特集 2020年11月9日

岐阜の官庁街は急にポツンとある

岐阜の官庁街には田んぼが混ざる。

地図を見ていたら岐阜県庁の場所が気になった。県庁でありながら不思議な場所にあったのだ。

駅前でも繁華街でもなく、郊外のロードサイドのそのまた先らしい場所にポツンとあるのだ。

そもそもなぜ岐阜の地図を見ていたかはわからない。輪中を囲む川の先をみていたのか、愛知を見ていたら岐阜にずれこんだとか、何らかの理由があったのだろう。きっと岐阜を地図散歩したかった気分だったのだ。

ともあれ、そのインパクトに、一度は行きたい場所になった。ネットで見るのも良いが、体感も大事とばかりに岐阜県庁に向かった。

変なモノ好きで、比較文化にこだわる2人組(1号&2号)旅行ライターユニット。中国の面白可笑しいものばかりを集めて本にした「 中国の変-現代中国路上考現学 」(バジリコ刊)が発売中。

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岐阜県庁まで自転車で30分かけて行く

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名鉄岐阜駅。中部の駅にはポルトガル語表記もある。

県庁は繁華街にありがちだが、岐阜県庁は違う。岐阜県庁へのアクセスはこうだ。

駅なら岐阜や名鉄岐阜駅から岐阜バスで約20分。または西岐阜駅から徒歩20分か西ぎふ・くるくるバスに乗って5分100円、ただし1日7便である。一見すると遠くて不便そうなのだ。

また岐阜駅から県庁まで歩く場合、ルート検索で4.5km、58分とでる。この道を自転車を借りて移動した。1日いくら乗っても300円と、借りたくなる値段なので即乗車。県庁に向かって漕ぎだした。

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普通自転車なら300円で、電動アシスト自転車なら1000円で借りられる。
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安さと達成感を求めて自転車に乗ってひた進む。
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ファミマひとつとっても駐車場が広い。そして愛知同様パトランプが点灯していて営業中をアピール。
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途中でどこかでみたキャラクターが癒してくれた。

いかにも郊外という感じの広い道路を、郊外に向けてひたすら走る。ロードサイドに大型店舗が見えるその道を西に走ること30分、県庁が見えてきた。

田んぼとマンションとビルが点々と建っていて、その先に県庁があった。またホテルルートインもあった。実際に行ってみてもやっぱり県庁っぽくない風景に、「へぇー」と驚かされた。

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県庁にもっとも近いホテル、ホテルルートインだ。
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南側から見る。前に見える大きな建物が岐阜県庁と岐阜県警だ。

岐阜県庁に到着してみると、圧倒されたのは車の駐車台数だ。駐車場にはディズニーランドのようにこれでもかと車が駐車されている。

バイクや自転車はほとんどなく、圧倒的に車だ。

バス停はどうだろう、調べてみた。20分に1本はあるが、バスだらけの街と比べると充実しているといえるほどではない。

圧倒的な車の量、駅徒歩20分、バスも頻繁とはいえないとなれば、車通勤が当たり前なんだろう。車社会に最適化された官庁街は岐阜にあった。

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反対側、北側から見ると広い道が伸びている。
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周囲はひたすら駐車場だ。圧倒された。
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のんびりした雰囲気と異なり、建物もまた圧倒される。
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車社会のシムシティ

岐阜県庁舎はぐうの音も出ないほど車社会に適応したものだった。

改めて岐阜県庁周辺地図を見ると、ホテルルートインのほかには、岐阜県警、自民党県支部、岐阜県神社庁、パスポートセンター、教育委員会、JAなどがある。

まさに岐阜の官庁街だ。考えてみれば、車で移動する前提なら官庁街といえど建物は密である必要はなく、田や畑と共生する官庁街でもいいのだ。

シムシティで学んだように、建物ばかりの街づくりをしなくていいのである。

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岐阜官庁街マップを作った。こんな感じなのだ。

売店や食堂では不十分な買い物や食事も、車を出せばいい。なにせちょっと運転すればバイパスがあり、ロードサイドにどこかに何らかの大型店がある。

打ち上げなどでお酒を飲むこともあるあろう。また気晴らしに外で話したい、そんなときもあるだろう。そんなときにはどうするのか?

庁舎の前には寿司屋とうなぎ料理屋と喫茶店があった。車社会でもこの3点セットが役所の近くにあるとお役立ちなのだ。

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もちろん岐阜産のお茶やミネラルウォーターを食堂で飲んで打ち合わせもありである。
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県庁内のコンビニにはお土産の岐阜グッズも売ってるよ。

県庁の2階が入口だ。2階に向かって車道は滑らかに登っていく。

これで思い出したのが中国の政府庁舎だ。中国の政府系建物も外の階段から2階に上り、入口に入っていく同じつくりだ。

2階の入口外で建物を背に、岐阜市内を見ると、遠くまで岐阜の街並みが見渡すことができる。

その景色はあくまで入口を背にした北側しか景色が見えないのだ。田んぼは県庁の周りに多くあるが、県庁の正面入り口から見れば、田んぼは見えず、立派な道路がバイパスまで伸びている。

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県庁2階からみると、全く異なる街並みが目の前に広がる!

なぜそこに県庁ができたのか

なぜ県庁は変わったところにできたのか。その謎を調べるべく、図書館で調べると、「岐阜県史通史編」にその答えがあった。

 ・昭和40年に岐阜で国体が開催されることになる。
・その2年前の昭和38年に国体に、必要な駐車情報を確保するとして、市内の土木事務所が追い出されることになる。
・土木事務所の移転先として、バイパス道路に接する現県庁のある地域を目につける。
・将来県の何かの施設を移設する際のために土地を大量に購入した。
・岐阜駅からそう遠くない中心地にあった県庁が手狭になり、ここに県の庁舎が建設されることになった。

と、そんな話で、車社会にあった県庁ができたのだそう。

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図書館の史料にはマニアックな情報が眠っている。
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県の図書館・美術館に駐車場が7カ所もある。すごい。
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県の図書館や美術館に行くにもバスは1日4本しかなく大変だった。

岐阜の車社会といえば、名鉄の路面電車が平成17年に廃止されたことを思い出す。

図書館で見つけた廃線となった路線の本を見ると、「路面電車が再評価されるようになった昨今でも、岐阜の路面電車の扱いは最後まで改善されませんでした。」と名鉄の専務のコメントが引用されていた。

官庁街に行くのに車がベストとなって何十年もたち、お店もロードサイドにできるとなると、なかなか路面電車は厳しいかもしれない。

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岐阜駅前に保存された名鉄の路面電車。わびさびだけでは生き残れなかった。

車を運転しよう

これまで電車やバスの移動を中心に生活していたので衝撃を受けた。僕の脳内の街づくりは全てモータリゼーションなき街づくりだった。

岐阜の官庁街は尖った例だと思うけど、市町村のレベルでいえばこういったところはたくさんあると思う。

とりあえずペーパードライバーから脱しようと思った。

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