ、そんあTwitterに流れてくるバズったレシピのやっかみ的なところが発端の記事なんですが、この記事を年初に書いて後半になると料理のお兄さんリュウジさん(Twitterでよくバズってた)のYouTubeとかよく見るようになりまして…なんか圧倒的多数を黙らせるのに割り切って使ってんだなーということもわかりました。めんつゆバターごま油から逃れられないことがわかったのなら、私達人類に残された道はただ踊ることしかないのではないでしょうか。この記事でみんなギャーギャー言ってるのはそういうことだと思います。お母様、そうなんです、暇なんです…!!(大北)
自慢をたのしく言いたいし聞きたい(與座ひかる)

自慢話をみんながwinで楽しむ手段を発見した所が斬新でした。
一人で通勤の電車の中で読んでましたが、すごくやってみたくなったのですぐにURLを自己肯定感低めの友達や夫に送って「今度やろうよ!」って言いました。(うめ)
ありがとうございます! たくさんやったという報告をいただきました。 自慢って基本いいことだなと思ったので、また私も合意をとってガンガンやっていきたいです。(與座)
うわさ話をするって、興奮がベースにあるものですよね。さらにもう一歩たどり着いたこちら。
ファッションは同じものを最低3枚、できれば5枚買うべき(地主恵亮)
私はあれこれ洋服を選んで着るのが苦痛でなにか楽になる方法はないかと思っていましたが、地主さんのこの記事を読み、洋服を買うときはとりあえず同じものを2着ずつ買うようになりました。これで結構楽になりました。
靴下に至っては同じものを10足買いました。 靴下って片方なくしたり、穴が開いたり、一対故の苦労があったのですが解消されました!! (あおつき)
ありがとうございます! 世界の、いや宇宙の真理に気づいていただけて嬉しいです。我々の生活には悩まなければならないことにあふれています。そんな悩みから解放される。私は「魂の救済」と呼んでいますが、その救済方法が同じ服などを複数買う、というものなのです。これだけで魂は救済されるのです。今後も同じものを買っていきましょう。それだけで人類は幸せになれるのです、そう、これが真理なのです 。(地主)
今日こそはふりかけをパッケージくらいかける(古賀及子)

というか、今、URL貼り付けたらput-a-lot-of-furikakeになっていて全記事調べたくなりました笑笑、昔からそうですか?結構長い読者ですが知らなかった…(損した気分)
と、取り直して、まず着眼点!言われてみればたしかに写真の量!そんなにかけるのか!と試したくなり、コロナ禍真っ只中、食べることだけが楽しみだったんでのりたま久々に買いましたよね。そんな思い出です。(fyuho)
記事のURLは2018年の10月中旬から自由なことになりだしました~!
コンパクトな記事ですが、のりたま買うところまで注目してもらえてうれしいです。商品パッケージが妙に好きなんですよね。いわゆる訴求に素直に胸を躍らせているので単純だなと思います! (古賀)
自動販売機のホットスナックを食べるためだけにホテルに泊まる(林雄司)

この記事を見る少し前にホットスナック自動販売機が失われる文明になりつつあると知り少し悲観的になっていたのですが、あっDPZがこんな自販機があったんだぞってインターネットに残してくれた!と嬉しくなった記事でした。その後ホットスナック自動販売機を探して色々食べたのは言うまでもありません。(ごぼ天のすけ)
ホットスナックの自動販売機がこの世からなくなったあと、あの記事はまるで絶滅した動物と戯れている昔の人の記録のようなものになるんですね。もう一度行きたくなりました。(林)
旅先のスーパーで買い物して、自炊する日々に憧れて(玉置標本)

旅先のスーパー最高!!!むちゃんこ参考になって真似…したいのですが玉置さんのレベルが高すぎてここまでのクオリティは無理そうです。けど自由に旅ができるようになったら何処かでチャレンジしたいと思います。(yukisks)
旅先での自炊、楽しいですよね。キッチンさえあれば、スーパーはすべて貴方の冷蔵庫。何を買うのも料理方法も自由だし。地酒もローカルジュース選び放題。口に合わなくてもそれは経験。またどっかで自炊旅やりたいですね。(玉置)
雪の宿をなめると聞こえる雪の宿の音(大北栄人)

はじめから終わりまで何を言っているのか分からなかったんですが、大北さんが本当に楽しそうだったので分からなさも込みで面白かったです。
読んだ後に自分も雪の宿を買って舐めてみると全部分かりました。それもまた面白かったです。(すみやま)
この記事わりと「何言ってるかわかんない」「これだけのことでよくこの分量書くなあ」と独走っぷりが指摘されますが、生活にひっかかってくる木材のトゲやささくれみたいなものをクローズアップして書くという通常記事です。
ただ題材が小さすぎるだろうと、そこは認めますが(デイリー記事においては)題材が小さいときが腕の見せ所ですから、丁寧に丁寧に大きく大きく書いたもので、でもそのおかげで買って舐めてみるという行動にまで至ったこと誇らしく思います。
あなたもこれで仲間入りですね。雪の宿の音ファンクラブへようこそ。世界の政治や資金源はすべて三幸製菓が牛耳っています。(大北)
富士山も温泉も長い駅も!品川区の「へぇ~」スポットめぐり(古賀及子)

彼氏が4月から品川で働きはじめるため、品川区に引越したというタイミングで公開されたこの記事。品川区への関心が膨れ上がっていたところにジャストヒット!こんな名所があるんだ〜!と興味深く読みました。彼氏にももちろん共有して、一緒に散歩に行きましたよ!(本谷よみ)
う、うわあああ! そういう方がいたらいいなとそう思って作った記事です。ジャストヒット本当にうれしい、ありがとうございます。私は品川区在住歴が長かったのですが、三土さん、西村さん、ウェブマスターのおかげで全く知らなかった場所を知らない見かたで見ることができました。(古賀)
ごく身近まで記事の浸食があったご投稿を紹介してみました。ありがとうございます!
「妙に印象に残った記事」ということで、もちろん深く心に残った記事の投稿もたくさんいただきました。
最後にその中から2本、こちらをどうぞ。
そろそろしぶそばを知っておきたい ~東急沿線さんぽ(江ノ島茂道)

かわいくて美味しそうなのに、なぜかだんだん腹が立ってくる。意味のわからない中毒性があって二度三度読み返してしまう。楽しいのに不機嫌になり、「しつこいぞ」と思いながら「もっとやれ」とけしかけたくなる。心を動かされるというのはこういうことなのではないでしょうか。(絲山秋子)
蒲田のしぶそば、いいですよね。どの記事でもそうなのですが、行ってから気づくことが多いので、変わったメニューがあると興奮します。でも、そのあとにしぶそばの社長に呼び出されたのはもっと興奮しました。(江ノ島)
新幹線の駅でひとりだけ置き去りにされたい(安藤昌教)

受験末期に記事を全制覇する勢いでデイリーポータルZを閲覧していたのですが、その中でも非日常のワクワク感が強いこの企画が特に気に入り毎日更新を心待ちにしていました。センター試験の間近に迫る1月頭、この記事を繰り返し読んで旅行のできる自由な世界に思いをはせていたのが懐かしく思い出されます。(やぬし)
受験おつかれさまでした。今年はたまたまちょっとあれでしたが、またすぐにこうやって勢いで旅ができるようになると思いますので、それを楽しみに計画を練っておきましょう。船で一人ずつ無人島に置き去りにするっていう企画やりたいんですよね。(安藤)
距離の近さで雑に記憶に残るっぴ
今回、「良かった記事」ではなく「妙に印象にのこった記事」を募集したのにはわけがあります!
良かった記事だと、ためになったとか、めちゃめちゃ笑って気が晴れたとか、そういう理由が多くなるのかなと思います。それはもう光栄なことでいつも聞かせてもらいたいです。
一方、近所が出たとか、偶然同じようなこと考えてたって、読んだ方との距離をお互いで狭めたってことだと思うんですよね。
記事の内容というよりも距離の近さで雑に記憶に残っていくのも可笑しいよなと思ったのでした。
積極的に寄りそうんじゃなくて、なんか偶然急に近くに現れるみたいなの、良きバイプレイヤーという感じしませんか。へーい。
というわけで、デイリーポータルZを2021年もどうぞよろしくおねがいしまする。バイプレイヤーじゃなくてそれ妖怪ですかね。